表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/126

No.118 “描く”という魔法

うみゅーん…

……あの、一応今回出演中のVtuber全員(=花園ななみ、姫川ユウ、静歩カナ、怨狐ヨウ、音越ヨミ、りりにゃん、白黒モノ、鈴川リンネ)分の活躍描きたかったんですけどさすがに長くなりすぎるので諦めるのです…

後々個人個人で話を書こうと決意…

〘さて、カナさんの出番だよ。〙


〘は、はい……〙


赤く染まった大鎚を手に持って緊張した表情のカナさんの背中に、刀を支えにしながら立ち上がって手を当てるお姉ちゃん。


〘……落ち着いて。カナさんならできるよ。もし失敗してもどうにかするから。〙


〘失敗しても……〙


〘失敗してもいい、ただ大鎚をスキルに沿って振り抜くことだけを考える。〙


〘……スキルに沿って、振り抜く。〙


〘忘れないで。あなたは1人じゃない。例え一度失敗しても次に繋ぐまでを作れる人員がここにはいる。〙


そう言って、お姉ちゃんは背中に当ててた手を離し、飛び回ってるプラズマスフィアを指差す。


〘狙うのはあれ。普通なら高速で飛び回っているのを狙うのは難しい。でも今回は誘導してくれる人がいる。その誘導に合わせてヨミさんが足場を伸ばす。定位置についたら即座にスキルを起動するだけでいい。失敗を恐れずに、自分の大鎚を信じて振り抜くのみ。〙


〘……もし、失敗したら?〙


〘普通なら一撃で落ちる火力。でも、相手は遺跡系。総じてルーン防御に弱い。だから一撃じゃ落ちない。そのために“エオロー”のルーンストーンは持たせたでしょ?〙


それを聞いたカナさんがルーンストーンを手に持つ。


〘ウイさんがやってたから知ってると思うけどその効果は“守護”。そしてその守護は遺跡系にこそ強力な効果を発揮する。……ういさん程の出力は、私には出せないから。簡易的な守護でごめんだけどね。〙


〘い、いえ…あるだけでも……〙


〘そう?…ならいいけど。……決意は固まった?〙


その言葉にコクリと頷くカナさん。それを見てお姉ちゃんが“アンスール”のルーンストーンに触れる。


〘“加速”。──────〙


〘……─────〙


〘──────〙


〘……───〙


〘──〙


「……─────────」


雑音(加速下)での会話を終えたのかお姉ちゃんが頷く。


〘ユウさんが最初の場所に誘導してくれるから…私に使える力は少ないけど。“ティール”、“カノ”。〙


〘───!〙


お姉ちゃんの“カノ”によって大鎚が燃え上がり、“ティール”によって多分筋力が強化される。


……お姉ちゃんがちょっと苦い顔をしたのは、多分見間違いじゃない。


〘これで“破滅の願い”……じゃなかった、“破壊の祈り”が機能するかは分からない。それでも、少しの助けにはなるはずだよ。〙


〘……ありがとう、ございます。〙


〘あとはこれ、“アンスール”。私の所経由する形にはなるけどユウさんとの連絡手段として持って行って。開始前に渡したのと違って常に私と会話できるようになってるから。〙


その言葉にカナさんがぎこちなく頷いてそのアンスールのルーンストーンを受け取る。



コメント:


:サポート性能高すぎ……

:ね……

:てかななみちゃん破滅の願いて

:はめつのねがいてなぁ

:思った

:思った、がひらがなにすな

:実際“破壊の祈り”よりも強いのが“破滅の願い”だから間違えても仕方ない部分はある

:あ、そうなんだ

:そうなのか

P-UI:……ティール、か…

:ん?

:ういちゃん?



〘先輩!〙


先輩、と呼ばれたヨミさんが小さく頷く。


〘えぇ。えぇ───愛しき後輩の頼みとあらば。〙


いつの間にか毛先が黒く染まっている大筆を振るう。


〘育てましょう。伸ばしましょう。人をも持ち上げる大きな蔓を。建物をも持ち上げる大きな木を。〙



コメント:


:これは……

:歌?

:歌……

:祝詞みたいな感じなのかね

:あー

:ヨミさん“詠み手”だからなぁ

:んでういちゃんは何を気にしてたんだ?

:確かに

P-UI:え?あぁ……

:気になる

P-UI:……これ、今のカナさんには絶対に言わないでくださいね?

:おん?

:ん?

