04.ミヨは泉のポーション屋さん
魔界カラスのHPMPが回復した!
ミヨはレベルアップした!
中級ポーションだったからか、ミヨは一気にレベル4にまで成長した。
「やったね、私」
魔界カラスも言葉は喋らない。
「カー」と鳴くとすぐに行ってしまった。
「あ……」
きゅうけつコウモリがお礼をくれたので、ちょっぴり期待していた。
ちょっと残念……。
だが、魔界カラスはすぐに何かを足に掴んで戻ってきた。
キラキラしたそれを、ミヨの前に落とす。
「あ、瓶だ」
冒険者達が捨てたガラス瓶らしい。
光り物好きのカラスは巣に取っておいたのだ。
「やった!これでポーションを貯められる。ありがとう!魔界カラスさん」
ミヨは瓶を泉で洗うと、中級ポーションを詰め込む。
ミヨはレベルアップした!
「レベル5、やったよ!これでヒロインと互角に戦える!でも出来ればレベル10まで行きたいな」
ミヨの戦いはまだまだ続く!
***
「意外と順調にレベル10まで来たよ」
初級の冒険者にとっては一階のドロップ品も大事な稼ぎだが、上級の冒険者達にとってそんなものは拾い上げている時間も惜しい。
攻撃力を奪うだけで、止めを刺さない冒険者はこの一階で七割以上にのぼる。
そんな瀕死の魔物達が生き残ろうとやって来るのが魔法の泉だ。
そこを待ち構えたミヨが回復する。
このサイクルでミヨはレベル10にアップした。
ミヨはレベル10になった時、行きたいところがあった。
地下二階である。
ミヨが死ぬのは、一階のチュートリアル。
二階から下の階はチュートリアルでは冒険者ぽい人が階段の前に立ち、「おっとここから先は子供は入れないゼ」と行かせて貰えない。
「つまり二階に行けば、ペンダント死は避けられる!」
レベル10でもスライムのミヨは弱い。
まだ戦闘はしていないが、自分が弱いのは何となく野生の勘が教えてくれる。
こそこそと隠れながら忍び足で一階の奥に向かう。
物陰からそっと探ると二階に続く階段の前に見覚えがある人間が立っていた。
「あの人、『おっとここから先は子供は入れないゼ』の人だ。どうしよう、私、スライムだし、通してくれないよね……」
「……帰ろう……」
「困ったなぁ。もうちょっと泉でレベルアップしよう……」
それしかやることはない。
ミヨは泉に戻りレベル12までにアップした。
だがミヨの顔色は冴えない。
「スタートダッシュが終わって伸び悩んできたよ」
魔界カラスがくれたポーション瓶はあれから3つに増えた。
高経験値が獲得出来る中級ポーションはモーモの実と泉の水を混ぜ合わせたもの。
水は汲み放題だが、モーモの木は泉に一本しか生えていない。
美味しくて滋養があるモーモの実は、一階の皆の共有物だ。
ミヨが独占していいはずはないし、貯めておける数も最大で3個だ。
作って作って作りまくるー。などということは出来ない。
元手が雑草である低級ポーションはいくらでも作れるが、こちらは大して経験値が望めない。
「あー、困ったなぁ。早くしないとヒロインが私のこと倒しに来ちゃうかも……って今がいつなのか全然分かんないけど」
そんな時。
「あっ」
ぷるんとミヨはスライムボディを揺らす。
血の臭いとそして震えが来るような強者の気配。
それは近づいてくる気がした。
「と、とにかく隠れよう」
あたふたとミヨがいつも隠れる巣穴に入ろうとした時だった。
「ヤダ、何ー!」
ミヨは悲鳴を上げた。
おしりが熱い。
囓られた!




