No.25 ちょっとした黒歴史(?)
黒歴史って誰のでしょうねー?
……それにしても黒歴史、ねぇ…
私自身は特に思い当たらないんですよね、黒歴史って…
あ、それと今回彼方さん達の出身校についての話ちょっとだけ出ます。
「…して、その服は?」
神代さんに聞かれた今の私の服装はというと、白いワイシャツに茶色のチェック柄プリーツスカート、胸元にピンクのリボンという奈々に近くも奈々よりも制服に近めの服装をしている。…というか……
「…私、その服知ってる……笠間の方にある私立学園……幼小中高一貫学校の小等部女子制服基準型……」
「あら、悠奈さんよく知ってるわね。そうよ、そこが私達の母校でもあるわ。……制服の意味があったかはちょっと疑問だけれど。」
「ちなみに私は中学生からの転校……一応転入、でいいのかな?とりあえずそれに該当するから小等部の制服を受けとる機会はない……と思ったらあったんだよね。」
「「えぇ……?」」
咲月さんと悠奈さんが困惑してるけど実際そう。そもそも中学生でも高校生でも購買とかで注文すれば小等部の制服買えたし。ちなみに私の実家…お父さんたちの家が最寄り駅水戸駅で、奈々の実家が最寄り駅内原だから、それなりには離れてるんだよね。
「ホント、あの校長先生とあの学校の校則緩いわよね…」
「緩いよねー…制服定義されてるのに私服で行ったとしても女装して行ったとしても校則上全く問題ないんだもん……」
流石にあの緩さは心配になるんだけど…一応、校風?でいいのかな…それ的にも生徒の自由性に重きを置いている学校だから、服装に関しても“一応の基準”を設けているだけで特に制限はなかったし。
部活とかに関しても漫画研究部とか映像研究部とかの他に普通にゲーム部とかコスプレ部とかあったからね。ちなみにゲーム部はただゲームしてるだけの部活でコスプレ部はコスプレしてるだけの部活ね。…作ってる人もいたらしいけど。
授業の出席は任意……とまでは行かないけど、ただの授業のはずなのに制服私服男装女装コスプレ着ぐるみ……本当に色々な服装で出席してる人ばかりだったね。とはいえコスプレと着ぐるみは流石に通学時に着て来る人はそこまでいなくて、学校の更衣室で着替えて出席とかが多かったかな。
……極端な話……ものすごく極端な話をしてしまえば、犯罪に抵触しなければ大体のことはやって大丈夫な学校だった。…あ、割と制服を着てる人はいたよ。
それから私達の母校って別学校から高校入学する用の偏差値、実は割と高いんだよね。確か62~69とかだったかな?…校風自由すぎるけど、その影響なのか幅広く物事を教えてるから奈々みたいに創作者を目指す人もいれば私みたいに教職を目指す人もいる。他には調理師とか演者を目指してる人もいたね。
学校の総評としては緩いのか厳しいのかといえば“比較的緩いけど基準に満たなければ厳しい”なんじゃないかな…自分で言うのもちょっとアレだけど、私も奈々も優秀な方に位置してたから厳しいって思ったことはないかな…?あ、でも高校から入ってきた人達の話を聞くと結構厳しいらしかったね。…それでもまだ割と緩めみたいだけど。
「……あと、寮の説明されたとき最初に女子寮の鍵渡されて女子寮まで案内されたのは流石にビックリしたよ?あれは担当の先生が素で間違えただけらしいけど…」
「…昔のあなたを見たら仕方ないわよ……」
「……否定はしないよ」
否定しない、っていうかできないんだよね。身長伸び始めるまでは基本的に女装してた───特に休日の私服は女装ばかりだった───し、髪長かったし……女装してるつもりでなくとも女の子だと思われること多かったから。昔からパートはソプラノだったこともあるし…