P-UI:ななみちゃんの使った“ティール”、全く効力発揮してないかもしれません

:え?

:え???

:え?????



〘芽吹きたもう幻樹の子、大樹育たば天まで届かん。伸長いたせ導の蔓草、数多拡がる想へと導かん。目覚めたまえや夢宿し、黒の土壌へ夢よ咲かん。其れ現すは筆の水差し、神秘芽吹かす鍵とならん。〙


いつの間にかその手には黒いジョウロを持っていて。


〘今こそ───呼び詩にて目覚めよ、芽吹きの神秘。〙


カナさんの足元にこれまた黒い水を振りかけると───



ミシッ



〘……?〙


そんな軋むような音がしてカナさんが首を傾げた後、カナさんの足元が盛り上がる。


〘わ〙



メキメキメキッ



〘わぁーーーー─────〙


「……うわぁ」


カナさんの足元から芽吹き、急成長して空へと導いた(連れ去った)黒き大樹。いきなり起こったことに若干の悲鳴が混ざった声が遠のいていった。


〔解説、静歩カナも映しといテくれ〕


〔画面分割しますね〕


画面が分割されてお姉ちゃんとカナさんを映す映像で分かれる。


そのお姉ちゃんの画面の中でふと何かに気づいたようにお姉ちゃんがこっちを見た。


〘……あ、運営さん。できればユウさんを映す視点も出しておいてくれると。〙


〔ン?できるか、解説?〕


〔三画面分割ですか……出来はしますがそうなると配置が───〕


操作しようとした解説さんの手が止まる。


〔───待ってください、ななみちゃん今分割視点に気づいてませんでした?〕


〔……〕



コメント:


:確かに

:確かに

:確かにそう見えた

:けど気づけるもんなの?

:ななみちゃんならできそう

:うーん

:確かに



〘……ななみ様?ちょうど運営様が分割視点にしたところだったそうですが、もしや気づいておられたのですか?〙


そのヨミさんの言葉に首を傾げるお姉ちゃん。


〘あれ、そうなの?ごめん、それに関してはただの偶然。ただ私に視点が向いてたのは知ってたし、カナさんが打ち返しに行ったならカナさんの視点になるだろうし…私に視点が向いてるうちにお願いしておこうかなって思っただけだよ。〙


〔………偶然なのカヨ〕


多分本当に偶然なんだろうね。お姉ちゃんの性格上、知ってたならはっきり言うと思う。……秘密にしたいことでなければ。



コメント:


:偶然って怖い

:偶然って怖いな

:ねぇ

:……そういやさっきういちゃんが気になること言ってたよな

:あ、そういえば

:ななみちゃんのルーン魔術が効果発揮してないとかなんとか

:なんだっけ……ティール?だっけ?

:どゆこと?



あ、若干流れてたけど覚えてた……



コメント:


P-UI:だいぶ単純な話なんですけどね

:おん

:そうなのかー

P-UI:ルーン魔術は非常に難しい魔法系統な上、魔力を注げば注ぐほど効力を強く発揮するというものなのはご存知の通りかと思いますが…

:ん

:聞いた

:聞いたね

P-UI:その魔力の消費量はスキルレベルによって変わり、スキルレベルが高いほど消費量が少なくなります

:それもどっかで聞いた……ような

:聞いてないような

:んー…?



解説さんが話したのかなぁ…



コメント:


P-UI:スキルレベル1とスキルレベル20の魔力消費量比が1:20だと仮定すると、レベル20の私とレベル1のななみちゃんの消費量の差は単純計算で20倍……私が10の魔力量で“エオロー”を使うとすればななみちゃんでは同じ効果を持たせるのに200の魔力量を必要とするわけです

:…?

:ん……まぁそうね

P-UI:それにも関わらずティールによって消費された魔力は1回戦で私が使った時よりも少なかった……あの時私が注ぐ魔力の量を間違えたのは置いておくとして

:草

:いや草

:草やで

:やっぱ間違えてたんか

:魔力量間違えてて草なのよ

P-UI:ともかく、ななみちゃんが注いだ量は基準となる魔力量にほぼ近い量で……明らかに少ないのです



……それどころか


「……“ティール”がそもそも機能してない……ううん、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、よね。」


「え……?それは本当なんですか、結さん…?」


奏さんの言葉に頷く。


「“カノ”は大鎚が燃え上がっていることから機能しているのは明らかですが、“ティール”はキャラクターステータスそのものに干渉してるのでその場では分かりませんから。」


