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4/7

3日目ですぜぇ!

8/6 17時過ぎ

今夜のご飯は、とりあえず、昨日異世界ご当地料理もどきを造った時に余った大豆を粉々にして四角く固めた素材を、ウーシの乳からできる熱すると伸びる素材に和えて、そこに玉ねぎやゴーヤを加えた。

味付けは塩のみであるが、ウーシの乳からできる熱すると伸びる素材が、もともと塩気があるために、少ししょっぱくなってしまったが、熱中症予防だと思えばよかろう。

今回の風呂の後の運命の時は、事前に買ってあったせんべいとチョコクッキーと共にいただく。菓子類は3パック入りの個包装だったので、いつでも食べられる。

それにしても、今日は非常に疲れた。ウーシの捕獲作業は、ただその場にいるだけでも暑いし、ウーシを捕縛できたとしても、それを少し移動させるのに、括り付けるのに、体力が大幅に持っていかれる。

原因不明ではあるが、左手親指に出血を伴わない切り傷が出来たので、これも早く治したいところである。

それでは、おやすみ。


8/7 6:30改め、7:20

おはよう。

そしてもう一度、おはよう。

二度寝してあわや寝坊するところであった。

寝坊した場合は、英雄から存在を消されると考えていいであろう。明日は気を付けよう。早速目覚ましを多くかけておいた。

即座にバナナとヨーグルトと、さらにはミカンを貪り、カモミールティーを丸呑し、即宿舎を発つ。

今日は、昨日の勇モーションタグ付けの続きをやるとの事であるので、気合を入れて現場へと向かったが、凝らせておいた水やタオルなど諸々を忘れてしまっていた。休憩になったら取りに戻ろう。

午前は、削蹄するためにウーシの捕縛と、ウーシの移動、そして飼料をあげ、ヴァイタミンを付加した。昨日までは、ヴァイタミンはかかっている物を混ぜるのみであったが、今回はヴァイタミンをかけるのをやらせてもらった。

また、これらの飼料には、おととい昨日と、なにやら粉をまぶしていたのだが、この粉は、よく牧場で見かけていたカゴシマライトと書かれていた袋に入っていた、カゴシマトライトという異世界近くの土地が原産地の鉱物の粉末であったことが判明した。生育や静菌剤としての効果もあり、腸の調子を整えるようだ。

この袋の口を止める機構も、人間の編み出した編み込みの技として、解く時には非常に気持ちがよかった。

ウーシの捕縛や、ウーシの移動に関しては、昨日と同様に、全然捕縛できなかったし、弱者から逃げるウーシの習性を利用して追い立てるのみであったが、これでも、非常に疲れた。

しかし、午後には勇モーションタグ付与の捕縛が待っている。こんなことでへばっていては、まだまだである。


時は昼休憩。

英雄の一人が、自身の操縦する近代的な移動装置に、私を乗せて休憩場所まで送ってくれるとの事であったため、お言葉に甘えて乗せてもらった。やはり、徒歩での移動よりも楽である。

冷凍庫で凍らせていた水と共に、宿舎からタオルも取ってきて、弁当を喰らう。

たまにはテレビジョーンでも見ようと、休憩場所にあるテレビジョーンを点けた。このテレビジョーンは、異世界であっても、私の世界の情報を把握することのできる、先人の作った偉大な発明の一つである。

特に見たいチャンネルは無かったので、夏の高校野球を見ることにした。

共に弁当を食べている英雄と一緒に、暑い中何やってんだか、負けちゃって泣いとるわエースが、土持って帰っても税関で止められるのでは、などと他愛もない会話をした。やはり、誰かと見るテレビジョーンは良いものである。

午後になり、早速だが、ウーシの移動があった。彼らは、出荷されるようである。

彼らのような強大な力を持つ存在、ひいては、勇モーションタグを出荷されることを知らずに取り付けられた雌もいたため、そのような圧倒的な存在を、屠殺し肉などに加工することが出来るというのは、英雄よりもさらに強き存在が出荷先にいるということだ。

つまり、勇者や賢者などの役職であろう。

一目見てみたいところである。


さて、ついに、勇モーションタグの取り付けが開始された。そして、しばらく捕縛を試みて私は、ウーシの捕縛の一種の答えを見つけたかもしれない。

それは、『捕縛が実施されている区画外の、主に隣の区画にいるウーシは、自分たちも捕縛される運命にあるとは知らずして、本来なら区画内にいるはずのない捕縛している者に、興味を持って近づいてくる』という特徴を利用するというものである。

