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No.54 着替えて、設営して、ちょっと意外な出会い。

一番の大問題は私がコミケにあまり行ったことがないこと。

所々おかしいところとかあると思いますけどご了承くださいませ……

…冬コミ話の時には調べに行きたいけど時間が取れるかな…

さて、衣装合わせという名の着せ替え人形化が終わった次の日。


あのあと、活動限界時刻(20時)を過ぎて強制的に眠りに入ってしまった私とそこから少し遅れて眠りに落ちた結は、目覚めたら元いたホテルにいた。


奈々の話だと22時頃に神代さん達が車でホテルまで送ってくれたらしい。なんか悪い事したなぁ、って思ったんだけど限界まで振り回しちゃったからってことらしい。


……で、衣装合わせって話だったけど結局今日以降着る衣装って着てなくて。MilkyRainを出る前に渡されたのが今日以降に着る衣装らしいんだよね。なんで全員呼んだんだろう、って思ってたけど…ただ着せ替えしたかっただけなんだろうな……


とまぁ、色々と準備をした上でコミケ会場に着いた私達。結は予定通りホテルでお留守番……まぁ色々手は打ってるけどね。


奈々と愛海はまず設営準備。私、咲月さん、悠奈さん、お父さん、おじいちゃんは用意してある衣装に着替え。お母さんは奈々達の方に手伝いに行って、莉愛はアーティファルの企業ブースに。


「……さ、着替えよっか」


「「は、はい……」」


すごく緊張してる2人と一緒に更衣室に。…私自身、女性更衣室に入るのは初めてなんだけど特に違和感を感じないのは少女化型のせいだろうね。


あ、ちなみに色々と面倒なことになるのが嫌だから東京にいる間は女の子の状態を維持することになってる。実際気をつけることが少なくなるから楽だし。精神的に楽かはおいておくとして。


…女の子でいる間は常に精神的ダメージを蓄積し続ける。それがどんなに小さくて、どんなに私が知覚できていなかったとしても。…多分。それはいずれどんどん膨れ上がっていって、最終的に些細な衝撃で決壊するような代物になっていくんだと思う。


そして、私を含め結も愛海も…奈々でさえ、その限界ギリギリまで気づけない。……ただの予感でしかないけど、そう思う。


そうなった時、私を正常に戻せるのは。…多分、奈々なんだろうな……って思う。


こういうことに関しては、奈々に頼りっきりになっちゃうなぁ……


とりあえず、それぞれ渡された服に着替える。…っていうか。私咲月さんと悠奈さんの衣装知らないんだよね。咲月さんと悠奈さんどころか奈々と愛海の衣装も知らないし。デザイナーと本人以外今回の衣装がどんなものかしらないっていうね。


そんな今回の私の衣装は白魔道士みたいなローブに草花の模様が入ったもの。ウィッグは花園七海と同じ若草色で、靴とそれに合わせる靴下にも草花の模様が入っていて、衣装の入っていた袋に一緒に入れられているデザイナーからの言葉には“植物の成長を助ける魔法使いをイメージ。状況に応じて植物の力を借りて戦う。”って書いてあった。一緒に入ってた折り畳み式の杖も見た目が樹木98%みたいな感じだから…まぁ、それっぽいと言えばそれっぽいかもしれない。


……あと、この杖…な〇はさんの杖みたいに杖の一部に透き通る結晶の部分がある。で、この部分。実は取り外し可能で、別のパーツに変えるとカメラのレンズになる。今取り付けられてるのはダミーだし、電力とかカメラそのものとか色々と準備がいるから今は使えないけど。そもそも更衣室でカメラを使うのはダメよ、と。容れ物になるタイプのもあるけど、それもあくまで“容れ物”なだけでカメラではないし割と特殊めなカメラ使うから今ここでは使えないし。何なら使ったらコミケ開場時レベルの人混みならともかく更衣室くらいでなら音でバレるようになってるし。


さて、私の方は終わったから……咲月さんと悠奈さんは、と。あ、いた。


「お2人とも終わりました?」


「「はい、終わり…まし、た………」」


………うん?…あ。


「立ったまま気絶してるし…」


起こさないとね。


「ほいっと」


「わ、わっ…!」


「あぅ…」


「……うーん。大丈夫かなぁ…とりあえず外に出ますよ?」


「は、はい……」


「ぁい…」


悠奈さんが幼女化しかけてる気がするけど……まぁ大丈夫かな。


ちなみに今日の2人の衣装は魔女みたい。どちらも黒いローブで、悠奈さんは黒い三角帽子をかぶってて、咲月さんは箒を持ってるし。…うーん。多分……魔女系統揃えなのかな?


