表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/126

No.48 花嫁衣装の理由

どんどん新しいキャラクターが出てくる……

一度整理するためにキャラ紹介挟むのも一手ですかね?

「…で。」


「…はい。」


「花嫁衣装を用意していた理由を聞かせていただいてもよろしいですか?」


MilkyRain従業員全員の気付けが終わって咲月さん達のいる部屋に戻ってきて。


私を見た途端、何故かその場で正座した神代さんにかけた言葉が今の言葉。


ちなみにこの部屋には私と奈々、神代さんの他に愛海と修二くん、咲月さん、悠奈さん、詩織さんの計8人がいる。


「……その、怒ってるかい…?」


「いえ、別に?」


「ほ、本当かい…?にしては滅茶苦茶怖いんだが…」


…そんなに言う程かな、と思ったら近くにいた修二くんが首を横に振った。


「いやいや、こんなの怒った内に入んねぇよ、父さん…」


「そうだよ。………お兄ちゃんって怒った時はもっと怖いもん」


「……そういえば、私加奈が怒ったところって見たことない気がするわね…どんな感じなのかしら」


「奈々さんも見たことないんですか…?」


「えぇ…どうなのかしら、愛ちゃん、修二さん?」


「「あえ?………っ!!」」


2人が少し考えこんだと思ったら身震いして私から距離を取った。


「「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」」


「いやなんで……私、今怒ってないからね?あぁもう……」


とりあえず2人に近づいて一撃ずつ。


「「はっ!?い、いま…!?」」


「え、何この怯えよう…」


「ど、どれだけ怖いんですか…!?」


「これは…軽くトラウマになってるのか…」


「…2人とも、落ち着いた?」


「……軽率に思い出すんじゃなかった」


「わたしも……お兄ちゃんの怒気って当てられただけで死にたくなるもん…」


「死にたくなる、っつーか殺されるかと思うっつーか…」


「あ、そうそう……自分に向けられてるわけじゃないのに死ぬかと思った…」


「「「「「えぇ……?」」」」」


…そんなに怖いかなぁ…


「…あ、そういえば奈々お義姉ちゃんと会ってから一度も怒ったことないよね……」


「つーかあっちでもたった1度しか怒ったことないわな……普段温厚な奴ほど……っていうのの典型例っつーか。」


「そんなに言うほどかなぁ……」


「お前な、そうは言うけどな……あの後“花神彼方は絶対に怒らせてはいけない”っていう共通認識が学校内外問わず生まれたんだからな……?」


「あ、それわたしも聞いたことある……」


うーん………


「なもんで父さん、これは全く怒ってないから安心していいぞ……こいつの怒気……っつーか殺気?はこんなもんじゃねーから……」


「そ、そう、か……」


なんか納得いかないけど……ま、いっか…


「それで、花嫁衣装の理由をお聞きしてもよろしいですか?」


「……あぁ。鶴丸。」


「はい、こちらに。」


鶴丸、と呼ばれて資料を出したのは詩織さん。この人のフルネームは“鶴丸(つるまる) 詩織(しおり)”さん。彩香さんの妹さんで、縫製技術者さんなんだよね。


彩りを定める彩香と衣服を織る詩織の鶴姉妹(クレーンシスターズ)。実は意外と有名な二人だったりする。


出された資料を一読。


「“June Bride”……?って、なんだっけ、悠奈。」


「ええっ、と……“6月の花嫁”…?」


「6月に結婚式を行うと一生幸せな結婚生活を送れるとされている、ってものよね…」


………なんとなく読めた。


「つまり、神代さんはこのモデルをお願いしようとしてたってことです?」


「……察しが良くて助かる。」


なるほど……


「メッセージでも飛ばして言ってくれればよかったでしょうに。」


「その頃はまだデビュー時期が決まっていなかっただろう?その状態で依頼するとなると“カンナ”へ依頼することになるわけだ。だが、“カンナ”は公表している通り男性モデル。“カンナ”本人である君は今女の子に変わるようになってしまった。何の説明もなく女の子が“カンナ”として現れても信じるかと言われれば微妙だろう?」


「ということは、“カンナ”と“hina”の専用衣装を用意していたのもそのためなのでしょうか?」


「あぁ。“カンナ”と“hina”は当時からペアで組むことが多かったからね。ペアで現れたほうが信じる者も多いだろう。加えて配信は写真と違って声が入る。当人から説明してもらえば信じる者も更に多くなるはずだと思ってね。」


「……なるほど」


……まぁ、言いたいことはわかるけど。


「それと……その、正体を明かせるのならば早いほうがいいと思ったのもあるんだ。ほら、元は男性時で出る予定だっただろう?精霊と妖精の皆様方に明かしてない事は色々あったわけで……少しでも秘密を減らしたほうが軽くなるんじゃないかと思ってね……」


うーん……


「……私のことを考えてくれたのは嬉しいんですけど、それでも言われてすらなかった花嫁衣装は恥ずかしかったんですからね…?」


「それは、その……すまない。…いつか着るかもしれないからその予行練習になるかとも思ったんだが……」


「………予行練習。…もしかして、先に莉愛から結婚システムの話聞いてました?」


「いやそれはただの偶然だ。」


「…本当に?」


「ウッ、ジトメガカワイイ………じゃなくて、本当だ。」


「今、尊死しかけてたわね……」


「だね。…ま、嘘はなさそうだから大丈夫かな。」


それにしても予行練習、ねぇ…


「何の予行練習です?」


「もちろん結婚式だが?ゲーム内ではなくだが、奈々ちゃんともう一度結婚式を挙げたがるかと思って……」


「…あぁ、なるほど」


……女の子になったことで不安を持っていたから……そして、今でも不安を抱えているから、か……


でも、結婚式をもう一度挙げたいかって言われると……どう、なんだろう。ウェディングドレスを着てみたいって思うことはあっても結婚式は……うーん……?


