No.52 ヒナママの雑談
ななみちゃん以外の配信を書くのは初めてですね、そういえば。
奈々の配信者としての側面、夢園ヒナ───花園七海として対応するならヒナママ。私の活動時間と配信時間が合わないから突発性性転換症候群発症後はあまりリアルタイム視聴できてなかったんだよね。
せっかくだから花園七海の状態で見に行こうかな、っていうことで居間で結ちゃんと一緒にヒナママの配信を開いた。
『結ちゃん、キーボードの電源入ってるー?』
「入ってるよー。」
キーボードを2つ繋いでどちらからでも入力できるようにして……あとはちゃんと反応するかテストしないとねー。
『何か入力してみてー?』
「うん!ええと……」
少し悩んでからカタカタと入力する結ちゃん。入力されたのは───
printf("テストワード:user%d>>UI\n",1);
の文字列。……うん。
『なんでCなのー??』
流石にツッコませてー?なんでC言語の文字列出力関数を書いてるのー…?
……しかもこれちゃんと動くよねー…?
「ええと……いろいろな文字使えるから……?」
『……あー…なるほど…』
半角英字小文字。Shift使用半角記号。全角カタカナ。全角記号。半角英字大文字。半角記号。半角数字。
これが意味するのは英字数字記号キーの他に少なくともShiftキー、半角/全角キー、変換キーを使うってことだねー。
つまり結ちゃんは───いくつもの入力機能がちゃんと機能するかどうかをC言語の書式という形を取って一気に検証したってわけだねー。…できる限り自然な形で検証できるように、C言語の書式を選んだんだねー。
「わっわっ…!く、くすぐったいよお姉ちゃん!」
『……なんでまだ11歳なのにここまで頭が回るかなー。すごいよ、ほんとにー。』
ひとしきり頭を撫でたあと入力した文字列を消させておく。
文字列が全部消されると同時に待機画面が消えてヒナママの動くイラストが映る。
〔皆様こんばんは、夢園ヒナよ。今宵も夢と現の狭間よりお送りするわ。よかったらゆっくりしていってちょうだいね。〕
コメント:
:こんばんはー!
:ヒナさんこんばんは!
黒曜鳥
\50000
今宵もよろしくお願いします
:今宵も…てか早いね今日
:コミケ前々日だからかしら
花園ななみ:ヒナママこんばんはー!
:へっ
:ふぁっ
:えっ、ななみちゃん!?
しずか:こんばんは、ヒナちゃん
:ふぁい!?
:しずかさんまでぇ!?
:いきなり来てびっくり
〔あら、ななみちゃんいらっしゃい。それとしずかさんもいらっしゃい。ゆっくりしていってちょうだいね。〕
コメント:
花園ななみ:はーい!
:かわいい
:はいかわいい
しずか:改めて言われなくとも……私はずっとROMってただけだし
:そうだったん!?
:しずかさんいたんだ!?
花園ななみ:私も発症前はよくいたんだけど気づいてる人いないよねー…
:あ、そうなんや…
:そうだったんだ
しずか:先日のオフコラボである程度安心できたからね。色々作業も落ち着いたし折角だからってことで
:はぇー…
:ほぇー…
〔ふふ、ありがとう。…それとななみちゃん、多分だけどあの子も一緒に見てるわね?〕
その言葉に結ちゃんに入力を促す。
コメント:
:あの子?
:どの子?
:もしかして娘ちゃん?
花園ななみ:見てるよ、ママー!お姉ちゃんに誘われて一緒に見てるとこ!
:ん??
:んん??
:ななみちゃん話し方変わった?
〔今のは娘ね…流石にななみちゃんほどじゃないけれど娘かななみちゃんかくらいは分かるわよ?〕
その言葉に結ちゃんと少し苦笑い。
コメント:
:えっ
:えっ、今の娘ちゃんのコメントなの?
花園ななみ:まぁ今のはわかりやすかっただろうからねー。
:そうなん?
花園ななみ:娘は女の子になってる私のこと“お姉ちゃん”って呼んでるからねー。
:はぇー…
:パパとかお父さんじゃないのね
:そういやなんで“お姉ちゃん”?
