表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/126

No.26 加奈の採寸中に

ちょっと奈々さん視点増えてきた…?

あ、それと総合評価300pt超えてまして…本当にありがとうございます…!

「さて…加奈ちゃんの採寸中にデザインの確認をしようか。奈々ちゃん、持ってきてはいるんだったね?」


「愛ちゃん…ミコちゃんからデザインは預かってますよ。…ところで」


「花神が女の子に……知らなかったとはいえ……女の子の胸を触って……そもそも胸を触る時点で……最低だ……俺って…」


「…この人はいつまでこうしてるんでしょう。」


「…落ち込んだら長いからね、修二は…何とかしておくとは言ったものの私もどうして良いか悩んでいる現状ではあるし。……放っておいて構わないよ、出勤時間ではあるが頼む仕事もないからね。」


「はぁ…そうですか。」


答えながらも彼の方に一瞬視線を向ける。…“神代 修二”。私よりも先に彼方さんに出会い、私よりも先に彼方さんを好きになった人。男性同士という同性であったからこうなったとはいえ、異性であったのならどうなっていたのだろう。


…やっぱり、彼のことを好きになっていたのかしら。それとも、今のように私のことを好きになっていてくれたのかしら。全部“もしも”の話になってしまうから、それを検証する術はないけれど。


……それと。1つ、不安なこと。さっきのを見たところ、20年会っていなかったとはいえあの人と彼はそれなりに仲がよさそうだった。今のあの人は女の子になれる状態だから……加奈の心が彼に移らないか、それが凄く不安になる。…嫉妬……いえ、恐怖?なのかしら、これって……


“自分から相手の心が離れるかもしれない”───簡単にまとめてしまえば、それが起きるのを今朝の加奈は怖がっていた。それを打ち明けられた今朝の私は離れるわけがない、と思っていたけれど。…こうして、離れる可能性があると分かって…凄く不安になる。加奈と全く同じ不安なのかは分からないけれど、多分近いと思うの。…もし、もしもそうなったら…私は耐えられるのかしら。


“花神 彼方”はともかく、“花神 加奈”は女の子。少女化型は少女型よりも大きく…精神面をほとんど普通の女の子と変わりないレベルに作り変えてしまう、と先生は言っていた。…それであれば。加奈は男の人に恋する可能性が少なからず存在することになる。実際、少女化型とその対になる少年化型でなくとも元同性に恋し、結ばれたケースも存在すると聞いたことはある。精神面をより大きく作り変える少女化型、少年化型であれば可能性は他の症状よりも高い。


…もし……もし、そうなったら。…私は、一体どうすればいいのかしら───


「奈々ちゃん!!」


「はいっ!?」


急な大声で思考の波から戻り、顔を上げる。視線の先では神代さんがほっとした表情をしていた。


「よかった、気が付いたかい。…何度声をかけても反応がないから、心配したよ。」


「…すみません、考え事をしていました。」


「構わないよ。…ちなみに、私が言っていたことは聞こえては…いないだろうね、恐らく。」


「……すみません。」


「問題ないよ。これを見てくれるかい、奈々ちゃん。」


そう言って神代さんは私の方に差し出された紙とタブレットを叩く。その紙を手に取って見てみると、“双子コーディネート企画”と書いてあった。


「双子のコーディネート…ですか?」


「あぁ、双子のコーディネート───容姿が瓜二つな兄弟姉妹のコーディネート。奈々ちゃん達が初めて結ちゃんを連れてきた時に既に思いついてはいたんだが、流石に結ちゃんに頼むのは違うと思っていたのでね。それで今まで話はしなかったんだが…」


