2日目ぇ!
8/5 17:00
タスクを終え宿舎へと戻るは17:00。
そこより、作業着を洗濯し、私服へと着替えて夜ご飯を作る。
今回の夜ご飯は、無難に米と、そしてこの異世界でご当地料理として楽しまれている物を見よう見まねで作ってみた。適当にその場にある調味料をぶち込んだので、味は本物とはかなり劣る。それでも、雰囲気だけで十分楽しい。これが、自由な自炊である。
異世界とはいえ、米と見知ったような食材があったのは、やはり物流というのはさすがである。自分以外にも異世界に来たものが過去におり、それにより始まったこの異世界での人間の定着。非常に感慨深い。
そして風呂に入り、いよいよ、運命の時…。
先人が遺物として残していった酒…。しかもご当地クラフトビール…。
この異世界には、天使の羽の素材が使用された菓子が売りに出されているため、これとともに…。
寝る前には青汁などもいただきまして、この日は寝ることにした。
だが、いざ寝るぞというときに、なんと雨が降り出してきた。バラバラと雨粒が窓ガラスを打ち付ける音が、暗くなった部屋に鳴り響く。
そして約5分後、雨は降りやんだ。
これがこの異世界の特徴である。雲の流れが速いために、雨は早く降りやむ。そして雨が降るのは主に海上。さすが異世界。
まあ、気候の特徴が私の世界と同じであるわけがない。少し間考えれば分かることだ。
さらに、過去には、牧場中央辺りにある休憩所を境に、こっち側はカラッカラのカンカン照り、あっち側は土砂降りというような現象も起こったらしい。これなら、台風が来たとしても何も影響はないかもしれない。
それでは、おやすみ。
8/6 6:30
おはよう。
今日も今日とて異世界での牧場実習。朝からイソヒヨドリらしき鳥にご挨拶された。こっちは突然飛び立たられて非常にビックリである。
バナナとヨーグルトを貪り、カモミールティーをカップに注ぐ。
今日はどのようなタスクをこなせばいいであろうか。
ちなみに、足装備は自分で持ってきたレア度ノーマルの作業長靴を着け、作業着も赤にカラーチェンジしている。
鉄板入りの英雄的足装備は、装備要求値が高かったので、昨日は足を痛めてしまった。
今日私を案内してくれる英雄から課せられたタスクは、削蹄のためにウーシを捕縛すること、飼料を混ぜること。そして、飼料を撒くこと。そして極めつけに、ゆうモーションタグというものをウーシに取り付けるために、ウーシを捕縛することである。
ゆうというのは、おそらく勇。つまり、勇者的な動きの手に入るタグなのであろう。つまり、英雄たちの管理下で、勇者的な強さを誇るウーシを育て上げるということになる。
削蹄のためにウーシを捕縛してみたが、これがまた難しい。英雄の装備である縄を、足りない能力値で扱うこととなるからである。「投げ縄みたいにして頭に引っ掛けてやるんだよ」とかろうじて聞き取れる言語で言われたので試みてみたが、能力値が足りていないために、縄はあらぬ方向に飛んで行ってしまう。
縄が引っ掛かったとしても、ウーシの力には遠く及ばず、縄がはじけ飛ぶこともしばしば。
こんな状態で、ウーシが勇者的な動きを手に入れたら、私は存在ごと消し飛ばされてしまうかもしれない。考えただけで末恐ろしい。
そして気づいたことがあるが、カラスであろう存在が、とにかく細い。シュッとしている。さらにはスズメらしき存在も、何やら形態が違う気がする。私の世界と同じ姿であるハトを見ると、非常に安心するほどには異様な姿である。
時は昼休憩、非常に疲れた。
というのも、昼休憩前に少しだけ、勇モーションタグを取り付ける選りすぐりのウーシたちの捕縛を手伝ったのだ。
捕縛出来て、せいぜい2、3頭。一区域で5匹×12ほどであるため、そのほとんどは英雄たちの手によって捕縛されている。それなのに、どっと疲れた。
事前に英雄から、今回のウーシは大きい個体だから十分に気を付けるように、挟まれたら潰される、蹴られると骨が砕けるほど痛い、と言われていたため非常に気を付けていたためである。
気を抜いたら確実に殺られる…。
肉体的にもそうであるが、精神的に非常に疲れた。
そして、午後はもう捕縛作業しかしないとの事なので、もう崩壊の始まりである。なにやら昨日痛めた左足の痛みもぶり返してきた。
世間は甲子園が始まって浮かれているというのに…。
ちなみに、先日、共に弁当を食べている英雄から「毎日同じ弁当だ」と聞かされていたが、先日とは少し違う弁当であった。これは、四捨五入したら同じであるため、そうなるのも仕方がない。
休憩が終わった後は、捕縛して捕縛して捕縛して…。
今回は、英雄たちが事前にウーシに取り付けていた鼻輪を用いる捕縛の仕方や、縄の結び方を教わった。
最後の方では少し扱いに慣れてきたので、英雄という強者から縄の扱いを教わることで、少しステータスの上昇があったようだ。ただ、投げ縄はうまくいかなかったので、次は投擲能力の上昇を目指して行きたい。
合計的には、ウーシ舎の一区画を捕縛しながら渡り歩き、10頭程度は自分の力で捕縛することが出来た。全体で5頭×20ほどであるため、1/10の働き程度でしかなかった。
私が5分程度捕縛を試しても捕まえることのできなかったウーシを、英雄の一人が30秒ほどで捕縛したのは、さすがに心が折れた。
さて、すべてのタスクが終わり、宿舎への帰り道、見かけたことのないムカデを見つけた。トビズムカデのようであったがなにか違ったので、異世界特有の生物であると予測する。
やはりここは、異次元なのだなぁ。
宿舎へと戻り、夕食を作り出し風呂に入った後に、これを書いている。日記という名目で書き始めたこの文章だが、毎回2時間近くかけて3千4千文字書いているため、非常に大変である。
今日はここら辺で、おやすみなさい。
細っこいカラス:ハシブトガラスの亜種らしい。
謎のムカデ:タイワンオオムカデ