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親近感
私はその瞬間、内臓を口から吐き出した。
例えようのない恐怖、不快、絶望に襲われたせいで。
無遠慮な手で体を撫でまわされ、火傷しそうなほど熱い手で、皮膚を掴まれ引っ張られ、いじくられた。
「うわっ!!コイツッ!キモいモノ吐き出したっ!!何じゃこれっ!!ゲロか?クソかっ?キモっ!!グロっ!!!」
敵は気味悪がって、あわてて私を放り出す。
自分の内面の醜悪な部分・劣った部分を見せれば、敵は、私を、相手にするまでもない『負け犬』認定して、手放す。
死ぬまで攻撃してくる加虐趣味嗜好者は別として。
だが、私は強い。
肉体と同量の内臓を吐き出し、瀕死のように見せても、海へ戻れば内臓は再生する。
「小学校の時、先生に怒られておしっこを漏らしたんだ!」
ヒトが自虐で笑いをとるのも似たようなものだ。
大丈夫。
傷はたいしたことない、すぐに癒えるさ。
【あらすじ】
動画でナマコを見て感じた事です。