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No.65 光輝の翼は無数の針

本格的に戦闘に入ります。

戦闘描写苦手なのは本当に申し訳ないです…

ヒュン、と隣を光り輝く針が通り過ぎる。空中に飛んでいる巨鳥───“光翼”を見ると、突撃態勢に移っていました。


狙いは───私。


「ウイさん!!」


「“オーガブレイク”!!」


ウイさんが私に向けて発動させたスキルで私のSTRが3倍。代わりにVITが半分になりますが───


「キェェェェェッ!!」


「っ───“パリィ”!!」


突撃してきた光翼の軌道を逸し、体勢が崩れたところに───


「“カウンターインパクト”ッ!!!」


副武器である大鎚を叩き込みます。パリィ補正で2倍、カウンター補正で2倍なので単純計算で通常の12倍程のダメージになるはずなのですが───


「っ……硬い、ですね。」


ダメージは通るとはいえ、通しにくいのが現状。詰み防止で総体力が上がっているのも関係して地味に長期戦になっています。


「正規の攻略法が使えればまだ楽なんでしょうけど、ね…!“ドローンヒール”!」


魔術長杖に持ち替えて他のメンバー達に回復ドローンを飛ばします。


遺跡系ボスは戦ったことがないので正規の攻略法が使えないのも難点……そもそも正規の攻略法が使えなければ戦いにすらなりません。


その正規の攻略法を持たない私は本来このボスと戦うその資格がないのです。


「正規の攻略法が使える人が一緒にいるなんてそんな偶然ないでしょうし……!」


資格がないために火力が低いとはいえ、総体力の2割は削りましたし、勝てない相手ではないのです。


……HELLだったらただの絶望でしたでしょうけど。


「キュェェェェェ!!」


怒りの咆哮に聞こえるそれのあと、光翼が突撃態勢に。その狙いは───


「そのまま開けててくださいっ!!」


「「「「「ウイさんっ!?」」」」」


狙いはウイさん、その道を阻もうとした所でウイさん自身からそれを静止されて思わず全員びっくり。


ウイさんが補助師なのはすでに全員理解しています。そして、補助師というのは基本的に戦う術を持たないのです。だからこそ、私達が受ける必要があると思ったのですが───


「キェェェェェッ!!!」


怒り状態だからか動きの早い光翼を見据え───


「───“リアクトプロテクト”!!!」


「「「「「!?」」」」」


一瞬で展開された障壁に光翼がぶつかったかと思うと閃光が奔りました。


その後、一瞬別の光が見えたかと思うと光翼が遠くに吹き飛びました。


今の魔法は───


「は、“反応障壁”…!?」


防御魔法の中でもかなり特殊な“衝撃に反応する障壁”。防御魔法ではありますが、効果時間が短いのとMP消費がそれなりに重いことが使いにくいとされている魔法です。


それに、別の光が見えるほんの一瞬しか見えませんでしたが、あの魔法陣は───


「多重連環………!?」


多重連環魔法。通常の魔法陣とは違い、環状にした魔法陣をいくつも展開することで効力の向上を図る技術です。


こちらもMP消費が重くなる技術なのですが───


「キュィァァァァァァ!!!」


「っ」


怒り状態のときのモーションは少し違う───とは聞いてますけどこれは“普通の光翼”がする行動じゃ…!


「少しですが動きを止めます、攻撃の準備を!!!」


「えっ、あっ、はい!!」


私がそう答えるとウイさんは両手で杖を構えて───光翼が目の前に到達した瞬間。


「“天変地異(カタストロフィ)(アース)”!!」


「っ!?」


大地の隆起。光翼が隆起したそれに捕らわれます。


「からの───“重力圧縮グラビティ・コンプレッション”!!!」


「ミギャォォォォォ!?」


え、ちょ、ウイさん!?


「お願いしますっ!」


「「「「「は、はい!!」」」」」


ウイさんの声に動き出す私達。重力魔法は束縛と物理ダメージ増加の効果があると聞いてはいましたが、本当に普通に叩くよりもダメージが多い…って


ウイさん、あなた本当に補助師ですか!?土属性上位魔法に加えて重力魔法を使う補助師なんて聞いたことないんですけど!?


重力魔法は土属性からの派生魔法……ほとんどのスキルスロットを支援妨害に回す補助師ではほぼ習得不可能な代物!


「これが…CL170の補助師……?」


そもそも、割とやってますけどCL170の補助師なんて聞いたことがないです!ましてや重力魔法を使う補助師なんて───!!


