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性癖全開!キャンティマロン~◎セイシをかけて、勝手に戦え!◎~  作者: 石鬼 輪たつ
第1章 VS.アルウゥス 厘月町・貝釣大学編
5/10

第4話★  ヒーロー、オンステージッ!

「いくぞ!」



 力を得たトリニティが、巨大生物に向かい全力疾走する!



「ブホッ! コ・キユ、舐める、よくないラ?」



 ウシ頭が獰猛どうもうな雄叫びを上げる。


 すると、ミノタウルスめいた全身がアルウゥスやマジモスと同様に激しいピンクへと包まれ、周囲に色濃いきりが立ち込めた。


 間もなく、空中に直径10センチ超の氷塊ひょうかいが出現! 

 それを飛礫つぶてとして、すさまじい速度でトリニティへと発射する。



「危ないッ!」



 アルウゥスが紅炎の髪を振り、さらに激しくピンク色に発光する。


 トリニティへと放たれた氷礫ひょうれきが今まさに衝突しようとした時、上空からやり状の物体が落ち、彼を守った。


 落下物とは骨盤こつばんの付いた脊柱せぼねだった。

 けいついの先端が、地面に突き刺さる。



()()()脊柱せぼねだよ! これを使って!」


「ハハ、人生イチ物騒ぶっそうだな、そのセリフ」



 トリニティは地面から脊柱せぼねをズボッと抜き、戦棍メイスにして構える。


 ウシ頭は氷礫ひょうれきを雨あられと打ち込む。


 すでに氷の一つ一つが人間の頭部大まで成長し飛来するのだ。からだにかするだけで骨折、最悪は部位欠損もまぬかれないだろう。


 おそいくる凶弾に、トリニティは手の脊柱せぼねをフルスイングし、骨盤の部分でものの見事にち落としてみせる。


 だがウシ頭の攻撃はえ間なく続いた!


 アルウゥスのデカい骨盤こつばんであっても、人間をたやすくほふ氷礫ひょうれきを防ぎ切ることはできず、こなごなにくだけ散った。



「おらッ、こんな程度でしまいじゃねえよなあッ!」



 しかし、トリニティは巻き舌でウシ頭を挑発。


 足元には、アルウゥスが次々と脊柱せぼね戦棍メイスを出現させる。

 これを振り回し、1本やられたら次、またやられたらその次と、無数の脊柱せぼねと骨盤によって弾雨だんうを無効化した。



「こいよ、臆病おくびょう者」


「ブホオオオ! コ・キユ(を)舐めるラああぁッ!」



 挑発に乗り、ウシのひたいに血管が浮き上がった巨大生物は、氷礫ひょうれきの発射をやめ一気に攻勢へと転じる。


 四足歩行で、ウシらしく真っ赤な標的へ全速前進! 

 その禍々(まがまが)しい角の先で、あるいは鋼鉄こうてつの頭突きで――ヤツを仕留める!


 トリニティは負けじと骨盤の向きで何本かの脊柱せぼね投擲とうてきするが、ウシの頭はそれらを軽々(かるがる)無にし、止まらない。



「どうする、アルウゥスッ?」


「大丈夫、ボクたちは強いよ!」



 アルウゥスが激励げきれいする。

 トリニティはおのれの一瞬の思考にしたがう。


 右腕を向かい来る巨大生物へとかかげ、力を込めた。

 トリニティの頭部に癒合ゆごうしたマジモスと、アルウゥスのからだが一層いっそう光り輝く。


 トリニティのうでは、周囲にあらわれた肉片を層状にまとわせ、まさに巨人の腕へと相成あいなる。


 寸刻、ウシ頭の突進()がけッこぶしで殴り付けた! 


 ドオンッ、ォォン……衝撃音に地表がうねり、空気がとどろく。



「ぐううぅッ!」



 トリニティのこぶしはかろうじて原型をとどめたまま、ミノタウルスのからだを受け止める。


 だが、トリニティの装備する巨人の腕は内骨格をミシミシと言わせ、粉砕ふんさいのカウントダウンを告げていた。



くだかれる……その前に!」



 トリニティが全神経を腕に集中させると、すでにウシ頭より一回りも大きい腕がさらに肉片をまとう。


 それは巨大風船――いな腐乱ふらんしガスを溜め込んだクジラの死骸の物々(ものもの)しさを体現する。


 臨界りんかい点を超えたトリニティの右腕はッ、爆発した!


 爆風と、ふたたび地鳴りを起こすほどの爆音がいっせいに襲いかかり、巨大生物は大きく体勢を崩す。



すきありッ――!」



 トリニティは左腕による追撃を繰り出す。


 脳天をいた一撃に、巨大生物は悲鳴を上げ! ついに、昏倒こんとうした。



「……やったのか?」



 達成感めいたものを覚えながら、トリニティは慎重しんちょうさからアルウゥスにたずねる。


 アルウゥスは激しい輝きを体内へとおさめ、こくりとうなづく。

 はにかみ笑いを見せる。


 トリニティも安堵あんどし、脱力した。


 トリニティの頭部と癒合していた巨大バエのマジモスがはなれ、トリニティは元のご当地ヒーローの姿へと戻る。



 2人が目を離した間に、目を回した巨大生物の周囲を数名が取り囲んでいた。

 おおあわてで探し物をしているようすだ。


 ひと仕事を終えたトリニティは声をかける。



「どうした?」


「ああ! 吾々(われわれ)隕石いんせき資料館の学芸員です。お昼休みに行っていたのですが、何者かが化石骨かせきこつ強奪ごうだつしようとしていると聞き……飛んで来たら、なんですッ? おたくら解体かいたい業者ですかッ!」


「悪い。んで、その化石骨かせきこつは無事なのか?」


「それが見つからないんです! 30センチはあるんですよ。見つからないはず……」



 なみだじりにぼやく学芸員の男。

 彼の後方で、突如アルウゥスが「あっ!」と驚いた声を発する。


 一同目をった。


 資料館跡から大学キャンパスに向かう道中だ。

 黒のキャップをかぶり、チュニックを着た小柄な人影。


 こしのあたりから、長い何かがはみ出している。



「アレです! 化石骨かせきこつはみ出してる! あの人を追って!」


「待てえッ火事場かじばドロボー!」



 学芸員たちがヨタヨタとした足取りで追跡するも、当該人物の人相にんそうを見ることすらかなわず逃げられてしまった。



「ねえ、トリニティ」



 彼らの背を見送り、アルウゥスが語りかける。



「偶然じゃないと思うんだ、ボクたちが出会ったのって。これからも、ボクと一緒に戦ってくれない?」


「……それは事情次第(しだい)だ。聞かせろよ、()()()



 トリニティは致命傷の上にできた、アルウゥス色のカサブタに熱を感じた。


 熱く、うずいている。

 これはたかぶりか、それとも恐怖か――。


 2人は戦場のあと始末を大学へと押しつけ、町の中に消えた。

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