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No.49 オフコラボのその後

今回は掲示板とそれ以外で分けます。

今回の視点は静歩カナさん→しずかさん→星夢ひめかさん→星司そらさん→???さんです。

星夢ひめかって誰、ってなった人いるかもしれませんが後輩ちゃんのことです。…そういえば全員本名表記じゃないね。

「……」


「あゆみー?ご飯できた………あゆみ??」


「……」


「おーい、あゆみ…?」


「…はっ」


身体を揺さぶられることで意識が戻ります。目の前には私の夫の姿が。


「あ、気が付いた。」


「え、えっと…ごめんなさい、今何時…?」


「もう夜の7時。お昼食べた後なかなか降りてこないから心配になってさ……どうしたの、意識飛んでたっぽいけど。」


夜の…7時!?


「ご、ごめんなさいっ!すぐにご飯───」


「もうご飯できてるよ。…何かあった?」


「…えっと」


PCに視線を向けます。それにつられて夫も私のPCの画面に視線を向けました。


「……花園ななみ……って、確かあゆみが言ってた…」


「…はい。…その、今の……推し、です。今日の配信、聞いてもらえれば分かると思うんですけど…色々とわかった上に、最後の一言で尊死させられまして…」


「わぁ……なるほどね。それで降りてこれなかったんだね。」


その言葉に頷く。


「…わかるよ、尊死するとホントに動けなくなるからね……でも、あゆみがここまでなるのは珍しいね…」


「…ホントに、かわいくて……元男性なのに…すごく」


「……元男性」


「あ、浮気じゃないですよ!?あの、ななみちゃんも既婚者ですし…」


「え、そうなの」


「…はい、今日明らかになって…姫華日奈子先生の旦那さんなんだそうです。」


その私の言葉で夫が硬直する。


「……まじで」


「はい……」


まさか、私が軽く立てた予想が的中するとは思いませんでしたが…


「姫華日奈子先生の旦那さんなら、まぁ…問題ないのかな…」


「……その、先輩」


「うん?って、あゆみ。呼び方が昔に…」


「あっ……」


「…なにかな、あゆみちゃん?」


昔の呼び方をされて少し顔が赤くなります。


「えっと、あの…今夜は一緒に寝てくれませんか…?…その、あまりにもななみちゃんと姫華日奈子先生が尊すぎたもので……明日起きれるか…」


「……いいよ。でも、とりあえずはご飯を食べてからね。」


そう言って夫は───先輩は、私の顔に触れます。


「お風呂に入って、ご飯を食べて……それから一緒に寝よう?…それでいいかな、あゆみちゃん。」


「…はい、先輩。」


ノリが良いというかなんというか。……そんな先輩のことが好きなんですが。


「……先輩、でも…」


「…?」


「お風呂に入るの、まだあとでもいいですか…?……考え事を、したくて…」


「…なら、一緒にいてもいいかな?」


「……一緒に…そばに、いてください」


「……ん。」


小さく頷いたあと、先輩は私を後ろから抱きしめてくれました。


「……ご飯が冷めるのは気にしなくていいからね。あゆみちゃんと一緒に食べることに意味があるんだから。」


「……」


一瞬気にしたことを先回りして……


……うぅ。いつもはちゃんとしてるつもりですが、先輩とふたりきりだと……


「……だめ、せんぱい……」


「ん?」


「もう…がまん、できない……っ」


「ん、いいよ。」


「はい……」


………その後のことはよく覚えていません。




───しずか視点




「……ぅう」


緩やかにではあるものの意識が浮上していく。目を開けると何も見えず、手探りで部屋の電気のリモコンを探す。


「……これ?」


リモコンのようなものを見つけてボタンを押し込むと、途端に部屋が明るくなった。


「ぅぁ……まぶしい……」


目を細めながら明るさに慣らしていって、十分に慣れたところで一息。


「……いま、何時だろ」


どれだけ時間が経っていたのかわからないものの、スリープモードになっていたパソコンを起こして時刻を見る。


「21時……21時ぃ!?」


夜中に大声を上げてしまったけれど、防音室内なのもあって周囲の反応はない。この時間まで意識失ってても誰も呼びに来たりしないのは私は一人暮らしだからだし。


だからご飯を食べてなくて怒られるとかは基本ない……のだけど、お昼を食べずにななみちゃんと奈々ちゃん、香月さんの配信を見てたからお昼と夜ご飯を食べてないことになる。


