八月の終わりに。
一輪のリンドウの
咲く野原で君をまとう。
これで八月も
手を振って去っていく。
君がしたように
今目を一度閉ざせば
木々の合間から九月が
欠伸をしているだろう。
重ねられない
ロウソクの数だけ
僕の見る九月の
はじまりが妬ましい。
これから幾度と
この野に立つだろう。
だが僕はリンドウを
毟って空へは届けない。
その夕焼けが
たとえどれだけ温かく
独りの九月の朝が
どれだけ心痛くとも。
<後書き>
リンドウ
8月31日の誕生花。
群生しないことから
「悲しんでいる貴方を愛する」
という花言葉が生まれました。
「愛らしい」というのもあります。