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No.114 空晴れてなお、戦いは続く

今回はちょっとだけ短めです。

ちょっとした小休止…かな?

さて。


『恐ろしい霊は帰っていったからもう大丈夫だよ、みんな。ごめんね、怖い思いさせて。…まぁ、霊以外に怖い思いさせることはまだあるかもだけど。』



コメント:


:ほい

:うっす

:うちの子呼んでくるわ

:はぁい

:はぁい……

:こわかったぁ……!

:皆戻ってきたね

:戻ってきたの

:さっきまでのが嘘みたいに晴れ渡ってら……

:まさに台風一過みたいな感じ

:それ

:姫の配信って心霊ホラー系の注意はあまりないからマジで怖いのよね



……本当にごめんね、怖い思いさせて。


……それにしても。


『“転生秘剣・火雷雨 -転輪呪花-”。一応、ボクの最大打点なんだけどな……』


そう呟きながら龍人に視線を合わせる。残体力約50%。形態変化する割とギリギリ。技を撃つ前は約63%くらいだったはずだから……


『10%くらいかぁ……ね、流石に凹むよ?』



コメント:


:いやいやおかしい

:姫、十分におかしいから

:こう言っちゃなんだけど一撃で1割削ってるの大分おかしいよ…?



そうは言ってもね。怨霊達と力を合わせたことでボク1人で使うよりも威力が強化された技だったからそれでも1割程度しか削れないっていうのはちょっと凹みそうなんだよ。


何気に木火土金水と光闇の七属性全てを含んだ攻撃だからどれかはちゃんと通るはずなんだよね。


………そういえば。


『さっきの割れるような音……多分、例のクリスタルが壊れた音だよね…?ななみちゃん、何が壊れたか分かる?』


ルーンストーンに手を添えたままそう呟く。


〔……お腹のあたりを剣が切り裂いたとき、黄色と赤色と紫色の砕けたクリスタルみたいなのが飛び出してきてた。このことから分かるのは、土、火、闇のクリスタルが1つずつ壊れてること。このうち1つは多分私が最初に体内爆破で壊したやつだと思うけど、どの順番で壊れたかはちょっと分からない。〕


『そっか……』


流石にかぁ、とか思ってたらななみちゃんの小さいため息みたいなのが聞こえた。


〔ていうか、外側から無理矢理体内のクリスタルを破壊するなんて……なんていうか規格外すぎる……〕


『うん、それななみちゃんには言われたくないな?』



コメント:


:草

:草や

:草よ

:草っす

:草ね

:いや草

:さすがに草が生える

:草生えすぎて大草原

:ワロタ

:ワロス

:えぇ……

:誰か鏡用意したって

:流石の姫もそれだけはななみちゃんに言われたくないらしい

:流石に鏡見ろ案件すぎる



いやまぁ、流石にね?1つの形態を丸々スキップするとかいうどんなにダメージの小さな攻撃でも今の形態から2つ先の形態変化条件満たすレベルまで一気に削ったななみちゃんには言われたくないよ?


だって今の龍人って確かに形態変化条件ギリギリだけど形態変化条件までHP50くらいは残ってると思うし。


〔……それもそう、か。そんなことより、動き出すよ。〕


その言葉に龍人のいる方に視線を向けると、フラフラと立ち上がるのが見えた。


お腹のあたりの傷は塞がってる。横腹のあたりを抉るように切り裂いたから背後からでも見えるはずだけど、それが見えないってことは傷が塞がってる。


今更思い出したけど、ボディプレスに対して貫通攻撃で対処すると起こる大ダウンって“臓物露出”っていう特殊な状態異常だ。


状態異常“臓物露出”の効果は一時的な弱点の追加と大ダウン。状態異常“部位欠損”と似てるけど、大きな違いとしては弱点が追加されるか否か。


ちなみに部位欠損よりも臓物露出の方が治るのが早い。理由は部位欠損は単なる使用不可になるだけなのに対して、臓物露出は行動不可と弱点追加がされるから。行動不可なんてただの動かない的にしかならないからね。それが普段見えない弱点を晒してるなら尚更。