……だめだ、私だけで悩んでても答えなんて出ない気がする。とりあえず……


「……事情は分かりました。とりあえずこの企画に関してはすでに時期を過ぎてるのでまた次の機会に。…受けるかどうかは一旦置いておくとして、です。」


「あっ、はい」


「何か予定にない衣装を着せたい場合は教えてください。ものによっては拒みますけど基本的には問題ありませんから。でも、お願いですから心に余裕を持たさせてください。」


「……はい」


「奈々に衣装のことを伝えていなかった件もそうです。平然としているように振舞ってましたけど、奈々は相当緊張してましたからね?もしも私や咲月さんを含め、愛海や悠奈さんの本名を呼んだらどうするつもりだったんですか?奈々は本名を公開してますが、私達は公開してないんですよ?」


「う……」


「衣装を着る時には完全に落ち着かせましたから何とかなりましたけど……慌てた人間がどんな行動をするか分からないのくらい考えておいてください。」


「…はい」


そこまで言ってため息。


「それにしてもお兄ちゃん。」


「んー?」


「さっきの……大丈夫だったの?…その、わたしのせいなのは分かってるんだけど…」


「……私が男性だと明かしたこと?」


「……うん。」


愛海が泣きそうな表情で頷く。


…実際、配信前に咲月さんに言ったことは嘘じゃない。失敗してもある程度なら持ち直せる。……そう、“ある程度なら”。現に私が言ってしまった“ヒナの旦那”や愛海が言ってしまった“お兄ちゃん”は持ち直しが効きにくい部類で、それが2つ重なってしまえば持ち直しはほぼ不可能。


……なんだけど。


「…まぁ、大丈夫だと思うよ。」


「え……」


「さっき、レスパーティで聞いてみたの。“私ってこのままでいいのー?”って。そしたら……この通り。」


手に持っていたスマホを愛海に渡す。画面に表示されてるのは私の送信(センド)に対する返信(リプライ)。…レスパーティって正式名称がLetter Sparrow───お手紙スズメだから使われてる言葉が送信(センド)再送信(リセンド)返信(リプライ)……あとそれから“いいね”なんだよね。


……ていうか、愛海が尊死した時点でてっきり全員落ちてると思ってたんだけど、それなりに反応あったんだよね。復帰が早いのか落ちてなかったのか……わかんないけど。


まぁ、とりあえず反応はというと。


「…肯定の、言葉……これ、本当なの……?」


「まぁ……裏では色々言われてるのかもだけど。少なくとも、目を通せた言葉に“邪”は感じられなかったよ。ざっと…100件くらいの流し読みだけど。」


「……お兄ちゃんがいうなら、だいじょうぶかなぁ……」


持ち直しが非常に難しい場合でも、受け取る相手側がどういう人なのかによって変わる。結局最後は受け取り手次第みたいなところになるんだよね。


こちら側で対処できるのは意識を失った場合の代理とか、気付けとか…実際その類。こちらで物理的にどうにかできるもの。情報的なものは相手に任せるしかない。


……あ、ちなみに私が言った“邪”っていうのは“邪気”ね。邪気……負の気……そうだね、悪感情。これもなんでか分かるんだよねー…


「それで、詩織さんはなにか私に御用でした?」


「あ、えっと……これを加奈さんにお渡ししようと……」


そう言って詩織さんが私に手渡したのは紙バッグ。受け取って中を見てみると、白地に花柄が見えた。


「………まさか」


中身を取り出して広げてみる。それは、どう見ても───


「ふ、振袖……」


「その…着せてみたくなりまして、仕立ててみました。加奈さんの姓は“花神”ですし、Vtuberとしても“花園”ですから花柄が似合うかと……」


仕立ててみました、って……がっつり“絹”でしょこれぇ!?なんで高級品仕立ててるのっ!?


「あの、私一応既婚……既婚女性…になる、はずなんですけど……」


「…………」


あ、この表情は忘れてたね……でもどうしよ、これ……将来結が着れる…のかな……?


「…こほん。えと、ですね。こちらも……皆さんに。…結さんにもあるのですが、加奈さんに預けておきますね。」


ちょっと待ってどれだけ用意して……受け取りはするけど。


…あれ、中身がちょっと違う………って。


「「「「「浴衣っ!?」」」」」


今度は浴衣だった。きちんと帯まで入ってるあたり着てほしいんだろうけど…えぇ………


「自由すぎる……」


色んな意味で。あと仕立てが早すぎる…


とまぁ…色々あって、今回のオフコラボ関係は幕を閉じた。

次回は今回のオフコラボの反応……

書く時に色々調べるんですけど、振袖は未婚女性が主に着るものなのだそうですね。既婚女性は留袖なのだとか。

……ホントなんで加奈ちゃんに振袖作ったんだろ、詩織さん。ただただ着せたかっただけなのだと思いますけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