「…あぁ、なるほど……」


私と加奈は姿が瓜二つ、と言っても過言ではない。…流石に身長差はあるけれど。


「…つまり、加奈と私に…?」


「察しが早くて助かるよ。本来所属モデル以外に頼むべきでもないのだろうけれど、ここまで素材がいいとね…」


「……私は構いませんが、加奈がどういうかは分かりませんよ?ここのお手伝いをしていたのも昔の話ですし。…それに、加奈は今Vtuberです。企業勢ではなく個人勢ですから企業由来の縛りはありませんが、顔出しを本人が了承してくれるかどうか…」


「ふむ……まぁ、断られたら断られたで諦めるさ。そのタブレットにデータが入っている服を着ている所を見てみたいとは思うがね…」


「……正直、着ること自体は抵抗ないと思いますよ。服装一覧を見る限り、あの人の好きなロリータ系ですし。」


…ロリータ系、それも甘ロリ系というと……やっぱり。ブランドはWhityTimeね。


MilkyRainはいくつかのブランドの総合母体。女性服…特にロリータ系はブランドが細分化されている。


白色や桃色などの明色系統…特に甘ロリや姫ロリを中心としたWhity(ホワイティー)Time(タイム)


黒色や紫色などの暗色系統…特にゴスロリやミリロリを中心としたBracky(ブラッキー)Clock(クロック)


薄茶色や肌色などのくすんだ色系統…特にクラロリやナチュロリを中心としたPurely(ピュアリィ)Tone(トーン)


それから和風、中華風の和ロリや華ロリを中心としたCleary(クリアリー)Note(ノート)


最後に、王子ロリ専門のKings(キングス)Route(ルート)


この五種類。


ロリータ以外だと宇宙的なモチーフのStarry(スターリィ)Magic(マジック)とか幻想的なモチーフのFantasy(ファンタジー)Ruin(ルイン)とかお菓子モチーフのMelty(メルティー)Sweets(スイーツ)とか……


あと一対の姉妹ブランドとして学生制服系の女性制服のFairy(フェアリー)School(スクール)と男性制服のSpirits(スピリッツ)School(スクール)があるわね。


他にも色々あるのだけど…キリがないからこのあたりで止めておこうかしら。


MilkyRain系列のブランド名の特徴として、女性向け…というか、女の子らしいというか…具体的に言えば“可愛い”方向が強いもの、基本のコーディネートとして合わせるボトムスがスカートになりやすいものやワンピースなんかはブランド名を前半と後半で1単語ずつに分けた時、前半単語の最後に“y”が付くようになってるのよね。


…それから、一応補足しておくと総合母体の会社名であるMilkyRainというのが服のブランド名ではない…というわけではないのよね。このブランドは所謂オーダーメイド専門。特に今回の私達のようなデザイン持ち込みでのオーダーメイドになると一時的にこのブランドが割り当てられる。そこから今後既製品として販売するか否かによって他のブランドに切り替わるかが決定されるの。つまり───M()i()l()k()y()R()a()i()n()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。希少中の希少、世界にたった1つしか存在しない特別な服となる。


「……時間かかってますね、鶴丸さん。」


「鶴丸のことだ、大方コスプレ衣装を着せているんだろう。前回はデータが無くて着せられなかったからその反動に長くなってるのだろうさ。」


「…そうでしょうね。昔と同じです。」


身長が急に伸びたときもそうだったわね。鶴丸さんは無表情で無愛想に見えるけれど、その感情は行動にそのまま現れるもの。死にゲーという鬼畜染みたジャンルが好きなのと同時に誰かを着飾って可愛くすることが好きな人だから誰かにコスプレ衣装を着せるのは大好きなのよ。だから何かの問題で着せられなかった場合、まるで反動かのように採寸その他諸々が長くなる。長年容姿の固定される私達“姫園”の女性陣なんかは格好の標的……言い方に違和感はあるけど、本当にそんな感じだもの。


「あの……奈々さん」


「?どうしたの、咲月さん?」


「えっと…その。さっきから思ってたんですけど、心配にならないんですか?」


「え?」


「彼方さんって今は女の子になっているとはいえ、男性だったのは変わりないじゃないですか。その……鶴丸さん、でしたっけ。あの人と二人きりにして大丈夫なんですか……?」


