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第2話 クロスランク

「ねえ、先にお昼ご飯食べてからにしようよ」


「さっきおやつ食べたばかりじゃないか」


「でも、腹減っちゃったんだ。次の仕事でその分働くからさ」


「それなら別に文句は無いけど、じゃあご飯を早めに食べてから再発行してもらおう」


「うん!!」

お昼ご飯を早めに食べてからギルドカードの再発行を申し込むことにした。

「お昼ご飯はギルドの酒場で何か食べればいいよね?」

ギルドには旅人がたくさん集まる場所なので酒場も経営しているギルドがほとんどだ。

「うん、場所は何処でもいいから早く食べたい」

相棒が急かすのでちょっと急ぎ足でギルドに向かった。

ギルドに入ると、一斉にその場に居た人達の視線を集めてしまった。

まあそれも仕方のないことだろう、13、14歳くらいに見える少年二人がギルドに普通は用事なんてあるはずが無い。

幸い絡まれたりはしなかった。

適当に空いている席に座ってウェイトレスのお姉さんを呼んだ。

「ご注文は?」

そう聞かれると

「えっと、この三十分以内に食べられたら賞金5000クルの特大トンカツ×10ってのに挑戦したいんですけど」

と相棒が言った。

「食べられなかった場合は代金を支払っていただきますがよろしいですか?」

お姉さんが少し心配そうに聞いてきた。

相棒の胃袋なら特大トンカツ10枚どころか15枚くらいなら食べられる。

だから心配は要らない。

限界は20枚くらいだと思う、たぶん。

「その代金っていくらぐらいですか?」


「15000クルです、挑戦しますか?」

とウェイトレスのお姉さんが聞くと

「もちろんだよ、20枚くらいなら食える」

やっぱり20枚なんだ、俺の予想も案外当たるんだな。

「では少しお待ちください。すぐに持ってきます。一枚目の特大トンカツを持ってきてテーブルに置いた瞬間から30分カウントを始めます。お箸や水を用意して置いてください」

お姉さんはそう言うとスタスタと厨房に歩いて行ってコックに伝えると驚いたような声が聞こえてきた。

なかなか挑戦する奴は居ないのだと思う。

「大丈夫そうだな?」


「もちろんこれなら昼食代浮かせられるし」


「それはこちらとしてもかなり助かる」

本当に助かる。

しばらく待っているとお姉さんがやってきて

「特大トンカツ×10挑戦、始め!!」

そう言った瞬間相棒はトンカツをガツガツと食い始めた。

俺は三十分暇だな。





否、20分も掛からなかった。



「ごちそうさま」

相棒がそう言ってウェイトレスのお姉さんがやってきてかなり驚いた表情をしながら

「おめでとうございます、賞金の5000クルです」

と言った。厨房のほうからもかなり驚いたような声が上がっている。

「再発行に行こう、時間も俺のギルドカードを見せればすぐ済むだろうし」

と言うと

「うん、早く行こう。今回からはギルドカードを預かっていてくれ」


「下手に無くされるとこっちが困る」

そう言うと相棒は、はははとバツの悪そうな顔をしながら苦笑した。

「早く受け付け行こう」


「ああ」

俺達はカウンターに行くと

「コイツのギルドカードの再発行をお願いします」

カウンターに居るお姉さんは

「何か身分を証明するものはお持ちでしょうか?」

そう言われたので

「これでどうですか?俺の相棒です」

ギルドカードをお姉さんに見せた。

そこにあるクラスのところにはXと記載されている。

「分かりました、そちらの方もX(クロス)ランクですね?」

驚いていないように必死で装っているがかなり驚いているのが分かる。

「ええ、出来るだけ早くお願いします」

ちなみにクロスランクとは、ギルドの中で二人だけしか居ない、それもSランクよりも上の人間のことだ。

もちろんその二人だけというのは俺ことカイと相棒のケイだ。

二人とも名前が似ているのは偶然だ。

「では、もう一度5時頃になったら来てください。その頃には出来上がっておりますのでその時に本人確認が必要ですのでその時間の担当にあなたのギルドカードをお見せください」


「丁寧にありがとうございます、5時頃ですね?分かりました、では失礼します」

俺とケイはそこを離れた。

「どうする?夕方まで暇だけど」

俺が聞くと

「他の賞金付きの大食いに挑戦する、金は掛からないし賞金が入ってくるんだから良いだろ?」

そう聞かれると

「分かった、だが食い過ぎはやめとけ。腹壊されたらかなわん」

賞金が入るのはかなり嬉しい、正直街から街に移る道中の食料がどうしても足りなくなることが多い。

賞金が入ればその分食料を多く買うことが出来る。

「俺は宿を予約してくるから、ギルドに居てくれよ?」

俺が言うと

「まあ何処に居てもお互いの場所は分かるんだけどな」

そう苦笑しながら言った。

「そうだな、あの能力のせいで」

そう言うと俺達は俯いた。

空気が重くなってしまった。

「とりあえず宿がいっぱいにならない内に予約してくる」

ケイに言って俺はギルドを出た。



ちなみにこの作品も不定期です。

出来る限り更新するようにしますのでこれからもよろしくお願いします。


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