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いざ牧場へ!

この文章は、作者が牧場実習へと赴いた際の日記である。

プライバシーの配慮や異世界感を出すために、ごく一部の用語を改変しているので、それによって何か不都合が生じた場合、感想などに記載していただければ、対応する。


最終の編集期限は2024/8/12の23:59までとし、それ以降の編集は行わない。

8/4

最近流行りのJ-POPに静寂が破られ、スマホの画面に映し出されたのは、4:00。

昨日は0:00に寝たから、今の状態は4時間睡眠。

眠い目をこすりながら、朝食のパンをほおばり、荷物の最終確認をする。

昨日のうちに荷物をある程度作っておいたから、あまりバタバタすることは無く余裕をもって家を出ることができたが、どうしても、何か忘れ物をしてはいないか足りないものはないかと考えてしまうのは、人間の性なのであろうか。飛行機が出るのは7:15、まだまだ余裕はあるが、それでも、忘れ物を取りに帰っている時間は無いので、考えても無駄であるというのに。

そうしてくだらないことを考えているうちに、もう空港に着いた。

まだ朝は早いため、空港の準備も整っていない。調整中と書かれている札をはがしてまで、自動手荷物預かり機に群がり、上手くいかずに四苦八苦している彼らは、いったい何のつもりなのであろうか。

彼らを横目にきちんと準備が整うまで並んでいた私も、彼らのせいで、「まだ準備が整っておりませんので、並んでお待ちください。」と従業員さんに言われてしまった。私はしっかり並んでいたのにだ。誠に腹立たしい。

しかし、このような些細なことに腹が立つのは、寝不足が原因なのだろう。現に、とても眠い。

準備が整えば、非常にスムーズに事は進む。もう、私は飛行機の中にいる。

思えば、出発日の1週間前に奇跡的に買えたこのチケット。プレミアムシートであるから、学生である私一人ではかなり場違い感がすごい。しかもどうやら、アルコール類が飲めてしまうらしい…。

私はこれから、牧場実習へと旅立つのだ。

農学部の必修単位であるので、面倒くさいが、長期休みを返上して行かなければならない。

しかも、飲酒禁止…。どうせ、先人が実習先で酔ってやらかしたのであろう。どうせ実習先で飲めないのなら、前泊でまだ業務を行わない今が、飲む最後のチャンスか…?

そう思って飲んでしまったのが運の付きであった…。まさか、このようなことになるなんて…。


飛行機が離陸の準備を開始する。滑走路に侵入してから離陸するまでの、飛行機が本気を出す瞬間が何よりも好きだ。ついさっきまでのたのたと滑走路を進んでいた飛行機が、突如轟音を響かせ、300km/h近くまで加速して飛び立つ。なんと素晴らしい。

離陸したのもつかの間、プレミアムシートの特権である食事を楽しむ瞬間が訪れた。おそらく、離陸した際の地面が離れていく感じ、窓の外に雲が現れる感じ、それを楽しんでいて、時間を忘れていたようだ。

「よろしければ、お飲み物もご用意いたしましょうか?」と渡されたドリンクメニュー表。そこには、これから行く実習先の地方産のクラフトビールや、ワインやら日本酒やらが用意されていた。

前にも言った通り、実習中の飲酒は禁止。それゆえに、飲む機会はここしかない。あとは、1週間ほど辺境の地に拘束されてしまう。

私のタガはついに外れ、ビールを頼む。クラフトビールはもう在庫分を全て出し切ってしまったようで、いつもの飲みなれた、ビールを頂く。続いて、スパークリングワイン。

上空にいるため、開けた瞬間爆発でもするのではないかと思ったが、そこはよく考えられており、CAさんが安全な場所で開けてから提供された。

これがまたうまい。売店で小腹を満たすために買っていた味付きせんべいが、さらに味を引き立てる。

ワインに合うのかどうかと言えば、それは人それぞれだ。

ゆったりとリクライニングを倒し、機内ラジオを聴く。このチャンネルは、最近流行りのアーティストさんの楽曲特集をやっているようだ。非常にいい曲ばかりであるので、私も助かる。なんせ、上空では電波が届かず、私の作成したミックスリストは通用しない。

ああ、なにやら、眠くなってきた。寝不足であるし、酒も入っているからであろうな。次に目を開ける時は目的地か、それとも、急な揺れで椅子から振り落とされたときか。

言い忘れていたが私は、シートベルトは着用のサインが消えれば、すぐに外すタイプだ。本来は、座っているときはシートベルトはしていなければいけないので、私はルール違反をしている。良い子はまねをしないように。


