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 ここは海へと流れ込む小さな川。

 川を流れるお水は、近くの山からわき出ていて、とってもきれい。

 そんなキラキラと光る川の中に小さなせびれをクルクル、クルクル回して泳ぐ魚がいます。

 その魚は水の中で止まったり、右や左に向きながら泳ぐすがたは、まるで川の中をパトロールをしているみたい。

 そして、時々、川底の砂をつつきながら、

「ごはんはいないかな?」

 と、大好きなエビをさがしています。

 その魚の名前はクサフグさん。

 ちょっと黒い緑色をしていて、

体の横には星をちりばめたような白い点々があって、おなかも白。

 目は少し赤い、丸っこい魚です。

 そのクサフグさんがせびれををクルクル、クルクル回してお水の中を泳いでいると、川底にある石のすきまには茶色いはさみのカニ。

「カニさん。こんにちは!、元気ですか?」

 と、クサフグさんは声をかけます。

 すると、

「うん!、元気だよ!。クサフグさんは元気?」

 はさみをふって、カニさんが返事をしてくれます。

「今日は良い天気だね!、カニさん」

「うん!。お日さまも出てきて、お水がキラキラしているよ」

 今日はとても気持ちが良い天気みたいです。

 そんな日ですから、お水の上もさわがしくて、ちょっと水面から高くなった所で、足音も聞こえてきます。

「何だろうね?。今日はお水の上も元気いっぱいなのかな?」

 と、クサフグさんが聞くと、

「そうかもね。ぼくが朝にお水から出ていた時もたくさん人間がいたよ。今日は天気が良いから、散歩をしている人が多いんじゃない?」

 足音のぬしは人間っていうことを教えてくれます。

「えっ!。カニさん、お水の上に行った事があるんだ?!」

 クサフグさんは、いつもお水の中にいるので、カニさんが水から上がって地面を歩いたって事を聞いてびっくりします。

「うん、あるよ!。ぼくらは夜になると、ごはんをさがしにお水の中から出て、朝になったら水の中に戻るのさ。その時に人間を見る事もあるよ」

「ふ~ん、すごいね!。ぼくはお水の中から出た事が無いから、人間っていうのは良く分からないよ」

 そう、水の中からは地面の上はあまり見えないので、クサフグさんは人間を良く知りません。

「あはは!。だって、クサフグさんは魚だもの、お水の上に出たら死んでしまうよ」

「あはは、そうだね!。ぼくはカニさんとちがって、歩けないからお水から出たら、動けなくなっちゃうよ」

 こんな風に楽しくお話をしていると、大きな黒い影が水の中にうつります。

「あっ!」

 と、何かに気付いたカニさん

 どうやら、陸の上を歩いていた人間が川の中をのぞいているようです。

 そして、カニさんは石の間にサッとかくれます。

 その理由が分からないクサフグさんはふしぎに思います。

「どうしたのカニさん?。何でかくれるの?」

 と、聞きますが、

「クサフグさんもかくれないとダメだよ!」

 と、教えてくれますが、

「大丈夫だよ!。ぼくらはお水の中にいるから、見つかっても平気さ!」

 クサフグさんは大丈夫って答えます。

 だって、人間は水面より少し高い所にいて、手を伸ばしてもクサフグさんたちに届かないのですから。

 でも、カニさんは石の間にかくれたままです・・。

「・・・・」

 かくれたままで、じっとしているカニさん。

 でも、

「クサフグさん・・。つられちゃうよ?」

 と、もう一度教えてくれます。

 でも、やっぱり、クサフグさんにはカニさんの言っている事が良く分かりません。

「つられる?」

 と、カニさんが言った言葉を聞き返すクサフグさん。

 カニさんが言っている「つられる」と言う意味が分からないみたい。

「つられちゃうって、何?」

 もう一度カニさんに聞いてみると、

「あの長いぼうをもっている人間が来ると、ぼくらのなかまがどっかに消えちゃうんだ」

 と、返事をしてくれました。

