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性癖全開!キャンティマロン~◎セイシをかけて、勝手に戦え!◎~  作者: 石鬼 輪たつ
第1章 VS.アルウゥス 双成町・第二みもみじ商店街編
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第15話  同胞・同盟

「おまたせ。()()()()()()、だよ」


「俺は猟師りょうしになったおぼえはない……まさか、な。ハハ、あのクジャクなんてことは」



 トリニティは、にこにこのセーメンティスと目を合わせる。


 ……の色を知っている目だ。


 不思議と、トリニティの中に嫌悪けんお感はなかった。


 衣食住のすべてにおいて、人間以外の動物の命をいただくことは現代社会でありふれている。

 今回は、それが職業従事者の手によるか、自身の手によるかの違いでしかない。


 ただ――セーメンティスにおいては、事情が違うのではないかと、疑問に思った。



「……いいのか? 姿は違えど、クジャク(こいつ)異母いぼ兄弟きょうだいになるんだろ。それを食うって」


共食ともぐい、みたい? クスクス。トリニティは、鶏肉とりにくの形した人間、食べない? 人間の形した鶏肉、食べない?」


「意味が、わからないこと言うなよ……」


「セーは、どっちも食べる。ものは、形がちがうだけ、の、遺伝子いでんしの集合。家族じゃないなら、ものは、セーのおもちゃだから」



 冗談のひとつもなしにセーメンティスは主張する。


 「遺伝子をあやつれる」という超常的力ちからをもつ者の見ている世界は、トリニティが知る世界とは、根本的に異なっているのだ。


 まさに、後継生物(彼ら)と地球人の生態と同様に。


 トリニティは今をもって、嫌悪けんお感と怖気おぞけを覚えた。

 ……それでも、もう後戻りできない。



「いただきますッ!」



 大声とともに合掌がっしょうするトリニティ。

 眼下に出された皿へ、はしを伸ばす。


 ごまだれのかかった白い肉を1切れ、頬張ほおばる。みしめる。


 トリニティは、通常個体のクジャクを食べたことなどなかったが、マジカルパウアーの仕組みについて聞いた後では、後継生物こうけいせいぶつの個体はなんとなくオスのくさみがより強いように感じた。


 10分もしないうちに、彼はセーメンティス手製の料理を完食する。

 後継生物の味を、食えるという事実を、あますことなく脳と血肉へきざみ込んだ。



「ごちそうさまッ!」


「よかった。また作る」


「あとこれは棒棒鶏バンバンジーって言うんだぞ」


「そう? お店は、セーに、ボーボードリって教えた」



 セーメンティスはいきな中華屋あるあるを話す。


 いっとき場は和んだが、すぐにもまたセーメンティスは、どこからともなく物騒ぶっそうなしろものを取り出した。



「ごはん終わった、トリニティは……これ、注射して」



 注射器ちゅうしゃきだ。


 中身は、赤みがかった液体が1うがいくすり分ほど入っている。



「セーのマジカルパウアーは、細胞、強い負荷ふかかかる。だから、これ、セー特製の()()()


「ああ、なるほどな。……普通に医者へ行っていいか?」



 人知じんちを超えた存在を、知に肉に受け入れたのに、まだ疑うのか? 

 ――それは、トリニティにとってある種の民間療法を実践じっせんする感覚だったため、許容できていた。


 もっともらしい説明をされ、安全性の不確ふたしかな液体を、さらに医療いりょう器具によって受け入れる行為は、別ジャンルの恐怖があった。



「ダメ。アルウゥスのカサブタ、見られたら、解剖かいぼう。標本、見世物みせもの、アイスマン……」


「それはそれでこええ……わかったよ! 好きにしろ」



 トリニティがあきらめ半分に了承りょうしょうする。


 彼の腹部へ、セーメンティスは注射器のはりを刺した。


 クジャクとの戦いで、遺伝子操作のマジカルパウアーによる影響をもっとも受けた部位だ。

 注射針を通じて、液体がトリニティの体内へ……組織へと浸潤しんじゅんしていく。



「これから、もっと楽しくなる、ね。クスクス」



 セーメンティスはほのかな笑みを浮かべる。意図は知れない。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 トリニティが、清栗きよくり駅にてセーメンティスと手を組んだ日から、はや2週間が過ぎる。


 11月を迎えた。


 トリニティは、それまでに2体、つきはじめに1体。

 合計3体の後継生物を殺害さつがいした。


 いずれもコミュニケーションを取る時間も与えず――と言うより、敵はまるで言語や配慮という()()()()()()()()()()()()()()ようすだった――発見しだいころした。


 当然ながら、マジカルパウアーの被害にさらされる市民を1人も出すことはなかった。



(これでいい。俺がしたかったのはこういうことなんだ。この力があれば、俺は……無力な象徴しょうちょうじゃないッ、本物のヒーローになれるッ!)

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