「重力が弾けます、退避を!!」


ウイさんの言葉にバックステップで距離を取った瞬間に光翼を縛っていた重力が弾けました。


……なんというか、コレもうパーティーリーダー権限移譲したくなるんですけど!?




───花神加奈side




〔お、おーう……なーんだこりゃぁ……〕



コメント:


:大困惑してて草

:実況席すごく困惑してら

:まぁ気持ちはわからんでもない

:まぁこれはなぁ……

:遺跡系だからなぁ

:んで遺跡系で絶望案件かと思ったら幼女が一番無双してんの大困惑不可避なんだわ



〔……ヘイ解説、説明ぷりーず。これ理解追いつかねー…〕


〔説明できる事なんてまだほとんどないですよ。…見たままが全て。補助師の女の子が色々と正確に対処してます。……普通ここまで戦えないはずなんですけど、CL170ともなると他とは違うんでしょうか…〕


そう苦笑いしながら言う解説さんに私も思わず苦笑い。



コメント:


:CL170ってすごいんだな

:そんな凄い人ならもっと有名な人でいておかしくない気がするけど

:でもCL170の凄腕補助師なんて聞いたことないぞ……



チャット欄がそんな事を話してる中、視点は切り替わり、結───ウイの姿が映し出される。


光翼は怒りの咆哮をあげる。


突撃姿勢……滑空態勢に入ったのを確認し、その狙いが自分であることを認識するとウイは口を開いた。


〘そのまま開けてくださいっ!!〙


〘〘〘〘〘ウイさんっ!?〙〙〙〙〙


〔Why!?〕



コメント:


:えっ、ちょっ!?

:ういちゃん!?

:ういちゃん!?!?

:死ぬ気!?

:駄目だよそんなの!!

:諦めるなぁっ!!



チャット欄で騒ぐ中、ウイは光翼を見据え───衝突する寸前で口を開く。


〘“リアクトプロテクト”!!!〙



コメント:


:!?!?!?

:はぁ!?

:リアクトプロテクトォ!?

:超高難度の魔法パリィ!?てか、いくらなんでも展開早すぎんだろ!!

:おい待て、光翼ピヨってやがるぞ!!

:まじかよ!?

:待て待て、ういちゃんの右手……!!



チャット欄で指摘されたウイの右手にはネットに入れられた魔力の弾があった。


〔ほー…こりゃすごい。〕


〘多重連環───全部“魔力弾拡散炸裂(バレットバースト)”っ…!い……けぇっ!〙


ウイが魔力の弾を離すとその魔力の弾は光翼に着弾するとともに強い爆発を引き起こした。


〔3枚用意されてた環状魔法陣がすべて“魔力弾拡散炸裂(バレットバースト)”。で、“魔力弾性網(マジックゴムネット)”と接続されてた環状魔法陣が“魔力弾速度増幅バレットスピードブースト”…なるほどすごいですね〕


〔スマン、何言ってるか分からねぇや……〕


〔簡単に言えばウイさんが今やったのはパチンコやショットガンですよ。完全魔力式の、ですが。〕



コメント:


:パチンコ…

:パチンコか……

:いやでもあんな威力出るんか!?

:普通は出ない

:普通あんな威力出せん

:あんな短時間であんな威力出せるのははっきり言って異常

:つまり何かカラクリがあると?

:そうなる

:俺が知ってる魔法パチンコと違う……



〔全部はわかりませんが、3重の魔力弾拡散炸裂でノックバック効果が8倍にされているのに加え、魔力弾速度増幅によって魔力弾そのものが加速し威力が上がっている…というところでしょうか。〕


〔ほー…〕


〔ちなみにリアクトプロテクトですが、正確にはパリィではないですよ。〕



コメント:


:え?

:そうなん?

:パリィじゃないの?



〔そうなん?〕


〔リアクトプロテクトは反応障壁。衝撃を受けたときのみ予めセットされた魔法を発動する魔法です。今回の場合は“インスタンフラッシュ”ですね。〕


〔……んー?〕



コメント:


:???

:どゆこと??

:すまんよくわからん

:反応障壁は何者かによる衝撃…魔法でも武器攻撃でも投擲物でもなんでもいいけどそれを魔法の効果時間中に障壁で受けると障壁展開時に反応障壁の消費MPとは別に予め宣言することで支払っておいたMPの魔法を詠唱なしで自動起動する……ってこと

:そうなの?

:そうなの?

:反応障壁の消費MPが多いのは反応障壁の消費MPに別の魔法の消費MPが上乗せされているから。何も宣言しなければ“マジックパリィ”が発動するから地味に気づかないんだろうね

:宣言…ねぇ

:何か宣言してた?

