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No.36 やっちゃった

何をやっちゃったのでしょう。

警察の人達と別れて20分ほど。


僕と結はやっとMilkyRainに辿り着いた。


「「やっと着いた…」」


「お、お疲れ様です、彼方様、結様…」


…その。トリガーを踏む域までは達していないようだが凄く疲れた気がする。…気にしすぎると踏みそうなので気にしないようにするが。


「到着予定時刻より遅くなっていましたので皆様心配されていましたよ。この暑さですから熱中症にでもなっているのではないかと…」


「あー…その……来るまでにちょっとありまして。」


「ちょっと……ですか。」


「…とりあえず、ママには私とパパが無事だってこと伝えてくれますか…?」


「は、はい…」


結の言葉に、対応してくれた受付の人がエレベーターの方に向かう。それを確認したあと、結と揃ってため息をつく。


「…どうして2回も泥棒に遭うんだろうね、パパ。」


「なんでだろうね……」


あのあともう1度スリに遭った僕と結。…また警察を呼んだのはいいが、来てくれた人が同じ人だったからか顔が引きつっていたよ。急いでいる旨は前に伝えていたからすぐに解放してくれたが、警察の人もため息をついたのが聞こえてしまった。……どうしてこう、急いでいる…ああいや、約束があるときほど何か起こるのだろう。物欲センサーでも見てるのだろうか。


おかげで余裕なんてなくなってしまった。……本当に早めに出ていてよかった。


ちなみに配信開始予定時刻は11時。最終打ち合わせの開始時刻は10時30分。…で、今は10時30分。到着予定時刻は10時だった。


「「はぁ………」」


「おいおい……花神…か?……相当参ってんな?」


聞き覚えのある声に顔を上げるといつの間にか修二君がいた。


「泥棒に2回も会えばそれはね……配信に遅刻すると思った僕の気持ちが分かるかい、修司君。」


「お、おう……?…ってあれ、もしかしてお前が花神?」


「私も花神なんですけど……」


「僕が花神彼方だよ。こっちは僕の娘。」


「マジか……全然姿が違うじゃねぇか……」


「前回会った時は性転換済みだったからね…」


知らないのも仕方ないね。


修二君が結を観察している間に結も僕も落ち着きを取り戻す。


「にしても……ほーん?マジで女子になった花神と似てんだな、花神の娘。花神の妹って言われても違和感ねぇわ。」


「…その、修司君。苗字で呼ばないでくれないか?今このビルには…」


「っと、そうだったな…悪い。」


「…ねぇねぇパパ。このおじさんだぁれ?」


「ごふっ……お、おじ……」


「正確だろう、30歳過ぎてるわけだし。」


「いや、正確だけどよ……なんかダメージでかい……」


小さくため息をついて結の方を向く。


「彼は僕が小さい頃……ちょうど結と同じくらいの頃の同級生だよ。少し顔は怖いし口調も雑だが悪いやつじゃない。」


「おい紹介の仕方!?」


「事実だろう…」


「そ、そうなんだ……えっと、私は“花神 結”って言います。よろしくお願いします。」


「あ、こちらこそ…“神代 修二”です。……なぁ、花神……じゃない、彼方。お前の娘しっかりし過ぎじゃね?」


「前からなんだよな…」


「一体いくつだよ今…」


「今年の4月で11歳。」


「ぐぇっ、俺達の約1/3ぃ!?」


…うん。その……よく見る光景だがなんか申し訳なくなるような…


ちなみに誕生日だけ見ると僕が一番早い。その次に奈々で最後に結。


「……まぁ、いいや。…ってか、花g───彼方。」


「…うん?」


「…不機嫌にならんでくれ、俺が悪かったから…」


不機嫌になったつもりはなかったんだがね。じっと見つめただけで。


「お前、もしかして化粧してる?」


「…分かるのか。」


「少しくらいはな。……これはもしかして自分で?」


「え?まぁ…」


「ほー…すげぇな。よく見てもいいか?」


「いいけども…」


……素なんだろうなぁ、これ…昔からこんな感じだったし。


「……ほへー…」


「…なにか気になるところでも?」


「ん?いや?可愛くできてんなって思ってよ。」


「え、あ、あぁ……?」


「これ相当練習したんじゃねぇの?だってお前、昔は女子達にされるがままだったろ。」


「当時から軽く教えてもらってはいたよ。転校してからは……いや、転校してからもされるがままのことは多かったか…」


「ふーん…自分で使えるレベル……それに……花g……じゃない、彼方。結さんに化粧したのもお前?」


「まぁ……そうだが。」


「へぇ……すげぇな。化粧は魔法ってよく聞くが本当にそう見えるわ。お前だってその声すらどうにかなればもう完全に女性にしかみえないだろ。」


「え?あ、その……」


「いやマジですげぇわ…俺も相手をここまで可愛くできりゃいいんだけど───」


か、可愛いと言われるのは慣れてるんだが技術を褒められるのには───


───()は耐性ないんだけど……!?


「「───あ。」」


「え?何───あっ。」


視線を下に向けるとさっきよりも近い床とさっきとは違う服。


「………やっちゃった」


「……すまん、調子に乗りすぎた。」


「ううん、耐えられなかった私が悪いの……」


……“演技中に恥ずかしがる”。もっと言えば“女装中に恥ずかしがる”なのかな。


……性転換のトリガー、踏んじゃった…


「…結……今の時間は…?」


「えっと……10時50分……」


……詰んだ。だって私が元に戻るまで30分かかるもん。妖精さん達と精霊さん達を20分も待機画面のまま待たせるわけにはいかないよ。

…はい。

泥棒被害に2度遭遇して気を抜いたら疲労のトリガーを踏みそうなところで踏みとどまっていたものの、別の方向のトリガーを踏んだことで性転換してしまいました。

何度も言ってる気がしますが、彼方さんは女装してること自体は問題なく、むしろ可愛いと言われると喜ぶ方です。ただし、お化粧を褒められることに対して耐性はないです。

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