私達が女性更衣室から出たタイミングでお父さんとおじいちゃんも男性更衣室から出てくる。お父さんはボロボロのマントに短剣2本。おじいちゃんは銀髪のウィッグを付けてボロボロのローブを着てて(刃は短めにされてるとはいえ)大鎌を背負ってる。…これ、お父さんのコンセプトは“暗殺者”、おじいちゃんのコンセプトは“死神”かなぁ…


あ、お父さん達思いっきり武器持ってるけどあれ刃の部分も含めて全部木製ね。万が一誰かにぶつかっても傷つけないように保護もちゃんとされてるやつ。刃に見えるのは銀箔貼ってて、血に見えるのはそこから着色とかやってるだけ。なんかMilkyRainっていろいろできる人多いんだよね。


じっとお父さんを見つめてたら視線に気が付いたようで私と目が合う。小さく笑ってからお父さんはおじいちゃんと一緒にコスプレ会場の方に向かっていった。


私達も私達でブースの方に向かう。道中すごく見られるけどあまり気にしない……のは私だけで、咲月さんと悠奈さんは少し恥ずかしそう。…コスプレって初めてなんだっけ?


「お待たせー。」


「あ、戻ってきたわね……」


…あ、奈々が止まった。


「おーい、奈々ー?」


「…はっ。ご、ごめんなさい…」


「予想はしてたから大丈夫だよ。」


そう言いながら隣のブース───愛海のブースとは逆の方───を見る。…隣のブースの人はまだ来てない、か。


「ほら、奈々も愛海も着替え行っておいで。あとの準備はしておくから。」


「え、えぇ…」


「う、うん…行ってくるね、お兄ちゃん。」


紙袋を持ってブースから離れていく奈々と愛海を見送ったあと、落ち着き始めた咲月さんと悠奈さんに色々確認を取る。


確認が終わったら机の上に置いてある、1本のコードが繋がった結晶……私の杖についてるものの色違いを軽く叩く。


「結、聞こえてる?」


私がそう言うと、結晶に文字が表示される。直径10cmくらいの球体だから読みにくいけど…問題はないみたい。


「音質が悪くなったとかあったら言うんだよ?」


文字が表示されたのを確認してから杖に取り付けられてるダミーを外し、その結晶を取り付ける。その後で無線イヤホンを耳につければ私の準備はほぼ完了。あとは自己暗示で花園七海になるだけだね。