:カメラが離れてるときに宣言してたんじゃないかな



〔おや、詳しい方がいるようで。そうですよ、反応障壁とはそういう魔法です。プログラムで言うif文を成功させた時の処理を行う、という感じですか。〕


〔Ah……それでようやく理解したわ〕


〔プログラムに当てはめると理解早いのなんでです?〕


そんな話をしていると光翼が動き始める。


〘“天変地異(カタストロフィ)(アース)”!!〙


〔はぁ!?〕

「えっ…!」



コメント:


:!?

:!?!?

:カタストロフィ!?

:補助師がカタストロフィ!?

:嘘でしょ、補助師が上位魔法使うの!?

:てかまって、今ういちゃん遺跡系になってることでモーション変化してるはずの光翼の動きに完璧に対応しなかった!?



〘からの───“重力圧縮グラビティ・コンプレッション”!!〙


〔オイオイオイ!?重力圧縮とかマジかYo!?〕


〔すごいですね……〕



コメント:


:え、待ってこれホントに補助師?

:重力魔法使う補助師なんて聞いたことないんだけど

:そもそもCL170な時点で普通の補助師とは規格がまるで違うから比較できない……

:何が凄いのかよく分からんけどそれでも何かが凄いってのは分かる

:重力魔法って土属性魔法からの派生……土属性上位魔法を使い込まないと使えない特殊な魔法なんよね。

:スキルスロットを攻撃以外でほとんど埋める補助師が使うような代物じゃない……



〔しかも遺跡系で効果半減しているはずなのに拘束時間9秒なのでスキルレベル6ですね、これ〕


〔ファッ〕



コメント:


:ファッ

:レ、レベル6……

:うせやろ……

:スマン解説プリーズ

:“スキルマスタリー”って言ってな、基本的にはスキルを使い込めば使い込むほど効力や展開速度が上がるんよ。

:確かスキルレベル上限は20だっけ……?

:せやよ、スキル熟練度が各スキルレベルでMAX1000.0、スキル熟練度500.0で次のスキルレベルが解放されるからスキルレベル6を持ってるってことは最低でもスキル総合熟練度2500を越えてるってことになる

:スキル熟練度ってスキルレベルごとに分かれてるから口頭説明だと理解してもらえるか難しくなるのよね

:ちなみにレベル5、レベル10、レベル15の区切りでそれ以降の熟練度の上がる速度が変わるからレベル6は全体で見ればまだまだだけどかなり使い込んでることになる

:ほーなるへそ

:んで、本来重力圧縮レベル6の効果時間は18秒。レベル20にすると60秒動きを止められるようになる。ついでに全物理ダメージ増加のおまけ付きな

:ぶっ壊れスキルじゃねぇか、普通に動き止める魔法でもMAX90秒じゃなかったか!?

:デメリットとしてMP消費くっそ重いんだわ

:かなりの高位魔法スキルだからそれくらいあってもおかしくはないんだよな…



〔ナァ、重力圧縮ってかなりMP消費重くなかったか?〕


〔MP継続回復スキルもスキルレベル10で所有しているので特に問題ないと思いますよ。〕


〔まーじかよ〕



コメント:


:お、おう……

:スキルレベル10か……

:折り返し地点じゃねぇか

:ただの補助師じゃないな……

:カナさんも相当困惑してるのが見て取れるわ

:そりゃMP消費気にせずに撃てるわけよ



〔……しかもこれ、本気出してませんね…この女の子。〕


〔はぁ?〕


あ、気づかれた。



コメント:


:は?

:へ?

:本気出してない?

:加減してるってこと?

:どゆこと?



〔さっきの重力圧縮スキルもそうなのですが、あの子が使ったスキル全ての展開速度が最速です。つまりこれはスキル熟練度1000を示しています。〕


〔1000……ってことは…〕


〔はい。チャット欄でもありましたが、次のスキルレベルが解放されていておかしくありませんね。〕



コメント:


:って、ことはだ……

:あの子が持ってる重力圧縮スキルってスキルレベル7!?

:待て待て、スキル熟練度って500.0に到達すると上がりが悪くなり始めて850.0からは極端に上がり悪くなるんだぞ!?それなのにスキルレベル6の熟練度が1000.0!?化け物かよ!?

:女の子を化け物呼ばわりは失礼やぞ

:でも言いたくなる気持ちはわかる

:確かに展開速度は上がるけど効力は上がらないからなぁ…

:すまん、スキルレベルが高い状態のスキルがあるのにスキルレベルが低い状態の同じスキルって使う必要あるん?

