表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
性癖全開!キャンティマロン~◎セイシをかけて、勝手に戦え!◎~  作者: 石鬼 輪たつ
第1章 VS.アルウゥス 双成町・第二みもみじ商店街編
15/45

第14話  食えない少……女?

 虚幌須うろぼろす市は、双成そうせい清栗(きよくり)駅北口。


 同日、後継こうけい生物せいぶつによる襲撃しゅうげき事件があった。


 しかし、市につとめる警察官たちの臨機りんき応変おうへんな対応によって、日没までに事件現場はもとの平和を取り戻していた。



 学生と社会人の帰宅ラッシュがすぐにも、そこへわりえしない混雑を生み出す。


 みな一様いちように事件のことを口にしながら、痕跡こんせきがないからと、かつての現場の上を平然と歩いていく。



 現場から徒歩すぐ、外観の綺麗きれいなアパート。


 外観同様に綺麗だが、味気あじけないバスルームでは1人、青年がシャワーを浴びる。

 細身の長身は筋肉をまとい、デコボコしている。


 あわ立ったボディソープが入念に体へすり込まれる。

 彼はくもったかがみを手でぬぐう。


 泡がすこし鏡にうつる。

 同時に映し出された、きずひとつないやや血色けっしょく悪い首から上。


 それと対照的に、傷だらけの胴体からだ

 また腹部には()()()()()()()()()()()()()が、じゅくじゅくと水気をはらんでれている。



「――トリニティ。セーも、お風呂入る、したい」


「ああ。今あがる。ちょっと待て」



 バスルームの外から子どもの声。


 青年は声に応じ、ボディソープを洗い流す。

 同じ要領ようりょうで『商店戦士トリニティ』のにわとりマスクも洗浄し、全裸ぜんらの頭へ装着。


 青年……ではなく()()()()()は、出入口のすりガラスに目をった。


 人影がある。

 そのぼやけたシルエットは、茶色と赤褐あかちゃ色と、()()をしている。



「おいッ、なんでもういでんだ! 俺が出てからにしろよ!」



 とっさに青年が怒鳴る。

 すりガラスのの先にいる、バスタオル姿とおぼしき影への叱責しっせきのつもりだった。


 青年の意にはんして、肉付きのいい影はバスタオルをはねのように広げたり閉じたりして、挑発的なしぐさをとる。



「トリニティ、ずかしい? クスクス。セーは、まだ子ども、なのに」


「ああ、そうかよ。宇宙人にデリカシーを求めた俺がバカだった」



 声に茶化ちゃかされ、いらいらしながらトリニティがバスルームから出る。


 戸のすぐ外で、やはりバスタオル1枚のみの格好をした赤褐あかちゃ色の子どもと、目が合う。



「……トリニティは、なぜ、かぶり物してる? ここは、お風呂」


「うるせえ、これは素顔(生まれつき)だ」



 トリニティは声に耳をふさぐ。

 足元のかごにかけたバスタオルを手に取り、体の水気みずけを取りながら、声の相手の横を通り過ぎようとした。


 ――が、目が! 


 不本意ながら、少女の肢体したいにしがみつこうとするッ!


 赤褐あかちゃ色の肌をした宇宙人。

 もとい、後継生物の少女()()()()()()()


 キャップを脱いだ茶色のミディアムヘアには、オタマジャクシをした白い髪飾かみかざりが左右に2つ、ツインテールのようにぶら下がっている。


 彼女はむねから下をバスタオルでおおっているが、巨大なしりのおかげでボディラインが浮き上がって見える。


 また、その胸はからだとわずかな段差を生じ、ぞくに言うぽっちゃりした体型ながら骨盤こつばんによるくびれは女性的魅力(みりょく)んでいる。


 きわきは下腹部の盛り上がり。


 ()()()()()()って――、



「ん?」



 思わず、トリニティは少女のバスタオルを下からぴろっとめくってしまった。



「なぜめくる?」


「悪い。なんか()()()()な、と」


「セーは、()()()()だから。ついてて、トーゼン」



 少女の顔をして、セーメンティスが言う。


 またぐらのりがぴくぴくしている。


 トリニティの思考はフリーズした。



「こんなこと、したら……()()()()()()、も、トリニティは、好きになってあげない、よ?」


「あー……ダメだ。睾丸力こうがんりょくだの、マジカルパウアーだのはギリ理解できたが、これはわからん」


「それも、関係ある。お風呂上がったら、セーの、カラダのこと教えてあげる、ね」



 セーメンティスは板についた挑発ちょうはつ的な口ぶりで約束をする。


 それを聞いてトリニティは、ただ疲労めいた感覚のみを覚えていた。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「どこまで、アルウゥスから、聞いた?」


「えっと……お前らの惑星ほしの人類は、精子せいしん中に睾丸力こうがんりょくって物質をもってて。こいつを脳に入れたら、マジカルパウアーが使えるようになったと。なんつうはなしだ……」