花園ななみ:だってお姉ちゃんっぽいんだもん
:草
:草
花園ななみ:実際私自身がお姉ちゃんって呼ぶの許してるから特に問題はないけどねー。
:そうなのね
:合意の元なのね
花園ななみ:合意なかったら呼ばないよー
:でもななみちゃんってヒナさんの旦那さんじゃなかったっけ?
:あ、確かに
:そういえば
:娘ちゃんのお姉ちゃんならななみちゃんもヒナさんの娘ちゃんになっちゃうわけで……
:それっていいの?
んーと
〔ななみちゃんってVtuberとして見れば私の娘なわけだからなんとも…〕
コメント:
花園ななみ:私ってVtuberとして見ればヒナママの娘なわけだからなんとも…
:あぁ
:あぁ……
:そういえばそうね
:ん?
:ん??
:…ねぇ、今ヒナさんとななみちゃんの発言同時だった…?
:しかも言ってる意味一緒……
:なんかこれオフコラボのときもあったな?
:確かに
:これが以心伝心……
:夫婦仲よすぎて憧れる……
被ったのは偶然なんだけどねー。それはそれとしてー…
コメント:
花園ななみ:ここは私の枠じゃなくてヒナママの枠だよー?主役は私じゃなくてヒナママなんだからヒナママに集中するのは基本的にヒナママにしてー!
:あ、そうね
:おっ、そうだな
:そうね、ありがと
:ごめんヒナさん
:ヒナさんごめんなさい
〔いえ、あまり気にしてないわよ?気にしてくれてありがとうね、ななみちゃん。〕
コメント:
:やさしい…
:すき…
:てかななみちゃんに対する声が俺らに対してよりもっとやさしい声してる
:確かに
:これがてぇてぇ…?
花園ななみ:今日は何するのー?
:そういや何するんやろ
〔そうね……せっかくななみちゃんと娘が来てるから明後日のお品書きは後にするとして…今日はゲームも用意していないから雑談にしようかしらね。何か聞きたいことがあれば答えるわよ?〕
コメント:
:おぉ
:雑談
:聞きたいことか……
:なんかある?
:うーん
しずか:私、ヒナちゃんとななみちゃんとの馴れ初めとか聞きたい。あと恋に落ちたきっかけとか。
:しずかさん…www
:しずかさん…!
:確かに気になるけど…!!
花園ななみ:わ、私とヒナママの馴れ初め…?
しずか:だめ?ざっくりでもいいんだけど。
:草
:草
:しずかさんのおねだりが聞けるとは
:しずかさんおねだりとかしないと思ってた…
:それ
:しずかさんもしかしてヒナさんのこと大好きだったりするんかね
:あり得る
:しずかさんの最推しだっけか、ヒナさんって
花園ななみ:わ、私はいいけど……
:いいんだ
:いいんだ
:あ、でもさ
花園ななみ:ママとお姉ちゃんのお話、私も気になる!
:娘ちゃんも見てるんだよね…
:そうだった
えっと、でもちょっと恥ずかしいなそれ…?
〔しずかさんってばいきなりね……娘も見てるから少し恥ずかしいのだけど。せっかくのリクエストだし、ななみちゃんもいいって言ってくれているから話そうかしらね。…オフコラボのときにも言ったけれど、私とななみちゃんの出会いは中学生の時よ?中学1年生の4月、私立花ヶ咲鈴霞学園中等部の入学式の日。教室で会ったのが最初だったわね。ちょうど私の前の席、その1ヶ月前まではしずかさんがいた席に入ったのがななみちゃんよ。〕
コメント:
:ほぇー
:なるほど
しずか:私がいた席に……後継者が来たんだね
花園ななみ:あ、そうだったんだ…
:ななみちゃんは知らなかったのね
:てかしずかさん後継者て
:思った
〔最初の印象としては“可愛い女の子”だったわね。でも、本人と担任の口から男の子だってことを聞かされてその驚いた時の音圧でクラス全体が震えたわよ?本当に女の子にしか見えなかったんだから…〕
コメント:
:そうなんだ
:見てみたいけどその当時の写真とかあるのかね
:いや流石に見せてもらえないでしょ
花園ななみ:んー……私は別にいいんだけど昔の写真は実家だもんねー…
:はぇ
:えっ、てかいいの
:いいの!?