「……言われてみれば」


「……それともう1つ、これが一番気になる点でして。」


「?」


「“カノ”のルーン文字は運営さんの枠の視点からでもちゃんと光ったのが見えたんですが、“ティール”のルーン文字は見えなかったんです。もちろん、他の人の枠…特にヨミさんの枠なんかでは見えてる可能性もあるんですけど……」


……もし、“ティール”が光っていなかったら。それは()()()()()()()()()()()()()()()()()ことを指す。


当然だけど、起動していなければ効果が発揮されるわけがない。ルーン魔術は常時発動型(パッシブ)スキルじゃなくて任意発動型(アクティブ)スキルだから。


「……もし、本当に機能していないのなら……先生は、どうして……?」


「……」


それは……


「狙いは“プラシーボ効果”かしらね」


そう言ったのはママだった。


「プラシーボ効果……ですか?」


「えぇ。薬効成分を含まない偽薬を服用しても、患者が「薬が効く」と信じることで、実際に症状が改善したり、副作用が出たりする現象───これは想撃にも同じ事が言えるわよ。」


「……想撃」


「“破壊の祈り”は強化系魔法スキル。“ティール”には結がやった前例がある。それを強く信じて振り抜けば……」


「……そっか」


魔法スキルである以上、それは想撃の“鍵”になる。強化系であるなら、ステータス強化を想撃として発揮させられる。


…とはいえ。魔力纏とかと違って明確な“型の傾向”がある分、普通の想撃よりも難しいけれど……


「……大丈夫」


不意にママの声がいつもの声から変わる。


「……加奈が、できると信じたのなら。きっと……大丈夫。」


「…そう、だよね……」


……それを信じるしかない、よね…


そんなことを考えてるうちにカナさんが定位置に着いた。


〘……“破壊の祈り”〙


宣言と同時に、焚き火のような火が弾けるような音と赤黒く放電し始める大鎚。


……若干、スキルが不安定に見えるのは。多分、気のせいなんかじゃない。


〘……スキルに沿って、振り抜く〙


小さく呟きながら大鎚を掲げるカナさん。


そのカナさんの目の前に白い光が飛び込んできて、ほんの一瞬止まったかと思うとほぼ直角に曲がってさらに上へと飛び去った。



コメント:


:!?

:!?

:びっくりしたぁ!?

:今の光、姫か

:あ、なんだ姫か……

:すっごい挙動してたな……

:んでそれを追ってる黄色い球体が一つ

:速度が速度なんでこのままだと直撃コースやね



その、白い光を追うような黄色い光を見据えて───


〘“D3───〙


その技は───確か、カナさんの持つ魔法属性付与攻撃スキルの中で最大火力。


〘───ブレイズハンマー”!!!〙


スキルの通りに動いた大鎚は黄色い光を真正面から受け止めて、その“圧”から周囲の空間を歪めた。



コメント:


:おわわわわわ!!!

:歪んでる歪んでる歪んでる!!

:なぁにこれぇ!?

:こいつぁ……

:強力な技と強力な技が衝突した時に起こる空間歪曲現象……

:確かに“D3ブレイズハンマー”は結構強いスキルだけどここまで歪ませるか普通……

ミトロジア辻本:実際のところ瞬間演算項目が多すぎる故のただの処理落ちなので見た目以上の意味はないんですけどね

:草

:くさや



〘〘……〙〙


運営さんの枠の画面の中で、ユウさんとお姉ちゃんがじっとカナさんのいる方を見つめてる。


〘流石カナさんと言うべきなのか……拮抗していますよね、ななみ様?〙


〘え?……まぁ、そうだね。〙


……歯切れが悪いような


〘歯切れが悪いですね〙


〘……まぁ、真正面から受け止められるのは流石はカナさんというべきなんだけどね。〙


〘にゃー……にゃーにゃ?(そういえば……あの弾、全く動かないね?)〙


〘カナさんが弾の一番先端を抑えてる影響で向きを変えられないからね。カナさんがあの状態であそこにいる限り、プラズマスフィアはあの場所から動けないよ。〙


〘に、にゃぁ…(そ、そっか…)〙


〘……でも……ねぇ、ユウさん。もしかしてだけど気づいてる?〙


そんなお姉ちゃんの言葉にユウさんが映る画面の方でユウさんが頷いた。


〘〘まだ、浅い。〙〙



コメント:


:浅い?

:浅い……?

:浅いって?

:どゆこと?

:ななみちゃんと姫には一体何が見えてるんだ…?