 この世界の狂いように、振り返りながら自身でツッコミを入れてしまうトリニティ。



「んで、最初にマ・ラが生まれて、マ・ラの力で他のものとの間に生まれたのが――」


「そう、セーたち、後継生物こうけいせいぶつ



 リビングにて。


 パジャマ姿に、にわとりマスクをかぶったトリニティ。


 そして彼のパジャマを借りたセーメンティス。


 2人が対面しているのは、2人掛けの質素しっそなダイニングテーブル。


 しかしながら常人じょうじんばなれした彼らが座ると、途端とたんにテーブルは聖域せいいきのごとき特別感をかもし出した。



後継生物こうけいせいぶつは、置いといて。セーたち(の人類種)は、オスで産まれて、20年くらいする、と、メスになる」



 セーメンティスは親切さなど持ち合わせず、ただ淡々とそう告げる。


 こいつは何を言っている?

 トリニティは鶏マスクの下でそういう顔になる。

 会話が始まった以上、口にすることはしなかったが。



地球人トリニティたちは、オスかメス、産まれる前に決まってる。セーたちと、根っこからちがう」


「なる、ほど……お前らは()()()()()()()()、ってか。考えもしなかったな」



 トリニティはまたセーメンティスにからかわれまいと、迅速じんそくに理解したという態度を示す。


 性別が変わる人類。

 学術的には、「雄性ゆうせい先熟せんじゅくせい転換てんかんを行うヒト」とでも呼べばよいだろうか。


 だからセーメンティスは少女の見た目をしながら、実際は「まだオス」であり、下腹部にそのあかしが今も確かにぶら下がっているのだ!



「トリニティは、かん違いしてる。マジカルパウアー、使うには、精子の頭分解する(とける)……『無頭むとうしょう』という、それが必要。のうにある睾丸力は、『無頭むとうしょう』起きた、感知してマジカルパウアーの物質出す」


「急になんの話だ……何が言いたい?」


「マジカルパウアーは、()()()()使()()()()。だから、セーもアルウゥスも、オス」



 彼女……いな、まだ彼ということか。

 彼の発言に、トリニティは愕然がくぜんとする。


 トリニティのお下がりのパジャマは、セーメンティスにとってサイズが2回りも大きかった。


 ダボダボの服を着た見た目は、土偶どぐう色彩(しきさい)ではあるが西洋人形のように愛らしい。



 ――だが、オスだ。

 そのあらためたトリニティすらも、いまだに信じられなかったが。



「まあ、オスなのは、わかった……けど、いずれメスになるってことはさ、セーメンティスたちは将来的にマジカルパウアーが使えなくなるのか?」


「わからない。前例がない、から。マ・ラのマジカルパウアーは、まれる()()()()()()()。でも、(後天的に)メスになる、ならない、わからない」


「じゃあ、もしオスのままだったら、死ぬまでマジカルパウアーは使えるのか」



 トリニティが問いかける。


 セーメンティスは静かにうなずきを返す。

 トリニティはうなった。



「セーたち(の人類種)が、メスになる、理由……お腹の『キャンティマ』が、オスからメスに、なるから。キャンティマは、精子もたまごも作る。今も。だから、わからない」


()()()()()()……」



 意味不明な名称を口にしたそのとき、短くトリニティの腹がきゅうと鳴き声を上げる。


 空腹のサインだろう。

 頭を使いすぎたためだ。


 それに、気がつけば時刻はとうに20時を過ぎていた。



「お腹、空いた、でしょ? セーが、ごはん作ってあげる。セーは、ごはんうまいから」


「いや……ああ。ありがとう。キッチンなら好きに使っていい」


(宇宙人が作ったもんなんか食えるか! なんて、な。もう言えねえよな)



 あきらめと安心のないぜになった感情で、トリニティはセーメンティスの背を見送った。



 それからおよそ、30分がたったころ。


 着のままで、料理の乗った大皿をもってセーメンティスがキッチンから帰ってきた。


「おまたせ。()()()()()()、だよ」


「おい……なんだこの肉は? 冷蔵庫に肉なんて入ってなかっただろ。どこから持って……」



 食卓に、大皿の料理が運ばれる。


 ごまだれのかかった白い肉と、電子レンジで解凍した白ご飯だ。


 事情を知らなければ、やや量に不足感がある、平凡な食事といった風情ふぜいをしている。


 トリニティの頭にはとある憶測おくそくが浮かんだ。


 それと同時に、動揺どうようから首筋くびすじに明らかな冷や汗をかき、声をあららげた。



「今日の、収獲しゅうかく


「俺は猟師りょうしになったおぼえはない……まさか、な。ハハ、あのクジャクなんてことは」



 トリニティは、にこにこのセーメンティスと目を合わせる。


 ……の色を知っている目だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