花園ななみ:ヒナママがいいって言ってくれたらねー。
〔考えておくわね。それで、あとは恋に落ちたきっかけ……〕
そう言ってヒナママが悩むような声を上げる。
〔……実際の話をすると、なのだけど。…少し恥ずかしいのだけど、私って一目惚れに近いのよね。いつから好きだったのか分からないのよ。〕
コメント:
:そうなの?
:そうなん?
:でもそれって一目惚れって言わなくない?
しずか:そういえばヒナちゃんって心閉じてたっけ。もしかしてそれで恋心に気づけてなかったりする?
:心を閉じる?
:閉心術ってコト?
〔そうなのよね……比喩のようにはなるけれど、ななみちゃんと出会って数日経って、ようやくその心の氷が溶けて…そうしてやっとななみちゃんのことが好きだって気づけたのよ。それ以前もいつの間にか目では追っていたけれど、それが好きという感情だとは自覚できてなかったわね。〕
コメント:
:はぇー…
:いい話や…
しずか:……私が5年以上かけて溶かすことができなかったヒナちゃんの心の氷を、いとも簡単に溶かしちゃったんだ…すごいなぁ
:ななみちゃんすごい
:でも……心に氷を宿すような、心を閉ざすような何かがあったってことだよね
:言われてみれば
花園ななみ:私と出会って数日ってそんな前から好きだったのー?…いや、私も大概だけどさー…
:そういえばななみちゃんはいつからヒナさんのこと好きだったの?
:気になる
:私、気になります!
花園ななみ:最初は自覚はしてなかったんだけどよくよく思い返してみればその兆しがあったのって中学1年生の4月中なんだよねー。なんか放っておけなくてさー…気づいたら目で追ってるし、言いたい本当のこと分かるし、ずっと我慢してたヒナママを我慢させたくなかったっていうかー…
:我慢?
:我慢??
〔そういえば最初にななみちゃんの前で泣いてしまった時、私が泣き止むまでずっと一緒にいてくれたわよね……辺りが暗くなってもずっと。ミコちゃんから聞いたけれどわざわざミコちゃんに頼んで人払いまでしてくれたんだそうね?〕
コメント:
:ふぁっ
:人払い!?
:そこまでしたの!?
花園ななみ:ちょっと神凪お姉ちゃん!?なんでバラしてるのー!?
:知らないところで暴露されてて草
:お疲れ様
花園ななみ:うー、恥ずかしいよー…ヒナママが泣いてるところ他の人に見せたくなかったから神凪お姉ちゃんに人払いを指示してたなんて知られるのー……
:あ、そうなのね
:てかそれ明かすほうが恥ずかしくない?
:確かに
花園ななみ:みんなのことだからここまで明かされておいて隠された方が気になるでしょー?だったら自分で明かした方がまだダメージ少ないんだもん…
:あっ……
:なるほど
〔でもどうやって指示したのかしら……その時私は泣いていたとはいえ、ななみちゃんの声もミコちゃんの声も聞こえなかったわよ?〕
コメント:
:そうなん?
:声無しで会話…?
:どうやったんだろ
:テレパシーとか?
:あり得るのはアイコンタクト?
花園ななみ:手話と視線で会話してたよー。テレパシーは流石に使えないねー。
:そっか手話って方法があるのね
:なるほどねっと
〔ななみちゃんならテレパシー使えてもおかしくない気はするけれど……まぁ、いいかしら。〕
コメント:
:おかしくないんか
:そうなんか
花園ななみ:いやいや、心の内を読めるのってヒナママのだけだからねー?…多分。
:えっ
:ななみちゃん心読めるの
しずか:私もなんとなく読めるからそこまで驚きはないけど
:あ、そうなの
〔私の心の内は読める人なら読めるそうよ。多分ゆなさんも若干気づいてると思うわ。〕
コメント:
:あー
:なるほど
:そういやそんな感じの話してたっけ…
花園ななみ:ゆなママの話出たから話は変わるんだけど、ヒナママってVtuberになるとしたらVtuberモデルってどうするのー?
:ん?