 どうやら、その長いぼうを使って、クサフグさんたちをつかまえるのが、「つられる」っていう事みたい。

 たしかに良く見ると、人間は先が細くなったぼうをもっています。

「本当だ・・」

 そして、人間は長いぼうを持ちながら、手を動かしています。

「でも、あんなのでぼくらをつかまえるのは無理さ」

 そう、いつもクサフグさんは、のんびり泳いでいますが、実は速く泳ぐ事も出来るのです。

 そして、カニさんは素早く石の下にかくれる事も出来ます。

 速く泳いで、素早く石の下にかくれてしまえば、長いぼうを使っても、クサフグさんたちをつかまえる事は出来ません。

 だから、クサフグさんはのんびりしたままで、

「じゃあね!、カニさん!」

 と、お水の中を泳いでいったのです。

 カニさんと別れたクサフグさんは、川底に生えた水草をかき分けて泳いで行きます。

「ふん、ふふん!」

 今日はお日さまの光がきれいなので、水草がとても良く見えます。

「こんな日は、きっとおいしいエビがたくさんいるはずだよ」

 と、ごはんをさがしながら泳いでいると、赤くて良いにおいをした物が近づいてきます。

「あっ!、あれはエビじゃあないか?」

 クサフグさんはエビが大好きなので、ピピピピッてっヒレを動かして、流れてきたものに近づきます。

「やっぱり、エビだ!」

 そして、

「いただきま~す」

 と、パクリ!と一口。

「うん!、おいしい!」

 やっぱり、おいしいごはんでした。

 でも、食べたしゅんかん、お口がチクリとします。

「あっ、痛い!」

 何が口に引っかかった感じがします。

 びっくりしたクサフグさんは、ヒレをたくさん動かして、逃げようとしますが、

「何?、何か引っ張られるよ?」

 ピピピピピピッと、ヒレをうごかしてますが、泳いでも、泳いでも前に進みません。

 進むどころか、どんどん引っぱられるのです。

「???・・!」

 どんどん、どんどん引っぱられるクサフグさん。

 そして、とうとうお水の上に出てしまいました。

「???。何?、ぼくはどうなっちゃったの?」

 どうしたって言っても、さっきまで泳いでいた川が体の下にあります。

 今まで川から出た事が無いのですから、何がなんだか良く分かりません。

 とつぜん、お水の上に出てしまったクサフグさん。

 そして、見えるのは青い空だけ。

 ただ、何かにぶら下がっているのは分かって、その先には人間が持っていた長いぼうの先が見えます。

 さらには、その先に糸が付いていてクサフグさんの口までつなかっているのです。

 そして、さっき食べたエビのしっぽが口から出ているは分かりました。

「???」

 でも、何で長いぼうの先に付いている糸にぶら下がって、空を見上げているかは分かりません。

 「もしかして、つられた???」

 そう、さっき人間が手を動かしていたのは、糸の先に付いているつりばりにエサを付けていて、それを食べてしまったのです。

 それに気付いても、どうする事も出来ません。

 そんな風に思っていると、今度は空のかわりに大きな顔が見えました。

「わっ!、だれ?」

 びっくりするクサフグさん。

「なんだ・・、クサフグか・・」

 と、見えた大きな顔は人間で、つり上げた魚をかくにんしています。

 でも、何だかざんねんそうな顔をして、クサフグさんをつかみ、

「わっ!、何?」

 つかまれたクサフグさんは、びっくりしますが、口に付いたつりばりが外されて、ポイ!ってなげられて、お水の中に落ちました。

「あ、痛い!」

 水の中に戻ったのですが、固い地面におなかをぶつけてしまいました。

「でも、お水の中にもどれたよ」

 どうやら、にげる事が出来たみたいです。

 良かったですね、無事にお水にもどれて安心しました。

「うん!。びっくりしたけど、ひと安心だよ」

 でも、本当に安心なのでしょうか・・?。

 逃げた所が固い地面っていうのが、とても気になります。

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