「しかし、小等部の制服はもらっていないと聞いた気がするが……」
「あ、これは奈々が小学生の頃に実際に着てた制服らしいですよ。女の子になるようになってから、奈々の実家とか私の実家とかから昔の服が送られてきてるんです。奈々自身からも着る許可は貰ってますよ。」
よく残してたよね、とは思うけれど何気に助かったのは事実なんだよ。中学生の頃の、ってなると身長差から少し大きいんだけど、小学生の頃だったら身長差埋められるからぴったりのことが多くて。
…あと。
「……それで、その………服から奈々の匂いがして、ずっと奈々に抱きしめられてるというか、包み込まれてるみたいで…なんかちょっと、恥ずかしいんです……」
ちょっと変態さんかもだけど、本当にそう。落ち着くんだけど、やっぱりちょっと恥ずかしくて。…うぅ、意識すると余計顔が熱くなってきた…
「「……何この可愛い生き物…」」
「私の夫よ?…というか悠奈さん、大丈夫かしら?見間違えでなければ痙攣してる気がするけれど…」
「だ、だい、大丈夫、です……問題、ありま、せん……」
「……ホントに?」
「ア゛ッ、ウワメヅカイ…」
「ゆ、悠奈が尊さに耐えきれなくて墜ちた……!!元々耐性0復帰0だから起こさなきゃ……!」
えぇ……?…そういえば……
「奈々は平気だね…?」
「…私は……どうにかそう見せてるだけよ……」
……あ、奈々も辛そう。
「と、ともかく採寸に入ろうか。彼方くん……じゃなくて…ん?」
神代さんが言いかけたところで慌ただしい足音が外から聞こえてきた。
「……む、来たか」
「え?」
私が問い返そうとすると、勢いよく扉が開かれた。
「すみません、遅くなりました!」
「出勤時刻には間に合っているから構わないよ、修二。」
「え、遅刻じゃ…」
「ない。確かに昨夜言った時間に出勤すれば早出出勤扱いにはするが、本来の時間はもう少し先だ。」
「…神代さんって厳しいのか厳しくないのかよくわかりません。」
「実際私は君達が来ると踏んで出勤時間より修二に早めの時間を伝えていただけなのだけどね。」
「……えっと…そちらの方々が?」
「ん、あぁ。そうだよ。」
改めて入ってきた相手の方に視線を向けると、それなりに高身長の青年が立っていた。
「神代さん。…彼が?」
「あぁ、修二だよ。」
「…そっか。久しぶりだね、修二くん。」
私が椅子から立ち上がってそう言うと、彼が一瞬硬直した。
「え……あ……お、お前…もしかして、花神?」
「そうだよー。」
「お、お前……変わんねぇなぁ…なんかちょっと安心したわ。」
「ねぇちょっと、失礼じゃない!?」
「いやだって、最後に会った時とまるっきり変わんねぇんだもん。成長してんの?」
「してるよ?そういう修二くんは結構身長伸びたんだね?」
「177まで伸びたわ。どうだ、羨ましいか。」
羨ましい…わけでもないかな…私が微妙な表情をしてると修二くんは少し合点がいったような表情をした。
「…そっか、お前こっちの方にいたんだな。父さんが聞くわけだ。いや、トラウマなんて克服したから怖くはないが。」
「……トラウマのこと、神代さんから聞くまで私知らなかったんだけど…」
……考えられる原因としては、これくらいなんだけど。
「もしかしてトラウマの原因って、卒業式の日に私のことを女の子と間違えて告白したこと?」
「おい思い出させんじゃねぇ!?」
「「「ちょっと待ってその話詳しく」」」
「お三方!?」
え、気になるの?