スッと目を開けると、シートベルト着用サインが点灯していた。飛行機も、前方の方に若干傾いている。どうやら、着陸態勢に入ったらしい。

これはいけないと、リクライニングを戻し、シートベルトを着用する。

順調に地面に近づき、ガタンと衝撃が走る。無事着陸したのだ。

さてさて、ここからは未開の地でありなおかつ、辺境の地へと向かう。今回はフェリーに乗って海を行くルートを選択している。

フェリーの本数は少ないが、それ以上に、ほかのルートより楽でありなおかつ安い。バスを難題も乗り継ぐなんて、絶対に寝過ごすに決まっている。寝不足なの飲酒者なのだぞ私は。

現に、空港からフェリー乗り場までのバスでの数駅が、非常にきつかった。

頭が痛い、確実に酔っている。なぜ、二杯も飲んでしまったのであろうか。

バスから降り、フェリーの搭乗時間までまだしばらくあるので、少しの間、公園で寝ることにした。公園と言っても、シーソーやバネが下についている飛行機などの乗り物の遊具、それと、滑り台程度しかない小さな公園だ。都会育ちの私からすれば、このようなものを公園と呼んでいいものなのかと疑問に思ってしまう。

しばらく動画配信サイトで動画を見ながら、滑り台に寝転がってうたたねをしていたら、姉弟であろうか、子供たちが虫網を抱えて公園へとやってきた。

あまり人が来なさそうだからと選んでのんびりしていたが、人が来たとなると、もうここに用はあるまい。大人は立ち去るとしよう。

まだ時間があったので、ついでに飲食店を探したが、なかなか見つからないし、それに、見つけたとしても閉まっているところが多かった。やっと見つけたご当地麵屋で、昼食をとる。

麺料理というのは、どうしてこうも多種多様なのか。非常に面白い。

そうこうしていれば、フェリーの出発時刻になる。

フェリーは窓際、それも一番前。これ鉄則。

目的地までフェリーで75分という長旅であるので、音楽でも聴きながら寝ようかと思ったが、やはり飛行機やフェリーなどは、普段乗らないがために、しばらくはエンジン音や環境音を聞いていたいと思ってしまう。これも、人の性であろうか。

最終的には、一通りの海の景色を堪能しながら、代り映えのない海の景色に寝落ちした。


いよいよ到着、最寄りの港。さて、あとは、徒歩40分の道のりを制し、牧場にたどり着くのみだ。

キャリーケースと手土産片手に、ガラガラと周囲を威嚇しながら、道を練り歩く。

港町の街並みにへぇと感心しながら、いよいよ山道ルートへ。これがまた、市街地からシームレスで山道へ移行するため、非常に面白かった。

調子よく進んでいたが、ここで、とある異変に気付いた…。

見たことのない蝶が飛んでいる…。

はじめはカラスアゲハかと思った黒い蝶だが、どこか違う。胴体がオレンジ色なのだ。

それに、白い羽なのに、先の方が赤く染まっている偽モンシロチョウ。ツマグロヒョウモンかと思ったら配色が逆の蝶。

そして、奇怪な音を鳴らす謎の生物。まるでサイレンである。

セミか鳥か、音の鳴る方に近づいてみても、残念ながら恐怖が勝ちそれ以上近づけず、正体はつかめなかった。

まるで、自分が異世界にでも来てしまったんじゃないかと思うほどの奇怪な生態系。だが、道行く人は普通に人間だ。さっきも、仲のよさそうな姉弟を見ているじゃないか。異世界ものの漫画やアニメを見るのは良いが、影響されすぎである。

そう思ったのもつかの間、牧場近くでおじさんに声をかけられ、ここが異世界であることを確信してしまった。

一切聞き取れなかったのだ。「カーリーエージョー?」そう言われて私はその場に固まった。

なんど聞き直しても同じ言葉が返ってきて、「かーりーえーじょーですか?」と聞き返しても、うなずくだけ。言語が通じない…。

ここは…いったいどこなんだ…。


無事に牧場へと到達し、宿舎に泊まりながらこれを書いている。明日から牧場実習が始まるが、この異世界牧場で私はやっていけるのだろうか。

唯一の救いは、牧場の方々はまだある程度言語が通じることか。

それにしても、あのおじさんは何と言っていたのであろう…。唯一の不安要素も、言語が通じない時があることである…。

黒い蝶:ジャコウアゲハの亜種?

白くて羽根の先端が赤い蝶:ツマベ二チョウ

ツマグロヒョウモンの色が反転した蝶:キオビエダシャク

謎のサイレンを鳴らす生物:現状特定不可

カーリーデージョー:現状解読不可

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