:どゆこと?
:セルフ受肉じゃないの?
〔Vtuberモデル……そうねぇ。セルフ受肉でもいいのだけど、折角だからゆなさんと香月さんに頼んでみるのもいいのかしら。ななみちゃんの身体を作ったのはほとんどあの2人ではあるのだし。〕
コメント:
:おぉ
:ということはななみちゃんと姉妹になる…?
夢咲ゆな:ゑ゛っ……あの、ちょっとそれはプレッシャー凄いんですけど……?
:ゆなさんおった
:ゆなさんもよう見とる
夢咲ゆな:開いたら偶然そんな話が聞こえてきたんですよ…
:なんちゅうタイミング
花園ななみ:もしかしたら私も依頼するかも…?
:ん?
:どゆこと?
〔今のななみちゃんの発言は娘が書いたものね……あの子もVtuber化希望してたわね、そういえば。〕
コメント:
:そうなの!?
:そうなの!?
:ヒナさんとななみちゃんの娘ちゃんと会える日がいつか来るってコト!?
花園ななみ:私自身が希望してるからママとお姉ちゃんに何か言われたわけじゃないよ?
:あ、そうなのね
:ないとは思うけどヒナさんとななみちゃんが娘ちゃんに強要してるのかと
しずか:私もちょっとだけ思った
〔ないわよ〕
コメント:
花園ななみ:ないよー
花園ななみ:ないよ
:草
:総否定入ってて草
夢咲ゆな:オフコラボの際に娘ちゃん自身からその旨聞きましたが、無理してるような表情ではなかったので本当に自分の意志だと思います……
:はぇー
:でも娘ちゃんもゆなさん達を選ぶのね
:それは思った
花園ななみ:折角だからお姉ちゃんと本当に姉妹になれたらなって思ったんだけど……それが仮想のものであったとしても。…だめなのかな
しずか:なるほど“Vtuberとしての姉妹関係”か…
:あー…
:それだったらお姉ちゃんって言ってても違和感なくなるのか
:そうなると可能性としては花園三姉妹?
:おー
:花園三姉妹……気になる
:待って、ヒナさんの姓は夢園やぞ
:そのあたりはヒナさんが改姓するかどうかによるわな
:改姓……オフコラボの時に結婚式の話出てたけどホントに結婚……というか入籍するかのようね
:現実じゃ実際にななみちゃんと結婚してるわけだしあまり違和感はないかも
〔Vtuberでなくともインターネット上での活動自体に興味はあったらしいから活動を始めるのも時間の問題だったのよね。〕
ヒナママがそう言ったところで結ちゃんが苦笑い。
「………今は言わないけどママに台本提供してるの私だもんね…」
『そうだねー。そういえばそれっていつか明かすのー?』
「えーと……本格的に活動始めたら明かそうと思ってるよ…?」
っていうことは来年くらいに明かすことにはなるのかなー…
〔基本的に自分で決めたことに対して強く口出しはしない方針だから娘が自分でやると決めたのなら私は応援するわよ。でも、無理はしないようにしてちょうだいね?〕
コメント:
花園ななみ:ありがと、ママ!活動始めたら頑張る!
:かわいい
:でもななみちゃんは許してるの?
花園ななみ:私も強く口出しはしないからねー。親子全員がVtuberになるのも近いのかなー?
:おわぁ
:どんな一家よ
:どんな一家やねん
:そういえばずっと“娘ちゃん”って呼んでるけど娘ちゃんの名前は?
:そういえばそうね
そのチャットを見た結ちゃんが首を傾げる。
「…お姉ちゃん、これって活動者としての名前のことだよね?」
『そうだねー…』
結ちゃんって名前ないからねー。一応ゲームだと“UI”っていう名前使ってるんだけど。
〔あの子はまだ活動者名義とか作ってないのよね……思いつかないらしいわ。思いつくまで待ってあげてちょうだいね。名前というのは大切なものなのだから。〕
コメント:
:ほいほい
:ほーい
:気長に待つべ
:で、話を戻すと
:ゆなさん達にVtuberモデルを依頼するかもって話だったよね
夢咲ゆな:うっ…ななみちゃんのときよりプレッシャーが……
〔私のモデルを仕立てるなら期待はしてないから気楽に立ち向かってくれればいいのよ?〕
…あー、これは…
コメント:
:ヒナさん……?