隣の区画にいるウーシがたびたび、私に顔を近づけて匂いを嗅ぐようなそぶりを見せて、作業服に鼻をこすりつけていたことから、じゃあその瞬間に鼻輪をつかんで捕縛に移行すればいいのでは?ということで生まれた方法である。投げ縄で引っ掛けて捕縛することができない私にできる、最善策であろう。

これは、何も知らないのんきなウーシが、本当は捕縛対象として後ろ目にマークされているとは知らずに、まんまと近づいてくるということで、とりあえず『対岸の火事理論』と名付けた。

ちなみに、この理論で特許を取得する予定はないぞ。

この理論を用いるコツとしては、英雄たちが捕縛を行っている区画内に入って、隣の区画の近くでさあ区画内のウーシよ捕まえてやる!といった姿勢を見せることである。すると、隣の区画のウーシは、なにやってんだこいつは?匂いでも嗅いだるか。といった様子で、物珍しそうに近づいてくる。その時に、「おお、なんだお前急に⁉びっくりしたなぁ。」といった様子でゆっくりと頭をなでたりしながら、おもむろに手をかざして、袖の匂いを嗅いだ瞬間に鼻輪を掴むのだ。

この方法で、最後の最後の方であるために数は少ないが、立て続けに3,4頭は捕縛することができた。大きい個体でも、鼻輪を掴むのがしっかりできれば、初心者の雑魚である私一人でも、容易に捕縛できる。

ただし、この理論を用いるには、重大な弱点がある。それは、①近づいてくるウーシは、本当にのんきな個体なので、一区画に1匹いるかいないかであうこと。1匹いただけで上出来であること。②それでも確実に鼻輪を掴めるわけではないということ。掴んでも振りほどかれる可能性があること。③英雄にすら、隣の区画のウーシを捕まえようとしていることを悟られない状態なために、英雄が隣の区画に介入してウーシが逃げてしまうことがある。の三つである。

この弱点は、とりあえず素早く捕まえて勇モーションタグを取り付けるタスクに関して、非常に致命的である。二区画くらい先のウーシを狙わなければ、ほとんど成功することは無いと考えてもいいだろう。

他の英雄が頑張っている中、ゆったりと隣の区画のウーシを狙っている姿はもはや、傍から見れば縄を持ってただ佇んでいる雑魚そのものである。そりゃあ、英雄も見かねて支援をしに来てくれるというものである。

一通り捕縛を終わらせ、最後の休憩に入ったが、左手親指の切り傷は、非常に悪化していた。2本ほど切り傷が増えていたのだ。そして、そのうち一つは、出血を伴っている。

思い当たる節としては、捕縛に用いた縄による傷害、そして、手を洗うために用いた蛇口のバルブによる傷害である。

この二つは、どれも英雄の普段用いている装備、道具であるために、私の肉体が傷つくのは納得がいく。使用するためのステータス要求値が高いのは、仕方のないことだ。

今日は、足装備も英雄から支給された鉄板入りの物を装備してきたために、左足の痛みはぶり返してきた。やはり、この牧場内のものは、装備要求値、使用要求値が高いのである。

少しでも肉体に傷が付けば、それがウーシの力によって破綻し、出血をしてしまうのは、当然である。たとえ英雄であっても、マメができればそれが潰れ、痛みを伴うことが往々にしてあるのだそうだ。


今日もまた疲れた。

宿舎に戻り、夕食を作って風呂に入ってから、この文章を書いている。

今回は新たな理論を構築できたので、この理論を完成させるのが、明日の課題であろうか。

ちなみに今日は、牧場のある山の麓まで降り、食材の買い出しへと出かけた。

今回は、足りなくなってきた2Lサイズの飲み物の買い足しと、後世に残すための酒、そして、休憩のたびによく英雄から支給していただいた、チューペット・チューチュー・ポッキンアイス・ぱんちゃんアイスと、世界によってさまざまな呼び名で知られる氷菓子を買ってみた。このアイスは、この牧場においては、異世界に存在する人間が固有に保有している攻撃スキル:【カメーカメー攻撃】に利用されていて、食べると非常においしい。

少しは、牧場にある休憩所の冷蔵庫に置きに行こう。

それでは、おやすみ。



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