「……まぁ、いいか。」


いっか、別に。…1食2食食べなかったところで死ぬわけでもないし。


そんなことよりも……


「“花園ななみ”ちゃん…か。」


花園ななみ。最初にこの子のことを知ったのはVtuber界上での娘である静歩カナさんの情報から。この子の母親の一角を奈々ちゃんが担ってるって聞いてすごくびっくりした。


初配信の時からずっと奈々ちゃんがチャット欄にいて、見守っていたけど…今回のオフコラボで奈々ちゃんの旦那さん本人だって知って、最初は信じられなかった。でも、なんだろう。話を聞いていくうちに、自然と納得できるようになっていった。


……転校してからもずっと気になっていた奈々ちゃんのこと。今でも気にならないといえば嘘になる。…でも、奈々ちゃんの声色や表情で、もう大丈夫なんだって思った。


奈々ちゃんは何か強く言いたい時……特に、警告したい時なんかは酷い言い方になってしまうから。だから…昔はよく人に嫌われてた。だから、ずっと心配だった。


…でも、私が例外だったわけではなくて。奈々ちゃんの本心が分からなかった頃は、私も奈々ちゃんのことが嫌いだった。でも、ある時奈々ちゃんの言葉と本心がズレている事に気がついて。それで理解しようとして理解できて初めて奈々ちゃんの優しさを知った。だから……出会ってすぐにそれを見抜いたななみちゃんは、本当に凄くて…本当に“例外”なんだと思う。


私がが奈々ちゃんから離れてからずっと奈々ちゃんのそばにいてくれたななみちゃん。あんなに幸せそうにしてる奈々ちゃんを見せてくれたななみちゃん。……私なんかよりも、ずっとずっと奈々ちゃんのことを気にかけてくれてると思うななみちゃん。


「……会ってみたいな」


会ってみたい。


花園ななみちゃんに、会ってみたい。


ななみちゃんが……奈々ちゃんの旦那さんが、一体どんな人なのか。奈々ちゃんを幸せにしてくれた人がどんな人物なのか。ちゃんと、この目で確かめてみたい。


しずかとしてではなく───“雛川(ひなかわ) 静玖(しずく)”一個人として。


姫園奈々ちゃんの幸せの鍵になった人を知って、本当に、心の底から安心したい。


「……奈々ちゃんとお絵描き勝負する時に、お願いしてみようかな。……ふぁ…」


……ねむい。もう一眠り、しようかな……




───星夢ひめか視点




「………は」


不意に、意識が覚醒した。


「あ、姫ちゃん起きた?」


「りゅう……くん?……あれ、ここ…」


周囲を見渡すと見覚えのある場所。…見覚えがある、というか


「……え───むきゅっ」


「ごめん、ちょっと手荒で……今、夜の10時だから叫ばれると近所迷惑になっちゃうから。」


口を抑えられながらコクコクと頷く。そうしたら小さく息を吐いて手を離してくれた。


それにしても……10時?夜の?


「……なんでりゅうくん…じゃない、竜斗くんがそんな時間に私の部屋にいるの?」


りゅう、というのは彼の演者名。対して彼が私を呼んだ時の“姫ちゃん”は私の渾名。演者名“星夢ひめか”……本名“姫月(ひめつき) 夢望(ゆめみ)”だから。


ちなみに彼は私の彼氏。


で、問題は……ここが私の部屋なこと。正確には私の家の、私の部屋。寮ならまだ分かる……いや私いるの女子寮だから本来男子禁制だけど、学園の敷地内だからまだなんとか。異性が寮の中に入る方法は一応あるんだけどその方法を取ってるわけじゃないし、何より寮の方はもっとシンプルな内装にしてるから。


「……覚えてない?姫ちゃん、部活中に意識失ったんだよ。それで、ぼくと一緒に早退して……先生が姫ちゃんのお母さんに連絡してくれて、迎えに来てくれて……それで、今に至るんだけど。ぼくが今ここにいるのは姫ちゃんのお母さんに一緒にいてあげてほしいって言われたからだよ。」


お母さん……!?私が言うのもだけど思春期の、それも意識のなかった娘を付き合ってる男の子と2人きりにしていいの!?