〘浅い……ですか?それはどういう……〙


〘プラズマスフィアとカナさんの力が完全に互角。現状、あの状態から進展することがない。あのままで進展するとすれば……ルーン切れでカナさんが押し負ける、くらいかな。〙


〘ルーン切れ、ですか……〙


その反応を聞いて一度ため息。


〘……もっとも。力を与える“ティール”は全く機能してないから普通なら押し負けててもおかしくなかったんだけど。〙


〘…………え?〙



コメント:


:え?

:え?

:え???

:ティールが……

:機能してない……?

:それってさっきういちゃんが言った……



〘ど、どういうことですか……?〙


〘……確かに私は宣言したし、起動はさせたつもりなんだけどね。でも、その反応を見るにみんな気づいてなかったみたいだけど、ルーンは光らなかった。それはそもそもルーンが機能してないことを指す。……これに関しては私の力不足だから、恨んでくれたって構わないけど。〙


そう言ったあと、カナさんに視線を戻す。


〘でも、それにも関わらずカナさんは“破壊の祈り”を使って正確に振り、プラズマスフィアを抑え込めている。カナさんの“破壊の祈り”込みの大鎚に対してカナさんのSTRは両手持ちでも足りないはずだから、本来なら振れるはずがない。〙


〘振れるはずが……ない?〙


その問いかけに頷くお姉ちゃん。


〘そう、振れるはずがない。……ねぇ、リンネさん。あれが想撃だよ。〙


〘はぇっ?〙


唐突に呼ばれたことで変な声が出たリンネさんに苦笑。


〘信じる心によって、強力なイメージによって不可能なことを可能にする。不可能だとされる常識を信じる心で覆す。……それが、想撃とされるもの。〙


〘信じる…心〙


〘うん。想撃って綺麗なものだけじゃない……派手なものだけじゃないんだよ。〙



コメント:


:はへぇ……

:そうなんだ……



〘魔法スキルは想撃の鍵。“破壊の祈り”は魔法スキルだから、条件は満たしてる。正直なところ、賭けみたいなところあったけど……カナさんは実績があるって聞いてるからね、問題ないとは思ってたんだけど。〙


〘実績…ですか?それはどういう……〙


〘パイン飴。〙


〘…パ、パイン飴?〙


〘そ、パイン飴。〙



コメント:


:パイン飴?

:パイン飴……?

:パイン飴……

:何故にパイン飴

:確かになんで唐突にパイン飴?

:何も関係ない気がするんだが

:……もしかして“プラシーボパイン飴”?

:え?

:……あ

:あー……

:そういやそんな伝説もあったな……

:なんやそれ

:……そういや少し前のSEK〇RO並走配信で言ってたっけ、デビュー前にそれ経験してるって

:なんか配信中に使った時強くなっててびっくりしてたね

:実際は本来の性能に戻されてたっていう話

:デビュー前でうちらが知れることじゃないけど反応がわりとガチっぽかったから本当にやってたんだろうなって

:ていうかデビュー前もしっかりフ〇ムやってんのねあの聖母様……

:高校生時代にハマったとか言ってたぞ

:高校生時代……

:高校生って18歳?

:聖母様って今確か35だったはずだから…?17年前?

:17年前っつーと…2010年まで?

:デ〇ンズあたりか

:バリバリ初期じゃねーか

:そら強いわ

:そもそも修正されたのって発売から1ヶ月くらいらしいから本気で初期からやってたってことなんだよな……

:とりあえずざっくり知らん人に説明するとバグで効果を発揮してなかったゲーム内アイテムを使ってプレイヤー達が強くなってたっていう伝説やな

:そのアイテムが黄色の飴だったから“パイン飴”なんよね



〔懐かしイナ〕


〔ですね〕


〘……ただ、その想撃の効果もそう長く続くとは思えない。多分だけどカナさんの想撃は爆発的な瞬間出力に特化してるから、すぐにその均衡は崩れる。それも私やユウさん、ウイさんのように連射能力に優れているわけでもなく、一回で全部放出しきる単発型。今一回使えば、もう一度あの出力を引き出すには時間がかかるだろうね…〙


〘……では、それは………〙


〘にゃぁ……にゃにゃん!?(すごく危険……ってこと!?)〙



コメント:


:うぇぁぁぁ!?

:嘘ぉ!?

:てか想撃自体も人それぞれ性質あるの!?

:思った

:話し方からしてそんな感じする

P-UI:しれっと私を巻き込まないでください!?