……今取り付けた結晶の向こう側。あと、この無線イヤホンの通信先には結がいる。


今回の結晶はカメラじゃなくてマイクだから結には音しか聞こえないけど…それでも状況は把握できる。実際結からの指示で結晶が光るからモールス信号くらいなら打てるし。


本当は杖そのものを結晶の向こう側の指示で光らせるとかもできたんだけど……そのための結晶じゃないからね、これ。


とまぁ、ブース設営の終わってない場所を咲月さんと悠奈さんと一緒に埋めていったら奈々と愛海が戻ってくるのが見えた。


テーブルの奥から出て奈々と愛海を出迎える。


「おかえりなさい。」


「ただいま。」


「ただいまー。」


「ごめんなさい、少し遅くなったわ。」


「開場まではまだ時間があるから大丈夫だよ。」


「わたしちょっと急いで咲月さんと悠奈さんの作品の整理しちゃうね。」


「あ、うん。」


そう言って愛海は自分のブースに入っていく。


「今回のも似合ってるよ、奈々。」


「あ、ありがとう……いつも暗い色ばかりだから少し新鮮なのだけど…」


「そうだね…でも明るい色も似合うよ?」


奈々の衣装は白魔道士のようなローブに波の模様が入ったもの。ウィッグの色は水色。


愛海の衣装は同じく白魔道士のようなローブに火の模様が入ったもの。ウィッグの色は緋色。


んー…私がくさ使い、奈々がみず使い、愛海がほのお使いってところかな?もしかしたら。


「あ、あの……」


「「うん?」」


私が衣装の考察をしてたら突然声をかけられた。声の方を向くと白色の髪の女性の姿。


「え、えっと……初めまして、隣のブースの者です…!こちら、よかったら……」


「え、あぁ、はい……ちょっと待って頂戴、私も新刊出すわね。」


そう言って奈々が新刊を取りに行く。私は私でその人……その子?を見つめてた。


「はい、お待たせしました、こちら新刊です。よろしくお願いね……ななみちゃん?」


「………」


じっと彼女を見つめてる私に疑問を持ったらしい奈々が私を見つめる。


「あ、あの……?」


「……星野シファレさん?」


「…えっ」


私の言葉に彼女が驚いた顔をする。


「えっ、えっ、えっと……花園ななみちゃん…ですよね?…どうして、その名前を……?だって、その名前は私の学校での名前で……?」


「……ななみちゃんの知り合いかしら?」


「知り合い、っていうか……」


えーっと……近くに奈々と私と彼女以外いないよね?…いないね。


少し待ってもらうように手で示してからスマホを取り出して、一時的に音声が切れることを結に伝えておく。そしてマイクをミュートにして彼女に向き直る。


「今の名前って私の……もっと言えば“かなた”の教え子の名前なんだよね。」


「………えっ。」


「シファレさんから聞いてた姿の特徴と……あと声が一緒なんだよね。もしかしたら、って思ったんだけど……」


これは……やっちゃったかな?


「……先生……?かなた先生、なんですか…?」


「…うん、そうだよ?もう隠す必要なんてないから言っちゃうけど、私が“かなた”だよ。」


そう言うと彼女は俯いた。


「……こんな所で、会えるなんて…」


「「こんな所って。」」


あ、奈々と声が被った。それを聞いて彼女が小さく笑う。


「…ごめんなさい、こんな所って言ってしまって…お会いしてみたかったです、かなた先生。」


「あ、前から言ってたもんね。…ごめんね、女の子になってて。」


「い、いえそれは関係ないのですけど…!えっと、その……今日のコミケが終わった後、お時間ありますか…?これまでのお礼がしたくて…」


「お礼…………って言われても私、何かしたっけ?」


「ななみちゃん、心当たりないの?」


「ないよ。強いて言えばたまに授業終了後も少しの間通話繋いでたくらい?」


あるとすればそれくらいだよね…それにしても、コミケ終了後かぁ…


「んー……あまり問題はないかな…?でも、私だけじゃなくて日奈子達も一緒でいいかな?あと…よければ娘も同席させたいんだけど……もちろん、本人が一緒にいくことを希望すればの話だけど。」


