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性癖全開!キャンティマロン~◎セイシをかけて、勝手に戦え!◎~  作者: 石鬼 輪たつ
第1章 VS.アルウゥス 厘月町・厘月いんせき公園編
6/10

第5話   ある店にて

 虚幌須うろぼろす市は、厘月りんげつ町第一みもみじ商店街。


 今や同市内で第三区画まで拡大した屋根付き商店街(アーケードがい)において、もっとも古いその場所は、街のシンボルとしてすっかり景観へとんでいた。


 屋根付きの通りの一角いっかくに、ひときわ人混みができる。


 突発とっぱつ的集合と思えるが、通行人はそれをうっとうしがることなく横目に通り過ぎていく。ここは日常的に混み合っているというのだ。


 原因は、飲食店「バードナー」にあった。


 にわとりをかたどる木目調の看板は、筆文字のひとつでも書いておけばそれなりに格式高くも見えるだろう。

 しかし、看板には不釣ふつり合いなゴシック体のカタカナで「バードナー」と書かれている。



「――らっしゃっせー」



 店内に、客を出迎える店員が、ファストフード店のような気軽なあいさつを放る。

 それもそのはず、バードナーはとり料理専門のファストフード店だ。


 注文はタッチパネルにて行い、店内音楽は一貫性のない流行曲がめ、客層きゃくそうもそれに応じたものとなる。



「ぼ、ボクもこういうとこはよく来るけど……大丈夫かな? ヘンな人に聞かれたりとか」


「今一番ヘンなのは俺たちだろ。無用な心配だ」



 2人がけのテーブル席。

 奇抜きばつなマスク姿の人物と、かみはだも真っ赤な人物との姿があった。


 ……周囲は一目ひとめさっする。関わってはいけない部類の人間だ、と。


 もっとも、一定数の変人がまぎれ込むこともファストフード店では常識だった。

 不用意に詮索せんさくなどするべきではない。


 マスク姿の人物は、腹部の破れた全身タイツを着て、迷いなくタッチパネルに向かっている。



「それより、礼を言ってなかったな。さっき助けてくれたことは感謝する。ありがとう」


「いいんだよ! トリニティこそ、仲間になってくれてありがとう!」


「……なに勘違かんちがいしてる? 事情次第、って言ったよな」


「えっ?」



 セーラー服を着た人物――つまるところ学生(ぜん)とした少女、名を「アルウゥス」と言う、そのじつ人間らしからぬ赤さをていしたナニか。


 対して、テーブルを挟んで座るマスク姿の変態――ご当地ヒーロー『商店戦士トリニティ』は、目の前のアルウゥスが「宇宙人」であるとにらんでいた。


 少女の風貌ふうぼうを見れば、ひとつ仮説としてありうるものだ。

 加えて、トリニティにはほかに推測する材料がある。



貝釣大学あそこで助けられたとき、マジモスの記憶が俺に流れ込んできた。理屈は知らないがな……」


「ま、マジモスの記憶って?」



 トリニティの思いがけない言葉に、アルウゥスはしなやかな赤い眉を困ったようすに下げる。



「アルウゥス。お前はどっか別の惑星ほしで、人体実験の被験者にされて、そこからのがれるためお仲間と宇宙へ繰り出した。……けど途中で()()()()が出た。宇宙船を破壊して逃げ出したそいつらを追って、お前とマジモスも地球にやって来たんだ。そうだなッ?」


「ま、まあだいたい……」



 アルウゥスはトリニティの威圧いあつによりやや怖気づいて、消極的に肯定する。

 視線を落とすとテーブルの下で、巨大バエのマジモスが小首をかしげている。



「ああ、目的はもうわかってる。問題はなぜ裏切りが起きたのか? 地球に移住するなら何も、強硬きょうこう手段をとる必要もなかったはずだ。あと大学の化石骨かせきこつとやら、それを手に入れてどうす――」


「ちょっと待って! 大事な前提が抜けてる。そ、それに信頼がないのはしかたないけど、大事なことはボクから説明させて!」



 アルウゥスが弱腰よわごしながらもトリニティに迫る。

 ただし、アルウゥスの制止には正当性があった。


 問題にすっかり順応してしまったトリニティは、当事者意識を振りかざして話をぐんぐん進めようとする。

 それには当然、前提だとか本質だとかの、話の骨子こっしを置き去りにする危険性が考えられる。



「あ、ああ。わかった」



 アルウゥスの意図に気づいたトリニティは引き下がった。


「お待ちでえす」と、店員がその間に注文の品を持ってきてくれた。フライドチキンの各種詰め合わせとセットドリンクだ。

まみながらでいいか?」と、言うが早いかトリニティはバスケットに手を伸ばした。



「――ボクには『使命』があるんだ。()()()()()()()()()、って」


「ふぁあ? 宇宙人が守らなきゃならんくらい、地球は終わってるって話か?」


「そうじゃなくて! ……すべてのキッカケは、『ある物質』を使った研究だったの」



 アルウゥスは一呼吸を置いて、重々(おもおも)しく語り始める。

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