鉛筆は落とすな。
掲載日:2026/03/22
俺の鉛筆を拾おうとしてくれた子の鉛筆が落ちる。
これが小さな二次被害。
その音に気づいた先生が振り返り、
黒板の字が途中で止まる。
これが授業の二次被害。
急に静かになった教室で、
寝ていたやつがビクッと起きて机に頭を打つ。
これが物理的二次被害。
その音で全員の視線が集まり、
そいつの社会的地位が終わる。
これが精神的二次被害。
その音で先生が怒り、
クラス全体の雰囲気が悪くなる。
これが集団的二次被害。
その日の給食は、なぜか誰もおかわりしなかった。
これが経済的二次被害。
やがて「最近の若者は元気がない」と問題視され、
教育方針が見直される。
これが制度的二次被害。
数年後、
その世代は挑戦を避ける傾向が強いと分析され、
国の成長率がわずかに下がる。
ここまで来ると、もう誰のせいでもないことになる。
これが国家的二次被害。
ニュースで、若者が経済を回さないと責められる。
それを見て、ご老人も怒る。
そして原因は、
“時代のせい”という便利な言葉で処理される。
その結果、国家予算の使い道が一つ増えた。
これが最大の二次被害。