「…あぁ、なるほど……」


咲月さんが心配してるのは多分浮気関連。少女化型で身も心もほぼ女の子になっているとはいえ、気になる部分ではあるのかしら。…まぁ……


「問題ないわよ、鶴丸さんだもの。」


「…その根拠って…?」


「……失礼だとは思うけれど、鶴丸さんって私の母親の5つ下よ?」


「……えっ」


「……え?あの見た目でですか?」


「えぇ、そうよ?」


「てっきり20代後半くらいかと……」


「……見た目で判断するのはよくないわよ。私を見なさいな、一体いくつに見える?怒らないから本当に思ったことを言ってちょうだい。」


「「…………小学生の女の子にしか見えないです。」」


「でしょう?」


鶴丸さんって若く見えるのよね……中学生の頃から見た目の変わらない私が言うなという話ではあるかもしれないけれど。


……結も私の血を引いているから、もうそろそろ成長が止まってもおかしくないのよね。あるいは既に止まっているか。姫園の血族は最終的に女性が低身長、男性が高身長になるもの……私は145cmしかないけれど、弟は180cm以上あるもの。


「やれやれ。その言葉、奈々ちゃんが言うと説得力があるね。」


「まぁ、私自身が合法ロリですから。…お酒を買うときも一苦労です。」


「そうだろうね。……ところで奈々ちゃんはあまりお酒を飲まなかったような…?」


「基本的に料理用のお酒ですよ、買うのは。子供にしか見えないのは私自身も良く分かってるので飲酒配信とかはしないようにしています。」


そもそもそこまでお酒強くないもの。これは彼方さんもだけれど。加奈の場合だともっと弱くなったって言ってたわね。お酒入りのチョコレートでそれが発覚したらしいけれど。


と、そんな話をしていたらガチャリと扉の開く音がした。


「…遅く、なりました……」


「……鶴丸?なんか、瀕死じゃないかい?」


「……加奈さん、ヤバいです……可愛い……可愛い、の……可能性の…かた、まり……昔、以上…に………」


「「「「え?」」」」


聞き返したところで鶴丸さんがその場に倒れた。恐る恐る近寄って脈を診る。…問題なし。


『みんな、ごめんねー…すっごく時間かかっちゃったー…』


「「「っ!?」」」


採寸していた部屋の中から聞こえた、その加奈の───加奈の時の素よりも少し高い声。本人曰く特に意識してないみたいだけど、確実に高くなっているその声。


神代さんは分からないけれど、私達3人は確実に聞き覚えがあるその声。聞き覚えがないわけがない、だってそれは───ななみちゃんになっている時の声。私達の娘であるななみちゃんの声なのだから。


その声の方向に、色々と覚悟をしながら視線を向ける───


『お待たせー。えっと…どうかなー?似合ってるー?』


───そこに、天使がいた。

No.23にて送迎ドライバーの田中さんが“ここの系列”と言ったのは今回紹介した様々なブランドを一纏めにした“MilkyRain系列”のことです。MilkyRain以外の各ブランドのオフィスは各地にあったりするので割と大体の場所には行けます。補足しておきますと今回彼方さん達が来たのは“MilkyRain 系列ブランド総合オフィス宇都宮支店”という場所でして……はい。…………はい。“ここに来れば各系列ブランドのどんな衣装でも探せる”っていうような場所になります。

それから……鶴丸さんの年齢の話と奈々さんが合法ロリだと自分で口にした件ですが。奈々さん自身、自分自身が合法ロリと呼ばれる存在であることは認識しています(ななみちゃんのリスナーさんにも“現役合法ロリ配信者”と言われてましたし)。なので“人を見た目で判断するな”ということを話す際に自分の見た目を例に挙げることが多いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