No.29 再会の約束
採寸終わったけどまだ少し宇都宮でのお話あるんです。
…とはいえそろそろ動画反応とかも出せるでしょう。
「うーん…結構日の入りギリギリにまでなっちゃったねー…」
現時刻午後6時40分。私達がMilkyRainに着いたのが1時くらいだったから、5時間くらいいたことになる。
……いや、正確には採寸終わった後にみんなで夜ご飯食べに行ってたからずっとMilkyRainのオフィスにいたわけじゃないんだけど。
「50分の電車には間に合わないかしらね…」
「ということは乗れるのは19時12分になるかな。帰宅する人が多くて混雑する時間にはなるが…すまないね、遅くなってしまって。」
「ん…私は大丈夫ですよー。…とりあえず、修二くんも元気になったみたいで良かった。」
「…あぁ」
…まだ若干落ち込んでるっぽいけど、修二くんなら大丈夫だと思う。落ち込むと長いけど、ちゃんと立ち直れるのが修二くんだし。
「えっと…神代さん、奢ってもらっちゃってよかったんですか…?」
「私も……咲月はオフコラボ等で協力するらしいのでいいとして、私は何も…」
「うん?別に問題ないよ。経費で落ちるわけでもなし、特に気にしないでくれ。」
「「余計に気になるんですが……」」
「神代さんはこういう人だから慣れた方がいいわよ?」
「そうだよー?鶴丸さんとかも諦めてるし。」
「…経費で落とすべきものまで自費で出すことが多いので割と困ってるのですが。私も、経理も……すみません、加奈さんと修二さんのお二人からも言ってあげてくれません?」
「言っても無駄ですよー。この人は昔からこういう人ですし。…ていうかなんで私…?」
「何故って、加奈さんは義娘でしょう?」
「違いますけど?というか、神代さん自身は私が男だって以前から知ってましたし義娘候補にも入ってなかったんじゃないですかね?」
私がそう言うと鶴丸さんは冗談です、と言って修二くんに視線を向けた。……冗談にしても心臓に悪いよ。本当に昔から女の子だったら……なんて、そんな怖いこと今考えたくないもん。
「父さんは昔からこうなんで……止められるのは爺さんくらいかと…」
「…でも修二くん、おじいさんも止めないよね。」
「……止めないな…」
修二くんと一緒にため息をつく。修二くんがいつから私のことを好きだったのは知らないけど……私としては普通の友達のつもりだったし、小学校が一緒だったっていうのもあってよく遊んでたし、結構家が近かったのもあってお互いの家族を知ってたりはするんだよね。
……そういえば。神代さんはもちろん、修二くんのおじいさんも私が男の子だってことを知ってたから、実質知らなかったのは修二くんだけなのかな?
「……なぁ、花神?」
「んー?」
「お前…お盆って帰ってくんの?それともずっとこっちにいるわけ?」
「え?あー……お盆はこっちにいるけど…お盆明けには家族総出で毎回帰ってるよ?ゴールデンウィークとお正月明けもたまに……私じゃなくて奈々や愛海がコミケに誰かが顔を出す可能性もあるから帰れないんだよね。お盆明けは学生の長期休みの中で最も長い夏休み期間だからともかく、ゴールデンウィークとお正月は帰るタイミング掴みにくいからこっちにいることも多いけど…」
「うぇっ……マジで?いたの、お前…」
「…なんか嫌だった?」
「いや、そういうわけじゃなくてよ……皆が帰省してる時期とかその少し後とか…全く花神と会わねぇからてっきりいないもんだと……当時の同級生全員思ってたんだが……」
「…あー……」
納得。実際今までの20年間、帰省しても修二くん達と会ったことがないし。そもそも小学校以前の知り合いって神代さんと田中さん以外連絡先知らないから帰省した時にいるかどうかも分かんなかったし。