:ちょっと……?
花園ななみ:あー、翻訳するねー?“私のモデルを仕立てるなら私自身の名前が大きいからそれに見合うようなものを仕立てようとするんじゃなく、ただ自分達が好きなように仕立ててほしい”っていうことだねー。要は変なプレッシャーなんて感じずに自分達がやりたい表現をしてほしい、ってことだよー。
:へっ
:ふぁっ?
:そうなの?
しずか:ななみちゃん翻訳速度早……
:分かりにくっ!?
:ってかこれもしかしてオフコラボで言ってたヒナさんの悪い癖?
:あ、そういえば
〔…ごめんなさいね、気分を悪くした人もいるでしょう…ゆなさんも本当にごめんなさい。〕
コメント:
夢咲ゆな:い、いえ大丈夫ですから…!なんとなく理解はできてるので…!
:なるほど例の癖か
:なるほど
:だいぶ厄介だなこの癖?
:分かる
:本当に考えてる意味と言葉として出てる意味がまるで違うのは厄介…
:てかゆなさんも理解できてるのね
:もしかしたらゆなさんもヒナさんの心の内を読める…?
しずか:その可能性はあるかも
花園ななみ:あ、ちなみにだけどー…これでも昔より若干改善されてるんだよー?
:そうなの?
:そーなん?
しずか:うん、実際私がヒナちゃんの側にいた時よりも酷くないから改善されてる。…このあたりも私ができなかったことだ……ちょっと悔しい
:はぇー
:はわぁ
しずか:実際、ツンデレを突き詰めたようなのがヒナちゃんの癖だから…
:あ、なるほど
:そう言われればなんかしっくり来るわ
:つまりヒナさんはツンデレの頂点……
〔ななみちゃんも私のこの癖を修正しようと頑張ってくれていたのだけど、どうもうまくいかなくて……これはおかしいってことで霊能力者に観てもらったのよ。そしたら魂に刻み込まれた癖であることが判明したってことね。〕
コメント:
:霊能力者ねぇ
:霊能力者か
:誰かの紹介だったの?
花園ななみ:転校前の私の知り合いだよー。霊能力者の“aya”さん。
:なんで?
:なんで??
:がっつり有名な霊能力者さんやんけ
:やっぱりななみちゃんの人脈異常だとおもうわ……
:わかる
:わかる
:現代絵師2大巨頭の夫と兄で、MilkyRainの次期社長に加えてアーティファルのリリアンさんと知り合い……それに霊能力者のayaさん……
:改めてみるとやばいな…
:リリアンさんも割と有名な方だからね
:VR技術の最前線で活動してる人なんよな、リリアンさん…
〔でもあまり知られてないけれどayaさんって過去視の人じゃないのよ?過去も見れるだけで。それに元々霊能力者というより占い師側なのよ、あの人。〕
コメント:
:そうなん?
:あ、そういえば。
:そういえばそうだっけ
:過去より未来を視る未来予知能力者だっけか、あの人
:本人は公開してるのに割と知られてないのよね、これ
:ほぇー…
花園ななみ:過去視に関しては正確には前世を少しだけ見れるんだよー。ホントに断片的な情報だけど、前世の特徴的な出来事とかは分かるんだっけ…
:そうなんだ
:特徴的な出来事って例えば?
〔誰と結婚して何人子供がいたか、とかどんな境遇に生まれていたか……あとどのように看取られたか、とかだったわね?〕
コメント:
:ほうほう
:ほー
:そんな事見れるんか
:ayaさんの占いってよく当たるんよね
:わかる
:当たりすぎてちょっと怖いくらい
:へー
:ちょっと気になる
:でもayaさんって有名な人だけどあまり都会に出てこないから会える人なんてほんの一握りなのよ
:あ、そうだった
:テレビとかにもあまり出てこないし
:本州の人でもないんだっけ?
:昔は東京にもよく来てたって聞くけどなぁ
:いや…そもそもayaさんって御年70歳過ぎてんぞ……
:わぁお
:わぁ
:ayaさんって今も元気なの?