:それ

:ある

:ある

:初心者は分からんと思うけど実際ある

:実際あるんよね

:拘束時間の調整とかしたいときに使えるんよね

:魔力弾系なら単発に戻すとかできるからね

:ほー

:そうなんか……

:でも同じスキルを低スキルレベルと高スキルレベルで混ぜながら使うのは割と高等技術よ

:システム外スキルって呼ばれるそれよね



〔スキル編成見ましたが、確かに補助師なんです。実際に支援系妨害系はスキルレベル20に到達しているもの多いですし。ただ……ふふ、面白いスキル編成をしてますね。〕


〔笑い方怖ぇよ…〕


解説さん笑い方怖い……



コメント:


:ひぇっ

:解説さん笑い方怖いっす

:にしても手加減、ねぇ

:いやまぁ確かに高レベルキャラクターが下位の難易度で暴れ回るのはマナー違反っていう暗黙の了解はあるけども……

:それでもそれをしていいのは手加減してもほぼ確実に勝てる自信がある奴らだけやで

:補助師が遺跡系ボスのHARDに対して手加減した上で勝てる自信があるってことか……

:末恐ろしいな、おい……

:これがCL170か……



「結ちゃんすごい……」


「このゲームよく知らない私達でも凄いって分かりますよ、これ……」


そう咲月さんと悠奈さんが呟く。


「天才……いえ、神童ですか、あの子……?」


「…んー。まぁ、その表現が正しいかもね。」


「だって、遺跡系ボスってそもそも戦える人が少ないんですよ…?それに“光翼”って結構強いのに……」


……戦える人が少ない、か。


「奏さんって誰かが遺跡系と戦ってるところって見たことない?」


「いえ、それはありますけど…」


「じゃあ、自分で戦ったことは?」


「……それは、ないです。」


「奏さんって戦ったことないんですか……?」


「はい、ないです。…遺跡系って普通ダメージを通せないんです。だからこそ……遺跡系ボスのモーションを知らない人って多いんです。ダメージを通せない相手に敗北が確定した勝負を挑む人なんて…」


うん……正論。遺跡系ボスは普通の攻撃だとダメージを与えることができない。


……普通なら。


「実際挑む人はいるわね。ただ、挑む前にパーティー募集でそのギミック解除枠を埋めるのが基本かしら。」


「ギミック解除……」


「普通の攻撃が効かないのは遺跡系ボスのギミックだからね。それを解除するアイテムやスキルはちゃんと存在するよ。ただ、一時的な解除だからアイテムはあまりおすすめできなくて該当スキルを持ってるキャラクターをギミック解除枠に当てはめるかな。」


…まぁ、そのスキルを持っている人が少ないのが一番の難点かな。


〔……そういや前々から思ってたんダガ、状態異常の1つ、“インスタン”ってなんぞ?〕


〔光属性状態異常の“即時気絶”ですね。“即時の”といった意味の“インスタント”と“気絶させる”といった意味の“スタン”が掛け合わさって生まれた状態異常の名称で…その、ついノリでその名称のまま実装しちゃったやつです。〕


〔なんじゃそら…〕


あれそんな意味だったんだ…


〔皆さんご存知だと思いますが無属性以外には状態異常が存在します。火属性に“火傷(バーン)”と“凍結(フリーズ)”。水属性に“湿潤(ウェット)”と“乾燥(ドライ)”。木属性に“睡眠(スリープ)”と“(ポイズン)”。金属性に“石化(ペトリファイ)”と“変質(メタモル)”。土属性に“麻痺(パラライズ)”と“感電(ショック)”。光属性に“即時気絶(インスタン)”と“目眩(ディジー)”。闇属性に“魅惑(チャーム)”と“盲目(ブラインド)”といったように。似ている効果もありますが、まぁ…お気になさらず。〕


〔気にはなるケドな。…でもなんで無属性はネェの?〕


〔無属性ってただただ属性を纏わない攻撃ですからね。状態異常に出来るようなことって出血や気絶くらいしかないんですよ。出血や気絶は物理武器でも可能ですから実装するにもできなかった感じですかね。〕


〔アー……斬撃なら特に出血とか簡単だもんナ…〕


〔です。〕


結構悩んで構築してそう…

改めて調べたら天変地異って“カタストロフィ”が訳じゃないっぽいんですが……まぁいいやとなってしまいました。

…前に調べたときカタストロフィだった気がしたんだけどな…

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