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08.ミヨちゃん、ドルイド爺さんに会う

「スライムは上限値が30だぞ。知らなかったのか?」

「うん。もうMAXか~」


 レベル1から比べると、体は中型の犬くらいと大分大きくなった。

 力も強くなったし、だからこそ魔道士の一撃くらいは何とかなるとミヨが前線に出る作戦を立てたのだが、シャドウはギリギリまでミヨを戦闘に巻き込むのを嫌がった。

 確かにレベルMAXにもかかわらず、シャドウに比べるとミヨはザコ感が禁じ得ない。


「これじゃあヒロインに勝てないかも……」

 思わず弱音を吐くと、シャドウが耳をピクっと動かした。


「なんだ、お前。誰かと戦うのか?」

「うーん、ミヨをネックレスにしようとする悪の……じゃなくて善のヒロインがいて……。あ、人間の女の子なんだ」

「何だよ、ニンゲンに狙われてるのか?早く言えよ。すぐに俺が倒してやるぜ」

「いや、ヒロインだから。主人公だから。モブの私達が手を出しちゃ駄目なお人だよ。その人2階にはこれないからもう大丈夫だよ……多分。さあ、この花畑にも薬草があるから強化薬作って10階に行こう」

「……まあそうだな。後でいいか」



 ナオリ(ソウ)を持つボス、10階のマンドラゴラは強化したシャドウが一瞬で倒した。

 マンドラゴラの攻撃の一つが食らうと混乱する音波攻撃。

 一応ミヨがシャドウの耳に指状にした触手を突っ込んで耳を塞いだが、シャドウはマンドラゴラに声を出す間を与えない。圧勝だった。


 ミヨは無事にナオリ(ソウ)を手に入れ、シャドウに飲ませると見る間に目が再生する。


「ふー、助かった」

「うん、やったね。ミッション達成」



『これからどうしよう。10階の敵は強そうだから2階くらいに住もうかな。1人じゃ怖いからシャドウ君に連れて行って貰おう』


「あのね、シャドウ君」

 ミヨがお願いを言う前にシャドウが言った。


「お前さ、クラスチェンジする気はないか?」

「クラスチェンジ?」

「ああ、レベルがMAXになると、次のクラスにチェンジすることが出来るんだ」

「そうなんだ?シャドウ君はクラスチェンジしたの?」

 クラスチェンジはゲームでは存在していなかった概念だ。

 そもそも戦闘がメインのゲームではないから省略されていたのだろう。


「俺はしてない。生まれた時からダークウルフだ。お前らスライムは知らないが、中級の魔物は普通クラスチェンジしない」

「え、しないの?」

「ああ、クラスチェンジするとまたレベルが1になる。最弱のレベルから始めるから死ぬリスクは断然に高くなる」

「あ、そうか。ダンジョンは弱肉強食だもんね」

「それにダークウルフのMAXレベルは70。成長しきったら結構強いからな。そんなリスクは冒さないもんだ。まあ、お前は俺が守ってるからさ、レベルアップしたらきっと強くなれるぜ」


「確かにこのままより、私、リスクがあっても成長したい」

「じゃあ、さっき話した詳しい奴のところに行こう。爺さんならクラスチェンジについて詳しく教えてくれる」



 15階はゲームの中で何度も来たことがある。

 シャドウが何の変哲もない壁の前で立ち止まったので、ミヨは首をかしげた。

「こんなところ、何かあったかな?」

「今から飛ぶからな、しっかり捕まってろ」


 シャドウは言い終わる前に少し下がって助走を付けると、壁に向かってジャンプした。

 シュタッと降り立った先は、暗闇だった。

「え、これ、隠し通路?」

「そうだ。俺から離れるなよ」


 シャドウはスタスタと歩いて、明かりが漏れる扉に辿り着くと、扉に向かってゴンゴンと頭突きした。


「爺さん、中に入れろ」

 すると、扉が開いた。

「シャドウか、入れ」

 と老人の声から中から聞こえた。





 ***


 一見すると老人は人間のように見えた。ローブを纏った魔法使いの老人だ。

 だが、彼は顔もローブから除く肌も全て緑色をしていた。

 頭ははげ上がっているのか剃っているのか頭髪がないため、緑色の地肌は見間違えようもない。


「人間?」

 ミヨは思わず呟いた。

「一応、そうじゃ。生まれた国はとうに滅んで、今はもう珍しい種族になってしまったがな」

「ご、ごめんなさい」


「ミヨは細かいコト気にするな、この人はドルイド爺さんだ」

 とシャドウが言った。

 彼は人間であるとか魔物であるとかはどうでもいいらしい。


「あ、私はミヨです。スライムです」

「よろしく、ミヨさん」

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