プロローグ 炎の中
屋根付き商店街。
日本人にとっては心象風景の一つであり、地方都市や田舎に出かけるとき、きっと誰もが安らぎを求めてそれを探し歩くだろう。
その商店街が燃えている。
文字通りの、炎上。
屋根は天面から骨組みまで炎に包まれ、何軒かの商店も火の海だ。
肉屋がステーキハウスになりつつある。
人々はすでに避難を終えていた。
ただし、この場に因縁ある3組が残った。
炎上を引き起こした放火魔の巨大なヒツジ。
ヒツジを捕まえにやって来た真っ赤な肌の少女。
そして商店街の平和を守るヒーローと、その助手。
一見、荒唐無稽な組み合わせだ。
二度見しても荒唐無稽だろうか。
ただ確かに、この燃える商店街が彼らを結びつけていた。
「――『次は殺す』、って前に言ったよな。それでも来たってのか、アルウゥス?」
「うん。これがボクの使命だから!」
覆面のご当地ヒーローが訊ね、真っ赤な肌の少女が答える。
彼女の足元に、巨大ヒツジがひざまずいている。
「だよな。なら、お前も駆除するまでだ……」
言葉に続いて、ご当地ヒーローは右腕を水平に掲げる。
腕がグネグネと変形し、あらわれた《《肉色》》の大剣が、少女へと向く。
「覚悟しろ、侵略者どもッ!」
開戦の合図。
ご当地ヒーローは大剣を構えると、少女に斬りかかった。
火の粉が舞う。
炎の中、熱波が皮ふを焼き、煤が肺腑を汚す。
守りたいものがある、その通り。
自身のやるべきことだから、そうに違いない。
けれど! 動機など後付けだ。
彼らは戦わずにはいられない。
戦いのために生まれた。戦いは本能である。
――そういう生き物として産まれた。
この事実がひたすらに彼らを戦いへと駆り立て、戦士たらしめるのだ。
『性癖全開!キャンティマロン』




