第3話 再発行完了
カイも宿を取りに行ったことだし、次は何に挑戦しよう?
メニューには色々ある。
・激辛ラーメン大盛り10杯
・人の顔の大きさの5倍のホットケーキ十枚
・タワーフルーツパフェ高さ60cmを二杯
……etc
などなどさまざまなものがある。
とりあえず上から順にやって行こう……
ケイの奴挑戦しまくった後どうするんだろう?
大食いで手に入れた金で飯を食っていそうで怖い。
「急いで宿を予約しないと」
一人呟き宿を探す。
道行く人に尋ねると
『腹が減っては戦は出来ぬ』と言う宿があるらしく、居酒屋も一緒に経営しているそうだ。
結構人気があるようで旅人もたくさん泊まっていくらしい。
それなら情報も入りやすいし、そこにしよう。
「あの、部屋空いてますか?」
俺はカウンターで受付をしている人に尋ねた。
「今は一人部屋しかありません、お一人ですか?」
「あ、いえ、違うんですけどその部屋に二人で泊まれませんか?」
店員さんはちょっと悩んだ様子で
「まあ部屋代は一人分で結構です、料理代は別に支払っていただきますがよろしいですか?」
「はい、それで構いません」
「ではここにお名前を、旅人さんでしたらギルドランクをお願いします」
そう言われて少し正直に書いてしまおうか迷ったものの出来る限り噂になるのは避けたいためギルドランクは書かなかった。
噂が広がると面倒なことに関わることが多いのだ、ギルドの受付ですら小さな声で話していた。
「料金はチェックアウトの時にお支払いください。部屋へご案内します、お荷物を」
手荷物を渡すと店員さんはスタスタと歩き出した。
感想としては融通の利くいい宿だと思った。
一人部屋に二人と言う我侭にも対応してくれている。
「こちらになります、何か聞きたいことがございましたら一階に居ますので声をお掛けください」
そう言ってその人は下に降りて行った。
「荷物置いてケイを迎えに行くとしよう」
今晩ケイは晩飯抜きだな、あんなに食ってるんだから。
俺はケイを迎えに行くことにして荷物を置いて鍵を閉めてさっさと宿を出た。
「お客さん、もう止めてください、お願いします」
「やだ、もっと続ける」
何この状況?
ウェイトレスのお姉さん達やコックの人達全員が土下座をしながらもケイの大食いへの挑戦を止めているがケイはそれを嫌だと抜かしやがった。
哀れ店員。
「ケイ」
俺が呼ぶと
「カイ、この人達がもう止めてくれって言うんだよ?」
そりゃ止めて欲しいわな、店側にとっては。
「そろそろ止めておけ、宿が決まったから早めに行って休む。早く受付に行こう」
「おお、再発行のこと忘れてた」
「忘れるなよ、そんなだから何時も無くすんだよ」
まったく
「ぶ〜」
ぶ〜とか言ってもだめだ。
「カウンター行くぞ?そろそろ5時だ」
時間をかなり掛けてしまったようである。
俺がスタスタとカウンターに歩いていくとケイも後から着いてくる。
「コイツの再発行したギルドカードの受け取りに来ました」
「ランクと名前を教えてください」
そう言うので
「Xランクで名前はケイです」
その人は驚きながらも事務的に対応する。
「これが再発行したギルドカードです、あと3回無くすと罰金を払っていただきます」
ケイが無くしすぎるせいでそんなカウントダウンも受けてしまった。
「ギルドカードありがとうございました」
「ケイこのギルドカードは僕が預かっておく」
僕が言うと意外と素直に
「うん、そういう約束だったしこれ以上無くしたら流石に洒落にならない」
「じゃあ宿行ってあとは寝てろ、君は今日は食事抜きだ」
「え〜〜〜〜〜〜〜!?ひどいな〜〜〜〜」
あんなに食っておいて何を抜かしやがるか、きっとコイツの胃はブラックホールに繋がっているに違いない。
「門で保護を解いてもらうのは明日にする、今日はあとは休むだけだ」
「は〜い、でもお酒は飲んでも良い?」
「ああ、少しぐらいなら構わない」
そんな会話をしながら『腹が減っては戦は出来ぬ』に向かった。
後で聞いた話によると、『腹が減っては戦は出来ぬ』が宿の主人の座右の銘らしい。
どーでもいいけど。