表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
性癖全開!キャンティマロン~◎セイシをかけて、勝手に戦え!◎~  作者: 石鬼 輪たつ
第1章 VS.アルウゥス 厘月町・厘月いんせき公園編
8/10

第7話   あらわる、新たな後継生物!

 超能力に目覚めた異星巨大生物「マ・ラ」、その力を受け継ぐ「後継生物こうけいせいぶつ」たちとの戦いが、ヒーローのいる町で表面化し、はや()()()が過ぎた。


 後継生物は、必ずしも民間人の前に姿をあらわし悪事を働くわけではなかった。


 その多くは人目に付かない場所で息をひそめ、自然の中にまぎれている。


 大学祭へあらわれた、ウシ頭の怪物コ・キユ以来、後継生物の目撃についてトリニティが見聞みききする情報は一つとしてなく。

 時間だけが流れていた。


 ただし、時折なんのまえれなく彼らは人間と接触する。


 その理由はたいてい人間にとって理解できない、衝動しょうどう欲求よっきゅうによるものだ。



 10月下旬。

 季節は、まだ秋の中にあっても、日ごとに風が痛い寒さを帯びてきた今日の日。


 以前、学園祭が開かれた貝釣ばいづり大学の近くにある「厘月りんげついんせき公園」が舞台だ。


 いんせき、と名にあるが子どもたちからジャガイモと呼ばれるオブジェが、唯一ゆいいつ隕石いんせき要素。


 残りはベンチとスプリングの動物、すべり台のみ。

 公園と名乗ることすらおこがましい。


 もっとも、公園はみじめさに反して、歩いてすぐの場所に第一みもみじ商店街がある。

 商店街で買い物する子連れの親にとって、地域の目がある、安心できるキッズパークだった。


 16時を回り、公園は商店街へ行った親を待つ子どもでにぎわっていた。



「キャハッ! ()()()さんしゅごーい!」



 子どもがエキサイトし叫ぶ。


 スプリングの動物の鞍上くらじょうでこうなら、ジョッキーとして将来有望だが――無論、そうではない。


 ()()()()()が公園内にまぎれ込んでいる。


 みどりがかった毛色の見慣れない、巨大ウマだ。


 巨大ウマに乗る子どもは小学生未満の体つきをしている。

 だが巨大ウマの()()()()()ほどはある馬体ばたいへ吸いつくように乗りこなし、公園の砂場をパカパカ行進する。



()よ、どうかな? オレサマの英雄的なステップは」



 ウマがしゃべった! いな、ウマはしゃべるものだ。



「ずるいぃ! 次おれが乗る!」


「いいや、ぼくが乗るねッ!」


「ガキはすっ込んでな。美しいオレサマは、美しいレディーしか乗りこなせないのさ」



 きどった口調の巨大ウマは、むらがる子どもたちを前(あし)で追い払い、気に入った女児とともにダートを駆け回る。


 巨大ウマが鼻歌まじりに自身の優雅ゆうがさを見せつける。


 しばらくすると、周囲の木々(きぎ)に並ぶ巨大ウマの高さから公園を見渡した女児が、「おかあしゃん!」と声を上げる。

 買い物を終えて迎えにきた母親を見つけたのだ。



「おウマさん、あのね、もうお家帰りたい……」


「そうかい? 甘美なひとときをありがとう、姫よ」



 巨大ウマは女児に感謝をのべ、女児の母親がいる公園出入口へ歩いていく。


 そこで背に接するように頭を向けると、なんと女児が頭につかまり、地面へと着地したのだ! 

 危険すぎる!