「俺も父さんから元気にしてることを噂で聞く程度だったし…それを当時の同級生に俺が共有する…程度しか花神の情報ってなかったんだよ。……まさか女子になってるとは思わんかったが。」
「…うーん。こうなったのは割と最近だから、情報を得た時期からするとなんとも言えないけどね。」
「そうか……」
「……なんか言いづらそうにしてるけど、何かあるの?」
「お、おま、お前……その観察眼相変わらずだな…」
「私の観察眼というか修二くんがわかりやすいだけじゃない?」
「………分かりやすい、か……普通に花神の観察眼が強いだけなのか…もしくは他のやつはそんなこと言わねぇから、俺が花神の前でだけ分かりやすいのかもな…」
……それもそれでなんか困るんだけど…
「……一応聞くけど修二くん。修二くんって奥さんは…」
「いるぞ?」
「……私に浮気なんてしちゃだめだよ?」
「なんでだよ!!今更しねぇよ!?」
「いやなんか不安になったから…」
…うん。なんか不安になったから。ちなみに話している間に宇都宮駅まで着いてるんだけど、奈々達は私と修二くんの話が終わるのを待ってくれてるみたい。…なんかごめんね。
「…あぁもう、話戻すぞ。…今、ちょうどお盆明け…コミケ終わった数日後くらいに当時の同級生全員で集まらないかって話が出てるんだ。簡単に言えば同窓会みたいなもんだな。よかったら花神も来ないか?…もちろん、時間が合えばにはなるだろうが…」
「同窓会かぁ…」
「あ、別に当時の卒業生以外お断りってわけじゃないから奥さん連れてきてもいいんだぞ。何なら娘さんとかも。酒は出ねぇし。」
「そうなの?」
「おう。…あまり考えたくないことだが、俺達はもう三十路だからな……子供がいる奴も必然的に増えるわけでな。俺らが25くらいの頃にはそんな決まりになった。」
「へぇ……気にはなるけど……この身体になる可能性が高いからねー…」
「一応そこまで遅い時間にはならんぞ。」
んー……まぁその時にならないと分かんないかなぁ…
「…じゃあ、時間が合ったらお邪魔させてもらおうかな?奈々達と一緒に、ね?」
「おっし、決まりだな。皆びっくりするんじゃねぇか?連絡も何もなかった花神がいきなり来るんだからな。」
「あはは…」
迷惑にならないといいんだけどね…
「んじゃ、他のやつらには俺から伝えとく。んで、花神には……父さんからじゃなくて俺からでいいか?えっと…」
「あ、連絡先?えっとね……これ使って?」
「っと、“リンコード”か。おけおけ。えーっと……この“かなた”ってのがそうだよな?」
私が頷くとリンコード……正式名称“リングコネクションコード”っていうコミュニケーションツールに“シュウ”の文字が追加された。これでメッセージのやり取りとかできるね。…携帯番号を教えなかったのはこっちの方がPCでも反応できるからなんだけど。
「ん。じゃあ、色々決まったら連絡するわ。」
「うん、分かった。」
「……っとすみません、他の皆様まで待たせちゃいまして。」
「大丈夫よ。声をかけなかったのは私達だもの。」
「時間はまだ間に合いますから、大丈夫ですよ。」
「…大丈夫です。」
奈々と咲月さん、悠奈さんの言葉に修二くんがホッとした表情をする。神代さんは確か日光線に乗るとか言ってた気がするから私達と比べてほんの少しだけ余裕はあるかな?鶴丸さんは宇都宮住みって聞いた気がするし。
「んじゃ、花神。またな。」
「うん、また。オフコラボのこともそうだけど、あっちでもよろしくね?」
「おう。」
そんな会話をした後、私達は改札を通って19時12分発の東京経由平塚行き普通列車に乗った。
……古河に到着した直後に眠りに落ちたのはまた別の話。
コミケってお盆や年末年始辺りらしいんですよね…
なので花神さん達の帰省は少しズレるということにしました。