「…奈々、気になる?」
「え、えぇ…どういうこと?」
「どういうこと、って言われてもそのままなんだよね…ね、修二くん。」
「…あー……はい。あの……俺、当時の花神に恋心みたいなのを抱いてまして。んで、遠くに引っ越すっていうんで焦って告白した結果が…その。…“私、男なんだけど…いいの?”って言われて盛大にフラれたってわけです。」
「フッたっていうか勝手に絶望したの修二くんな気がするけどね…」
実際事実を言っただけだからね、私。…まぁ、当日女子制服着て出席してたのも勘違いさせた理由の1つかもだけど。だって学校から送ってもらった既製品として用意されてた男子制服だと身長全然合わなかったんだもん、仕方ないじゃん…女子制服ならちょうど奈々がいたからなのかいい感じの大きさで送られてきたんだけど。
「……やめてくれ、心の傷に刺さる。トラウマ復活しそうだ…」
「…まぁ、そこまで言うなら。」
ちょっとした黒歴史みたいになってるんだろうな…修二くんにとっては。
「……ところで父さん、花神以外のお三方は?」
「全員、今日採寸に来た方々だよ。彼方くんも含めてね。」
「なるほど…申し遅れました、“神代 修二”です。まだまだ新人ですが、ここでデザイナーをやらせてもらってます。」
「ご丁寧にありがとうございます。“香川 咲月”です。」
「ご丁寧に、どうも…“夢川 悠奈”です。」
「これはご丁寧に。彼方さんの妻で“花神 奈々”よ。よろしくね、彼方さんに惚れた最初の人?」
「掘り返さないでください───って、妻ぁ!?花神お前結婚してたのかよ!?」
あ、気にするのそこなんだ。あー…まぁ…
「言ってないから知らないよね…14年前に結婚してて、娘も1人いるよ。」
「……マジかよ…」
あ、絶望してる…
「俺だってまだ子供いねぇのに…フラれて性癖歪められた上、結婚先越されてるわ子供も先越されてるわって…」
「え、えっと…頑張って?…としか言えない……あと性癖歪められたってどういうこと…?」
「そのままの意味だが…男の娘に興奮するようになってるんだわ…今のお前でも若干…」
「…あー……それはその、なんというか……本当にごめん……」
あと私は今男の娘じゃなくて女の子なわけなんだけど……多分知らされてないから仕方ないか。あとこれ以上頭バグらせるとちょっと不安。
「まぁ、その…なんだ。リア充爆発しろとは言わん。むしろ子供まで出来て子育てとかやって…それができてる時点で凄いと思うぞ、俺は。」
そう言って修二くんが私の胸を叩く。
「…ッ!」
「へっ?」
「…………」
「……あぁ…やらかした…」
神代さんが落ち込んだ声で何か言ってるのは聞こえた。私は私で胸を隠しながらじっと見つめてるわけだけど…
「……修二。言っていなかった私も悪いんだが…彼方くんは今女の子だぞ。」
「……へ?」
「突発性性転換症候群くらいお前も聞いたことあるだろう。……まぁ、昔の彼方くんと比べて髪色くらいしか違いがないから気付かないのも無理はないが…」
「………………はい????悪い、今ちょっと困惑してて……すまん、少し、少し時間をくれ…」
「……奈々、怒らないであげて。…最初に説明しなかった私も悪いから……」
「え、えぇ…あなたがそう言うなら…」
奈々が怒りそうな雰囲気を感じ取って言うと奈々は落ち着いてくれた。私だって自分以外の誰か(自分の子供は除く)に好きな人の胸を触られるの嫌だから気持ちは分かるし。
「……えーっと、つまり…?俺が昔告白した男の娘は俺達と離れてから数年で今の奥さんと出会って?結婚して?子供作って……んで、今は完全に女の子になってるってこと…か?」
「突発性性転換症候群由来の性転換は可逆性だから一時的なものだけどね。特に私は“少女化型”だから非常に女の子に近いみたい。」
「……花神、すまねぇ…マジで…」
「いいよ、別に…」
「いやもう本当にごめんなさい……」
「…いや、土下座までしなくても…怒ってないし…」
……このままだと話が進みそうにないなぁ…
「…神代さん、修二くんは任せて採寸に向かってもいいですか?」
「あ、あぁ…それじゃあ彼方くん……じゃなくて…えっと?」
「一応、この姿では“加奈”って呼ばれてます。」
「では加奈ちゃん、鶴丸と一緒に採寸に向かってくれ。…修二はこちらで何とかしておく。」
「お願いします。」
そう言って私は再び別室に向かった。
…はい。
多分、男の娘を女の子だと勘違いして告白したのって割と黒歴史だと思う…
それから、修二さんの勘違いについて少し補足をいれますね。
加奈ちゃんが普通に話してる時の声って昔の…小学生頃の彼方さんの声に相当似てるんです。なので“身長も変わらず、声変わりせずにそのままの声で20年を生きてきた”って考えると修二さんの勘違いも無理はないと思います。
本文中での“お、お前……変わんねぇなぁ…”はそういう意味です。




