No.55 コミケ初日
ちょっとした余談。各先生の既刊は見てくれている人が欲しいものを選んでる、みたいな感じにしてますが中でも神凪さんの既刊の1つである“男の娘×女の子NL同人誌”はななみちゃんが元男の娘であったことから実際にあったことを書いているのではないか、という説が浮上していたりします。
真相は神凪さんのみぞ知る…
「新刊セット2つとイラスト集vol.7を1つください。」
『新刊セットが2つとイラスト集vol.7が1つですねー。合計で15,000円になります!』
「4001とS1-1を1つずつ。」
「神凪先生のNL本と新刊セットですね、8500円になります…!」
「S1-1、S2-3、4001、4002、5001を1つずつお願いします。」
「確認します。新刊セット、ぬりえ本セット、神凪先生既刊2種、モデル付CG集が1つずつですね。合計で13000円となります。」
開場後30分。私や売り子さん達はもちろん、ゆなママも日奈子ママもお客さんの行列を捌くのに手一杯な状況。香月ママと神凪お姉ちゃんは在庫整理と袋詰めしてくれてるんだけど結構人が多くて苦戦中。
『「「こちらお品物になります、お買い上げありがとうございました!」」』
「「「ぐっふっ……」」」
〔30分経過につき新刊状況報告!1001残数71%、1002残数73%、1003残数74%、1004残数73%です!〕
私のイヤホンに結ちゃんの声が届く。結ちゃんは遠隔で在庫管理を担当してるんだよねー。
実際の話、結ちゃんは情報処理も相当得意だから結構適任だったりするんだよね……ほんとに小学生かなー…
それはそれとして……
〔続けて4001、残数20%!〕
予想外なのが神凪お姉ちゃんの既刊が飛ぶように売れてることー…!神凪お姉ちゃんが多め(大体新刊の1/3くらいの数)に搬入したって言ってたけどもう1/5しかないみたいっ!
『お待たせしました、お伺いしまーす!』
「ぐぉっ……し、新刊セットと神凪先生のNL本…1つずつ」
『新刊セットとNL本ですねー、8500円になります!』
「お、お願いします…」
『8500円ちょうどお預かりしますー!』
「ななみちゃんこれ…!」
『はーい!こちらお品物になります、お買い上げありがとうございましたー!』
売り子側がお客さんの注文を受ける→在庫整理側が商品を袋に詰める→売り子側が代金を受け取る→商品の入った袋を売り子側に渡す→売り子側がお客さんに手渡す。このループにしてあるんだよねー。
新刊セットは欲しい人が多いから10袋くらい常備にしてるんだけど、結構ていねいに入れてくれてるから追いつかなくなりそうにはなるんだよねー。
でも雑に入れて商品がぐちゃぐちゃになっちゃうと受け取ってもらった人に失礼だから1つ1つていねいに、っていうのが私達全員の共通認識。
「お待たせしました、お伺いしましゅっ!」
「がはっ!?」
「も、申し訳ありません、お伺いします!!」
「え、S1-1と3007、5001を1つずつ……」
「はい、新刊セットと……えっと、企業依頼品非公式CP本と3Dモデル付CG集ですね、10000円になります…!」
「これでお願いします…」
「10000円、丁度お預かり致します…!」
「香月さん、これ渡してねー。」
「あ、はい!こちらお品物になります、お買い上げありがとうございました…!」
まだまだお客さんは途切れる様子がないねー。
そしてそれから40分くらいが経った頃。
〔「商品番号4001完売です!!」〕
結ちゃんの声と神凪お姉ちゃんの声が同時に聞こえた。
開始後1時間時点の新刊在庫報告で1001残数45%、1002残数47%、1003残数48%、1004残数44%って言ってたからこのままのペースだとあと1時間くらいで新刊が売り切れるかな…
それにしても新刊と同じくらいのペースで売れたねー、4001。…何かあったのかなぁ…
『お待たせしました、お伺いしまーす!』
「え…と、新刊セット2つとキーホルダー全セット3つお願いします。」
『新刊セット2つとキーホルダー全セット3つですねー、合計で33200円になります!』
「あ…っと、これでお願いします。」
『こちら40000円からお預かりいたしますー!少々お待ちくださいませー!』
そう言ってお釣りを用意するために席を外す。お釣りの用意と同時に袋に入った商品を受け取って戻る。
『こちら大きい方から5000、6000円とー…こちらが700円のお返しとなります、ご確認くださいませー!』
その言葉にお客さんが受け取ったのを確認してから手に持っていた袋を持ち上げる。
『こちらお品物になります、お買い上げありがとうございましたー!』
「は、はい、ありがとうございます…」
〔3004残数50%です!〕
対応が終わると同時に結ちゃんから報告が入る。これで日奈子ママの企業依頼頒布品は全部50%切ったかなー?