 ところが、女児と巨大ウマはそれこそウマが合ったようすで、少しの緊張も見せなかった。


 娘のあつかいを見て、すなおに巨大ウマへ礼を言うべきかと女児の母親は戸惑とまどった。



「あ、ありがとうございます……ほら、クロちゃん、遊んでもらったお礼は?」


「ありがとう、おウマさん! さっきね、おウマさんに乗ってたら、すごくおっきくてカッコよかった! クロもおねえさんになったら、おっきくなる!」


「あぁ、なんて無垢むくさ! すさんだ心が洗われる……やはりレディーは最高だ。いやしかし、姫よ! 願いのためにいを待つ必要なんてない。あなたは今すでに完成しているのだからッ!」



 巨大ウマは女児に首を垂れ、瞬間、巨大な体を()()()()()()に発光させる。



「これはほんのお礼です、ひめ!」



 巨大ウマが発光しているのは、決定的な「マジカルパウアー」行使のあかしだった。


 対象は、目の前にいる女児。


 わずかな時間のみで――厘月りんげつ町内すべての建物を超える身長の巨人となるッ!


 女児のスニーカーの両足が公園から道路へとはみ出し、すぐにも交通障害を引き起こした。



「クロおおぉッッ!」



 今まで冷静だった女児の母親は半狂乱になり悲鳴を上げ、娘の足にすがりつこうとする。


 女児は活発な子どもだった。

 足元に母親がいるとも知らず、また自身に何が起こっているのかわからないまま動き回る。


 母親はついに蹴飛けとばされ地面にしりを打ってしまった。



「すっげえ! 母ちゃん、おれもおウマさんに大きくしてもらうー!」


「バカ言わないで! 逃げなきゃッ!」



 公園で巨大ウマとじゃれ合っていた子どもたちは事態を楽観視していた。


 巨大ウマや巨人化した女児へ不用意に近づこうとする。

 商店街から親と近隣住民が駆けつけ、力づくで引きがす。


 街中で逃げ惑う住民。


 巨人は見失った母親を探して、ミニチュアの厘月りんげつ町を徘徊はいかいする。


 一帯はひといきに、深刻なパニックとカオスの災禍さいかにのみ込まれた。





「――そこまでだよ、()()()()()!」



 厘月りんげついんせき公園にいるウマの背後で、意気揚々(ようよう)とした声が響いた。


 巨大ウマが視線をる。


 何人も避難していなくなった公園中央――空間が楕円形だえんけいゆがみ、しろかがや粒子りゅうしとともに3つの影が、()()()()出現していた。


 赤い肌と、にわとりマスク、巨大バエ……トリニティたちだ!



「て、テレポートしたのか、俺……?」



 赤い肌のセーラー服ケツデカ少女のアルウゥスにみちびかれ、自宅を出た変態マスクのトリニティ。


 すると玄関先から、突如とつじょ厘月りんげついんせき公園にたどり着いていた。


 場所がどこなのか……景色から推測できたものの、そこに自身がいる理由については見当がつかず困惑する。


 対して後継生物こうけいせいぶつたちは、彼をよそに戦いの空気を作り出していた。



「あぁ、オレサマの名を知っていて、さらにそのつらぁ……見覚えがある。あの『ふね』にいたな?」


「うん。ボクはアルウゥス。そして、君はミセ・ヤリ、()()()と一緒に脱走だっそうしただね」


「昔の話はそこまでだ。オレサマはヤツと違うさ、人間サマとウマくやってる。今日は()()()に耐えかねて、加減を間違えたが……なに、ただ姫の願いを叶えたまでさ」


「これは度が過ぎてるッ。そもそも、フツーは人間にマジカルパウアー(ちから)を使っちゃダメなんだよ。いや、ボクたちがここにいることすら……だから、君には大人しく捕まってもらうよ!」


「早まるなよ、兄弟! 人間とやり合うつもりはないぜ。姫は……まあ、(オレサマが)満足したら元に戻してやるから」


「ふざけるなッッ!」



 挑発的な物言いのミセ・ヤリに、怒りをあらわにしてトリニティが食ってかかった。



「黙って聞いてりゃ、手前てめえ勝手なことをベラベラと……侵略しんりゃく者がッ!  地球このほしに、お前が叶えられる願いなんて一つもえ。もし、あったとすればそれは『今すぐ出ていけッバカ野郎』だッ!」


「言うねえ人間!」


「アルウゥス、マジモス――いくぞ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