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 人間につられたクサフグさん。

 でも、にげる事が出来ました。

 しかし、何だか、お水の様子が違います。

 いつもとちがう固い地面。

 そして、お水もすごくあたたかい。

 あたたかいのは気持ちが良いのかも知れませんが、お日さまの光で少しずつ温度が上がっているのです。

 それでも、人間からはなれる事が出来たのですから、良かったのかも知れません。

「よし!。もっと、にげよう。早くとおくに行かないと、またつられちゃうかも知れないぞ」

 何とか、お水の中にもどれたので、次はとおくにいく事にしました。

 固い地面に白いおなかをこすりながら、ピピピピピピッてっ、ひれを動かしてお水の中を進むクサフグさん。

 なるべく早く泳いでいくと、あることに気付きます。

「あれれ?、お水がふかくならないぞ?」

 川や海では、岸から遠くなるほどお水がふかくなります。

 だから、にげる時は遠くに行こうとするのですが、どんなに泳いでも、お水の底は固いままで、お水も浅いままです。

 なぜでしょう?。

「なぜだろう?。早くにげないといけないのに」

 と、クサフグさんもふしぎに思います。

 初めて泳ぐ固い地面のお水。

 そう、クサフグさんがなげられたのは川の中ではなくて、コンクリートっていう石みたいな所にできた水たまりだったのです。

 これでは困ってしまいます。

「おかしいぞ?。やっぱり、いつものお水の中じゃあないみたいだ」

 と、気付いて、後もどりをします。

 それは、クサフグさんにはつり上げた人間に話しかけるため。

「人間さん。ぼくは、もっと深いお水の中に住んでいるんです。早く、元のお水に帰して下さい」

 と、言ってみますが、人間は気付きません。

 だから、もう一度話しかけてみます。

「ぼくをつったのは人間さん。そして、にがしてくれたんだから、元のお水にもどしてくれないと困るんです」

 しかし、人間はつりざおをもって、とおくに行ってしまいました。

「聞こえないのかな?」

 と、言いつつ、じっとしていると、他の人間が近づいてきたので、もう一度話しかけでみます。

「あっ!、お水の中にもどして下さい」

 しかし、クサフグさんに気付かずに通りすぎてしまいました。

「何だよ!。ぼくは元のお水にもどりたいんだけど!」

 なかなか川の中にもどれないせいか、ちょっとおこっています。 

 でも、

「何だか、苦しくなってきたよ・・」

 同じくらいに元気がなくなってきました。

 なぜなら、ますますお水がぬるくなってきて、クサフグさんの体もあつくなってきてしまったから。

「う~ん。困ったなぁ・・・・」

 どんどん疲れてきたクサフグさん。

 そんなところに、また人間が通りかかります。

「こんなところに魚がいるよ」

「本当だ」

 クサフグさんには気付きますが、助けてくれずに、通りすぎてしまいました。

 そして、その後も人間が通りすぎますが、クサフグさんを助けてくれる人はいないみたい。

「・・・・」

 クサフグさんは苦しくなって、もう何も言えません。

 このままでは、クサフグさんは死んでしまうかも知れません。

「ぼくは死にたくないよ・・・・?」

 そんな時に、また別の人間が通りかかります。

 今度の人間も通りすぎるかと思いましたが、

「こんなところに、魚をにがすなんて・・」

 と、クサフグさんに気付いて、コンクリートの水たまりにしゃがみこむと、クサフグさんをつまみ上げます。

 そして、

【ポチャン!】

 川の中に放りました。

 音を立てて、お水の中に落ちたクサフグさん。

「??。もどれた・・・・」

 なぜか、川に帰ることが出来た

 クサフグさん。

 そして、しばらくプカプカ浮いて休んだ後に、お水の中にもぐっていきました。

 良かったですね。

 何とか、死なずに済みました。

 でも、何で最後の人間はクサフグさんを助けてくれたのでしょう?。

「えっ・・、分からないよ?・・」

 と、クサフグさんは答えます。

 でも、これだけ人間が通りすぎたのですから、助けてくれる人がいても、おかしくは無いのですよ。

「・・・・、そうかな・・?。」

 おや?、クサフグさんは助けてくれた人間にぎもんをおぼえるみたいです。

 でも、助けてくれる人間がいたから、お水の中にもどれたのです。

「・・・・、それは、きっとちがうよ。だって、助けてくれない人間の方がたくさんいたんだから」

 たしかに、クサフグさんを固いコンクリートの水溜まりににがす人。

 クサフグさんに気付かない人と、気付いてくれるけど、通り過ぎてしまう人。

 そして助けてくれる人もいたのですが、助けてくれない人間が多いのは本当でした。

 それは、なぜでしょう?。

「分からないよ・・?」

 と、クサフグさんは答えます。

「それに、ぼくらは川の中を泳いでいるだけなのに、つかまえるのもおかしいよ?」

 そうですね。

 でも、それはなぜでしょう。

 クサフグさん、分かりませんか?。

「・・・・、分からない」

 うん、そうかも知れません。

 でも、人間がつりをする理由は、魚を食べるためでもあるんです。

 と、言う事は、エビを食べるクサフグさんと同じではないですか?。

「・・・・、そうだけど、ぼくはおなかがいっぱいの時は、エビを見つけても食べないよ?。それに、にがしてくれたんだから、人間はぼくを食べないってことでしよ?。じゃあ、ちゃんとお水の中にもどしてくれないのはおかしいよ」

 たしかに、そうですね。

「でも、助けてくれない人間がたくさんいるんだ・・・・。だから、助けてくれた人間も信じない!」

 う~ん、そう言われると、何も言えませんが、実はクサフグさんには毒があって食べられないんです。

 食べると、死んでしまう毒。

 だから、助けないのかも知れません。

 でも、フグのなかまに毒があることは、みんな知っていて、食べてはいけない事も知っているんです。

「じゃあ。やっぱり、ちゃんとお水の中にもどしてくれてもいいはずだよ・・。食べないなら、つかまえる理由も無いんだから・・」

 と、クサフグさんは思います。

 じゃあ、どうして川にもどしてくれない人がいて、助けてくれる人が少ないのでしょう?。

「知らない!。それは、ぼくが考えることじゃあない!、人間たちが考えることだよ・・」

 と、言って、泳いで行ってしまいました・・・・。

 

 これでクサフグさんのお話はおしまい。

 

 みなさんは、たくさんの人がクサフグさんを助けない理由は分かりますか?。

 毒があるから?。

 そして、食べれないからでしょうか?。


 でも、本当は助けてあげない理由なんて無いんです。

 クサフグさんが毒をもっているのは自分を守るため。

 そして、食べてはいけない事は知っていなければいけないのですから。

 だから、クサフグさんを死なせていい理由なんて無いんです。

 食べれないから、助けないのはおかしいこと。

 クサフグさんも人間と同じ命。

 だから、もしクサフグさんと出会ったら、やさしくしてあげましょう。

 それが、きっと正しいのですから。

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