…あ、ちなみに田中さんはもう来たよー?新刊セット3つと塗り絵用線画集セット2つ、キーホルダー全セット4つ、それから公式CP本と非公式CP本をそれぞれ3つずつ買っていったねー。私が接客したからよく覚えてるー。
………そうして、さらに2時間経過。
「「全商品完売しましたー!」」
私がお客さんに袋を手渡したと同時に神凪お姉ちゃんとゆなママの声が響く。最後のお客さんを見送ったあと、私の足から力が抜けた。
「っとと……大丈夫かしら、ななみちゃん?」
『あ、うん……久しぶりだからかちょっと疲れちゃっただけー…』
「お疲れ様、ななみちゃん。」
どうにか力を入れて自分の足で立って、サークル内を見渡すと売り子側を担当してた人も在庫整理を担当してた人もみんな疲れた表情をしてたー。
「さ、さすがシャッター配置……いつもと来る人の量が段違いでした……」
「ね……何度詰まったか分かんない…」
〔お姉ちゃん、ママ、それと皆さんも本当にお疲れ様です!〕
「「「お疲れ様です…!」」」
『ういちゃんもおつかれさまー。在庫管理終了して休んでていいよー?』
「ういちゃんの声にも疲れが見えるもの……ずっと指示飛ばし続けてたらそれは疲れるわよね…」
「……常に在庫の状況確認しながら苦戦中のスタッフに指示を飛ばすって本当に小学生なんですか、ういちゃん……」
“ういちゃん”っていうのは結ちゃんの仮の活動者名だねー。流石に今回の作業中に呼び名がないと困るっていうことでゲームとかで使ってる名前の“UI”から一時的に付けられた名前になるねー。
結ちゃん自身は“UI”を活動者名にするかは悩み中らしいんだよねー…
『…ねーねー、ママー。完売報告ちゃんとしてあるー?』
「私はしたわよ?」
「わたしもしたよ?」
「私は……はい、してあります。」
「わ、私も…」
『…ん、それじゃー大丈夫かな…みんなー、お片付け始めちゃおっかー…』
「「「は、はいっ!」」」
『げんきだねー…』
「「「ななみちゃんの声に癒やされながら作業できてたので体力有り余ってるだけなんですけど…」」」
あれ、私のせいなのー…?
「私と香月さんも接客数が多かったけれど、ななみちゃんは私と香月さんより接客数も釣銭計算回数も多いからより疲労が強いんだと思うわよ?だって、ういちゃんから釣銭計算補助受けてないでしょう?」
「ななみちゃんって在庫消化予測と釣銭計算を接客と並行しながらやってるもんね……それは疲れるよ」
『あー…なるほどー…?』
でもそれ以前からだからここまで疲れないと思うけどー…
「そもそも今日はいつもよりペースが早かったもの。」
「ねー。」
『あー…言われてみれば確かにー…?』
私達がそんな話をしていると香月ママが首を傾げた。
「あの…今日ってペース早かったんですか…?てっきりシャッター配置のいつもかと…」
「そうね…各商品の搬入数が少なかったのもあるかもしれないけれど、約3時間で全商品完売するのはあまりないかしらね。」
「搬入数が少ない……もしかして、それって…」
少し暗い表情になる香月ママとゆなママに困ったように笑う日奈子ママ。
「あまり気にしないの。元はといえばミコちゃんが持ちかけた話でしょう?私はそれに合意して、ななみちゃんと他のスタッフさん達はそれに協力してくれただけよ。」
「それに、香月さんとゆなさんはいつも壁配置でしょ?っていうことは2人の作品を待ってる人は必ずいる。わたしはただその人達に2人の作品を届けたかっただけ。結構強引だったけどね。」
だから何も気にしなくていいんだよ、って神凪お姉ちゃんが苦笑いしながら言う。それで少し落ち着いたのか、表情が軽くなった香月ママとゆなママが小さく頷いた。
その後は色々とお片付けをしてから撤収ー。お片付け中に私達の方に視線やカメラを向けてきた人が何人かいたけど、私が気づいて手を振ったら胸のあたりを押さえてどこか行ったよねー…
ちなみにスタッフさん達は明日明後日は企業ブースのお手伝いらしいから打ち上げとかするなら3日目の終了後になってるんだよねー。
そうそう、今回のコミケでは結ちゃんが各先生方の搬入物在庫管理をしてますが、今回の搬入物にR18製品はありません。そもそもの話をするとこの先生方の主力はR15製品なのですけども。
実際の話をすれば、結ちゃん自身自分の年齢に合ってない書籍は極力避けてます。ゲームは…うん、まぁ……えっちなものはやってないのでまだ…?(逆を言えばZ指定でもえっちじゃないやつはプレイしてるんだよね…主にホラーゲームとか。)
加奈ちゃん、奈々さん、結ちゃんは全員万能型みたいな感じではありますが、1人1人細かく見ていくと結ちゃんはどちらかといえば後方支援・全体方針指揮官タイプです。
このあたりはゲーム内でより深く描写されるかも…
ちなみに加奈ちゃんは戦線維持・戦闘方針指揮官タイプ、奈々さんは戦況管理・支援方針指揮官タイプです。