:んでしれっと巻き込まれたういちゃんよ

:思った

P-UI:いえ確かに私は連射型なんですけど……

:まぁルーン魔術の起動が早すぎたもんなぁ…

:ルーン魔術なんてほぼ想撃だもんな……



〘まぁ、危険だけど……大丈夫、なんとかなるよ。〙


〘そ、そんな楽観的にいられるんですか……?〙


〘まぁ……〙


お姉ちゃんの視線がカナさんより遠くに向く。


〘……ユウさんが、既にその鍵は作ってるからね。〙


〘へ……?〙



コメント:


:へ?

:姫が?

:……ねぇほんとななみちゃんには何が見えてるの?

:ななみちゃんの視界見てみたいわ

:思った

:でも情報量にパンクしたりして

:あー……



〘祟。あなたはユウさんの動きが私と同じって言ってたよね?〙


〘あ?あぁ。〙


〘なら、この後ユウさんがやれること。分かる?〙


その問いかけに少しのあいだ沈黙が降りて───


〘───!?まさか、あの小僧!!!アレを……!?〙


〘多分ね〙


〔アレ?〕


〔ってなんでしょう?〕


〔さぁ…〕



コメント:


:さぁ?

:さぁ?



〘重い……!これだと……〙


その、動きがないカナさんを見てユウさんが動いた。


〘カナさん!そのまま抑えてて!〙


〘へ───〙


〘カナさんがそこを抑えてる限りその弾は動けないから───そこをボクが後ろから押し込む!!〙


そう言った後、ユウさんの背後で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


〔……は?〕


〔魔法…陣……?〕


〘これで───!〙



コメント:


:待て待て待て!!!

:あれって……!!!

:嘘だろ、直接描画魔法陣!?

:それどころじゃねぇ、三次元空間直接巨大描画!!空間把握能力が高くないと完成しない超高度技術!!

:てかなんだあの魔法陣……!?

:砲撃魔法、に見える……?



〘あの魔法は……〙


〘───星の魔法。その中でもかなり高レベルに位置する砲撃魔法。〙


〘いっくよー!!〙


ユウさんの前に巨大な光。


〘───その名は〙


〘“スター───〙


その光が大きく脈動する。


〘───ブレイカー”!!!!〙


その高音の絶叫に光がカナさんに向けて放出される。


〘“スターブレイカー”。“星を破壊する者”。その名の通り高い物質破壊力を持つ最上位スキル。味方への衝撃はあってもダメージはないからあれで強制的に押し込める。〙


〘最、上位……〙



コメント:


:嘘、だろ……

:姫ってあんなスキル使えたの……?

:思った

:んなわけ

:んで声が思いっきり某白い悪魔なのよ

:なんでさ

:いや、でも確か姫はあんなスキル持ってないぞ!?

:え、じゃあ……

:どうして……

ミトロジア辻本:一応、このゲームの仕様なんですよね……

:え?

:え??

ミトロジア辻本:全ての魔法スキルは実際に魔法陣を正確に描くことでスキルを習得していなくとも発動させることができるという……仕様なんです

:ふぁっ

:マジで?



〔た、確かに仕様だナ……見るのは初めてだガ〕


〔ですね。辻本さんが話したのに加えてイメージによる起動が必要なんですけど…ユウさんなら問題なく動きますね。〕



コメント:


:ほへぇ……

:はへぇ

D.D.D.:[English]それは私達が使えない技術です。(原文:That's a technology we can't use.)

:おわぁ!?

:誰ぇ!?

:おっと珍しい方が



…あ。この方は……

ちなみに“D3ブレイズハンマー”のD3はDangerous Destroy Deluxeの略です。

あとななみちゃんの性格が以前と違うように見える気もしますけど戦闘時とかのしっかりしておかないといけない時は元からこんな感じです。

ふわふわしてるのはあくまで通常時。


↓加速下での会話内容↓


ななみ「ユウさん、カナさんの準備ができたから誘導を!」


ユウ「了解っ!すぐにボクが最初にいた場所にプラズマスフィアを誘導するね!」


ななみ「ありがとう、カナさんとの通信手段は用意しておくからそっちは魔法陣の起動に集中して!」


ユウ「……やっぱりななみちゃん、気づいてたんだね…!?」


ななみ「見てればわかるよ?」


ユウ「いや魔法陣知らないと分かんないからね!?ともかくカナさんとの通信手段はほんとにありがと!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