「は、はい!大丈夫です!」


「日奈子もそれでいい?」


「えぇ、いいわよ。」


「じゃあ…今日のコミケが終わった後に、また。まずは今日のコミケを頑張ろう?」


「は、はい!」


「いい返事。」


…あ、そうだ。


「…ごめんね、いきなり学校での名前言って。」


「い、いえ…大丈夫です。」


「えっと、今の名前は……」


「あ、“星司そら”です。…サークル名はまた違うんですけど。」


「星司そら…ん、わかった。それじゃ、頑張ろうね。」


「はい…!」


そう会話して私達は別れた。


「……」


「どうしたの、ななみちゃん?」


「…いや……これは愛海案件だなって思って。」


「?」


「…ごめんね、日奈子には理解がまだちょっと難しいと思う…」


「……あぁ、そういうこと。例の関連ね?」


その言葉に頷く。


「理解できればいいのだけれどね。」


「私自身が非才だから仕方ないよ。…ごめんね、こんな私で。」


「気にしないでいいわよ。さ、そろそろ始まるわよ。最終準備をしちゃいましょう?」


「…ん、分かった。って言ってももう自己暗示だけだけど。」


「結のマイクも忘れないようにするのよ?」


あ、そうだった。


スマホを操作してマイクのミュートを解除。


「結ー。マイクテストー。」


〔…聞こえてるよ、お姉ちゃん!〕


「ん、よかった」


マイクの確認を終えて奈々のブースに戻る。いつのまにか他のスタッフさん達も集まってるね。


自己暗示をかける……前に。


「愛海、ちょっと。」


「ん?なぁに、お兄ちゃん?」


「…奈々の隣のブースの人のことで、いい?」


首を傾げる愛海に顔を近づける。


「……背後に“例の気配”がした。」


「っ……分かった。要警戒で観察しとく。」


「お願い。」


そんな短い会話を終えて私は小さく息を吐いて目を瞑る。


定義───花園七海。


『…さ、頑張ろー。』


〔お待たせしました、只今よりコミックマーケットを開催します!〕


暗示と共に開場アナウンス。それと同時に会場全体が拍手に包まれる。


久しぶりだから鈍ってないといいけどねー。

どうしてオフコラボの時に唐突に奏さんの話を出したかというと、ここで奏さんとななみちゃん達を会わせたかったっていうのがあるんですよね…

ところで日奈子先生達のブースのお品書きをば。新刊はななみちゃん尽くしです。


1001:姫華日奈子新刊“花園ななみイラスト本” \2000

1002:神凪ミコ新刊“花園ななみ受け百合本” \2000

1003:花咲香月新刊“花園ななみ待機画面原案集” \1500

1004:夢咲ゆな新刊“花園ななみ衣装案ラフ画集” \1500

S1-1:新刊セット \7000

2001:姫華日奈子既刊“イラスト集vol.1” \1000

2002:姫華日奈子既刊“イラスト集vol.7” \1000

2003:姫華日奈子既刊“イラスト集vol.18” \1500

2004:姫華日奈子既刊“お仕事イラスト没案集vol.1” \1500

2005:姫華日奈子既刊“お仕事イラスト没案集vol.4” \2000

2006:姫華日奈子既刊“ぬりえ用線画集vol.1” \1000

2007:姫華日奈子既刊“ぬりえ用線画集vol.34” \1000

S2-1:イラスト集セット \3500

S2-2:お仕事イラスト没案集セット \3500

S2-3:ぬりえ用線画集セット \2000

S2-4:姫華日奈子既刊全セット \9000

3001:姫華日奈子企業依頼頒布品“キャラクターラバーキーホルダー3点セットA” \1400

3002:姫華日奈子企業依頼頒布品“キャラクターラバーキーホルダー3点セットB” \1400

3003:姫華日奈子企業依頼頒布品“キャラクターアクリルキーホルダー2点セットA” \1200

3004:姫華日奈子企業依頼頒布品“キャラクターアクリルキーホルダー2点セットB” \1200

3005:姫華日奈子企業依頼頒布品“キャラクターアクリルキーホルダー2点セットC” \1200

3006:姫華日奈子企業依頼頒布品“公式CP本” \2000

3007:姫華日奈子企業依頼頒布品“非公式CP本” \2000

S3-1:ラバーキーホルダーセット \2800

S3-2:アクリルキーホルダーセット \3600

S3-3:キーホルダー全セット \6400

4001:神凪ミコ既刊“男の娘×女の子NL同人誌” \1500

4002:神凪ミコ既刊“男の娘×男の娘BL同人誌” \1500

5001:花咲香月既刊“CG集+3Dモデル2点” \1000

6001:夢咲ゆな既刊“女の子×女の子×女の子3PGL同人誌” \1000




とりあえず次話で使われる予定の用語を纏めておく程度に。

こんなにブース内に入るかな…とか思いつつも既刊品とか企業依頼品は搬入数少なめ(あとvol.1が既刊品として搬入されてるのは一番最初の作品を欲しいっていう人が今でも多いからとのこと)。

あと既刊品は新刊だった頃より安くなってるのです

なお、:(コロン)の前の数字とかは大量に購入するのを楽にするための商品番号みたいなものですね。サークル内では“コミックマーケット用頒布物在庫管理コード”って呼んでますが。基本的に最初の1文字が1になってるのが新刊になる感じです

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