そしてそれは今さっきのも同じ。だからこそ、立ち上がったときには状態異常解除扱いになって傷が塞がってる。


…にしてもこの状態異常、滅多に起こらないって聞いたはずなんだけどな。


ともかく、立ち上がった龍人は身体の向きを変えてボクを見据える。


「ウルルルル……」


苛立ちのような唸り声。…実際、苛立ってるのは間違いないんだろうけど。


『……比べてみる?どっちの苛立ちが強いか』


いつの間にか赤色に戻っている剣を龍人に向けると、木製の槍が3つ展開された。


……真っ直ぐボクを狙ってるから、多分直進弾。


『“魔力纏”』


纏った魔力は瞬時に赤黒い色に変わる。怨霊たちがボクの怒りで自動起動されたからって別にボクの怒りが沈静化したわけじゃないからね。


「ゴォォ!」


号令のようなもののあとに順番に発射された槍を剣で着弾する順番に叩き切る。


「グラァァァァァ!!!!」


『っ…』


スキルの使われない連撃を段々と後ろに下がりながらも弾く。


スキルを使われるよりも使われないほうがより難しい、とはよく言われるもので。ななみちゃんみたいに正確に軌道を読めるわけじゃないから被弾ギリギリで攻撃を弾いていく。


そんな連撃の中で龍人が突きの構えを取ってスキルの光を宿す。


『“突刀(つきがたな)”か』


突き技は弾くのが非常に難しいからまず弾かない。


───()()()


『弾けるよ』


「ゴッ!?」


呟きながら突きに合わせて軍刀を弾く。でも、若干後退したくらいだからちょっと浅い。


PSが高いプレイヤーの中には弾く人もいる。ボクは師匠に師事してたから突き技の弾き方も教わった。


……あと、VRフ〇ムやってるとなんとなく突き技の弾き方分かるようになる。


『突き技は正確に弾くと大きく仰け反って隙を晒してくれるから多用してくれるとありがたいんだけど……』


「ォォォォォ!!!」


『……まぁ、そんな簡単には行かないか』


そんなことを呟きながらスキルなしの連撃を捌いていく。



コメント:


:すっげ……

:あんないとも簡単に……

:てか俺姫がこのゲームで片手剣使ってるの初めてみたかも

:確かに

:言われてみれば

:いつも剣系は細剣だったよな……

:姫って片手剣も使えるんだ……



チャットを読んでたところで龍人が突きの構えとスキルの光。


『……スキルはないから───』


突き出されたその軍刀を正確に弾いて大きく仰け反ったところに蹴りを入れて後退させ───


『───威力は全く出ないけど、ねっ!!』


そのまま飛び込んで顔面を剣で突く。


『砕けろ!!!』


ボクの叫びに応じて魔力が流れ、龍人の顔面が罅割れる。


『“魔力纏”───』


そのまま魔力を纏い直して───


『───ハッ!!!』


顔面を殴ると同時に爆発、そのまま龍人が吹き飛ぶ。



コメント:


:うぁ……!?

:何だありゃ……!?

:ヒビ割れ……の後何したの……!?

:爆発したよな……?

:今龍人吹っ飛んだぞ…

:まさか…

:もしやあれは……!?

:知っているのか!?

:あ、あぁ……

:あの紅き輝き……間違いようもない…!

:よもやあれはゴッドフ〇ンガー……!?

:ゴッドフ〇ンガー……だと…!?

:いや手の形違かったから違うと思うが……

:ふつーにグーで殴ってたよな姫……

:どっちかというとア〇ロウーサ?

:挙動近いけどなんか違う気がする



流れるチャットを見ながらも自分の左手に視線を落とす。


〔……どうして〕


『うん?』



コメント:


:ん?

:ななみちゃん?

:ななみちゃんの声……ってルーンストーンからか

:どったの?

:なんかあった?



〔……ごめん、なんでもない…〕


『……』


……多分、ななみちゃんは……いや、ななみちゃんの娘ちゃん達も今ボクが使った技は気づいてると思う。


ボクが今使った技は“花神流滅敵術 花の剛拳・三 破砕鳳仙花(はさいほうせんか)”。


この技は殴打と共に拳の先に霊力を圧縮、爆発させ、その周辺を大きく破壊する技。その爆発はその名の通り“鳳仙花”の種が飛び散る時のように。


属性は“火”。花神流滅敵術の中でも最も簡単に破壊を引き起こす技。


……この技も、抜打疾風も、湊留も、姫金魚も、死憑雨も。ボクが知ってる理由は、いつかはななみちゃんに話さないとかな。

破砕鳳仙花(はさいほうせんか)はモーション的にはマ〇ーザさんのグラ〇ィウスとか〇リコさんの釘パ〇チの方が近いです。

だというのにゴッドフ〇ンガーやア〇ロウーサが先に出てきたのは前者は赤色に輝いた手と爆発、後者は激突ダメージを引き起こすほどの強い吹き飛びが原因です。

……なお。何気にこの技は結ちゃんの得意技だったりします。

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