〔今でも交流はあるから元気なことは把握してるわよ。…ともかく、ゆなさん。私のVtuberとしてのモデルを作ってもらうかもしれないという件、考えておいてもらってもいいかしら…?〕
コメント:
夢咲ゆな:は、はいっ!依頼された際は精一杯頑張らせていただきます…!!
:プレッシャーヤバそうよな…
:んね
しずか:仮定だけど…私、ヒナちゃんから依頼来たら卒倒するかも…
:ふぁっ
:ふぁぁ
:そっかしずかさんはヒナさんが最推しなんだもんね
:最推しから依頼が来るのか…
:そら卒倒しかねんわ
:卒倒した時は娘さんに頼んで起こしてもらお…
〔さて……と。そろそろ終わりにしようかしら。終わりにする前に明後日のお品書きを出しちゃうわね。〕
そう言ってヒナママは配信画面に画像を表示させて頒布物の解説を始める。今回の頒布物は既刊品の再販と新刊、あと企業からの依頼品なんだっけー…
コメント:
:企業依頼で頒布してる人ってそうそういないよね
:んね
:コミケって同人誌即売会だからなぁ
:ちゃんと売れるあたりマジでヒナさんの名前が大きすぎる
:それ
:企業依頼頒布品って企業側の利益ってあまり出ないんだよね、確か
:あれ、そうなん?
:そうなの?
:ん、駆け出しの企業が有名な人の力を使うみたいな意味合いで使われることが大多数だからか実は企業側に金銭的な利益ってあんまないのよ。企業にもよるけどコミケで出た利益の取り分はサークル主のほうが多いし。
:でも企業側が駆け出しの場合、有名になりやすいっていう利があるかもしれないけど、ヒナさんとかしずかさんみたいな有名人だと逆にその依頼した時のプレッシャーに押し潰される可能性が高いんよね
:はぇー
:逆にデメリットが多そうね
:まぁヒナさんは大手企業から依頼受けてるからあまり問題ないのかもだけど…
〔実際私は誰からの依頼でも気にしないわよ?企業さんが気にしているだけだもの。〕
コメント:
:そらそうよ
:どれだけ自分が有名なのか本当に分かってるんですかねこの人は
:へたなVtuberや実況者よりもYourtubeチャンネル登録者数多いもんこの人
:だって今登録者250万やもん……
:それもあってVtuberへの転生に踏み切れない部分もあるのかもしれない?
:あー…
:あー……
:中には嫌がる人もいるんだっけか…
:ヒナ鳥の中にいるかはわからんけどいるって聞いたことはある
:正直ななみちゃんとの親子てぇてぇ……いや夫婦てぇてぇ?とか見たいんだけどなぁ
:わかる
:わかりみが深い
:配信切り忘れでななみちゃんとイチャイチャしてくれたりせぇへんかな
:わ、見たい
:なにそれすごく見たい
:そこに娘ちゃんが加わったらもう最強よね
花園ななみ:えっと、そこまで言われるとちょっと恥ずかしいな……?
〔流石に配信切り忘れは……ないとは思うけれど、気をつけないといけない部分ね……〕
そうなんだよねー…今は別居してるから問題ないと思うんだけどー…
〔さてさて……今回はこのあたりで終わりにするわね。本日もお付き合いいただきありがとうございました。あなたの明日が、より良い1日になりますように。〕
コメント:
:ほーい
:ほいほーい
:ほいっす
:お疲れ様です!
:お疲れ様ー!
花園ななみ:お疲れ様でしたー!
しずか
\50000
お疲れ様、ヒナちゃん
漆黒の雛鳥
\50000
お疲れ様です、ヒナさん
:おつおつおー!
:おつヒナー!
───この配信は終了しました
……改めて彼方さんの人間関係やばいなぁ…
これからもっとやばくなっていくんだろうなぁ……
……神絵師である妻、神絵師である妹、天才である愛娘、大規模な企業の次期社長とその息子、VR関係に関わる義妹、未来を視る霊能力者……
こんな人達が周りにいたら気配察知と演技が得意な程度だと思ってる彼方さんは非才だと思うよねっていう