…でも、部活中に意識を失った…?一体何が………


………


「………あっ、そうだななみちゃん!!」


「ななみちゃん…?」


「配信見てて、ななみちゃんとヒナママの最後の言葉を聞いて、それで………それで……」


……そこから先が、記憶がない。


「……竜斗くん、私が意識を失ったあとってどうなったの…?」


「ぼくも早退したわけだから詳しくは…姫ちゃんが早退したのもあって練習は先に進まなかったっぽいことは聞いてるけど。」


「うぁぁ……ごめんなさい…」


実は何気に今練習してる演劇では主役を引き受けてるから私がいなくなって練習が止まってしまったのは本当に申し訳ない。代役の子も今日はお休みだったから進むはずもなく……


「うぅ…」


「過ぎたことを悔やんでも仕方ないよ。月曜日からまた頑張ろう?」


「……うん」


…そうだ。月曜日から、また頑張ろう。本番でダメだったわけじゃないんだから。


……ところで


「竜斗くんは帰らなくてもよかったの…?」


「姫ちゃんのお家に泊まるって言ってあるから大丈夫だよ。姫ちゃんのお母さんからも説明してもらったし。」


「……そっか」


それなら……ちょっと、大胆になってもいいかな…?


「…ねぇ、竜斗くん。私、まだ眠たいの……一緒に、寝てくれる…?」


「…姫ちゃん」


「私……竜斗くんと、抱き合って眠りたい…だめ、かな?」


そう言ったら竜斗くんは少し考えてから口を開いた。


「ぼくはいいけど……姫ちゃん、制服のままだけど……いいの?」


その言葉には“その制服自体が気に入ってる服なのに”っていう気遣いが含まれてるんだと思う。その気遣いに感謝しつつ、静かに頷く。


「……うん、いいよ。」


「…わかった。怒られたら一緒に謝るね。」


そう言って竜斗くんは私がベッドの上に開けたスペースに寝転がる。ベッドの大きさはセミダブルだから、ちょっとだけ狭いかも。


「それじゃあ…おやすみ、姫ちゃん。」


「うん、おやすみ……だいすき、竜斗くん」


「…うん、ぼくもだよ。」


他にも何か言った気はするけど、そこから先は記憶がない。




───星司そら視点




「………は。」


唐突に意識が再接続されました。


「えっ…と……」


状況把握……というか、状況整理。


とりあえず最後の言葉で尊死したのは理解してます。それから意識を失っていた時間が………えっと、軽く10時間ほど…


………エクスプローラーを確認。


「……消えて………ますよね、やっぱり」


10時間も経っていれば書き直していたものは消えていると思っていました。実際消えてましたし……


ただ……慣れたのもある気がしますが、いつもより気分が落ち込んでいない気がします。もしかしたらななみちゃんの力だったりして…なんて。


「……ふぁ」


…ねむい………


「…だめだ、むり……」


頭の動きが鈍いと感じました。であるならば、寝たほうが良いでしょう。


「あした……あした、がんばろる……」


……??




───???視点




「……」


現時刻3時。


作業も落ち着き、昨日リアルタイムで見れなかったななみちゃんと夢園ヒナさんのオフコラボアーカイブをある程度見返したところです。


「……マジですか」


“花園ななみは夢園ヒナの夫”。その情報を聞いて、深い溜め息が出ます。


「………………どーすれば、いいんですかね」


悩みの種が増えた……

静歩カナさんの旦那さんは高校生時代の先輩です。いつもはしっかりしてるカナさんですが、旦那さんと2人きりだと甘えんぼうになることが多いです。

尊死状態は睡眠判定にはなりません。長時間尊死状態になっていた人は基本的に尊死状態から睡眠状態に自動的に移行します。しずかさん達の場合は睡眠状態に移行するほぼ直前に尊死状態から復帰しました。

ちなみに当作品に出てくるカップル・夫婦達は自分の相手に夢中なので浮気・不倫が起こりません。明らかに恋愛描写っぽいの書いてるのに恋愛カテゴリにしてないのはそれも理由。それでも加奈ちゃんが以前修二さんに対して忠告したのは加奈ちゃんが持つ直感で嫌な予感を感じ取ってしまったからですね。嫌な予感ほどなんとやらっていうやつです。別に自意識過剰だったわけではないです、はい。

そして星司そらさんってばとことん不運ね……睡眠状態に移行する数秒前に復帰するとかなかなかないですよ。狙ってもできることじゃないです…

で……最後に出てきたの誰でしょうね。いや星司そらさんと違って登場時点で設定0ってわけじゃないですけど。

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