第9話 賭場
「とりあえず、市場で食べ歩きでもしよ〜か?」
ケイ、食べすぎだ。
「それじゃ食べてばっかりだろ、他に何かないのか何か」
と王子に聞くと
「それなら、この先に賭博が出来る場所がある。それも合法の、だ。金があるなら行ってみるのもいいかも知れん」
と返答が。
賭場かぁ、最近やってないなぁ。一時期本当に旅費に困ったことがあって、仕方がなく、いや本当にしかたがなくだな…………ルーレットの玉を自分の全財産賭けた場所にほら、念力で………すいません。
でも、普通に遊びとしても面白いかもなぁ。
「それじゃ、そこ行ってみるか、暇だし」
ケイのえ〜!とか言う声はスルーして、俺達は賭場に向かった。
そこは流石王都と言うべきか、賭場には色々な国の色々な賭け事があった。
とりあえず、俺達はブラックジャックをやることにした。
知ってる奴も多いだろうが、まず一枚カードを表で出されて、もう一枚を裏にして出される。そして、その表のカードを見て、裏のカードを予想して、カードの数字の合計が21になるようにカードを揃えるのだ。
簡単に言うとこんなゲームで、俺とケイはお互いにカードを透視したり出来てしまうのだが……相当困った時以外それはやりたくないというのと、つまらないというのもあり今回は使わないことを決めた。
目の前に出された賭ける場所の候補はこうだ。
♠1
♥6
♥8
♦11
この場合、大抵は♠1に賭けることが多いだろう。1の場合11としても1としても使うことが出来る。もしも組み合わせが10か絵柄のカードならブラックジャック。つまりこちらの勝ちだ。
または、♦11に賭けることもあると思われる、これはもう一枚のカードが10か絵柄のカードなら合計数は20と21にかなり近くなりディーラーが勝つには合計で21を叩き出すしかない。
俺は♠1に賭けた、ケイは♦11、王子も♠1だった。
ディーラーがカードを配り始めた。
先に関係の無い組み合わせは取り除かれる、誰もかけていないのだから当然意味のないカードだからだ。
♠1には♦6が来た、この場合7か17として使える。でも正直この組み合わせは微妙だ。
こりゃ外したなぁと思いつつ、王子と相談して決める。これが他人だったとしても同じ掛け金を共有するのだから他人であれ真剣に決める。
ケイのと同じ場所に賭けた奴はいないからケイは1人で考えている。
俺と王子はとりあえずもう1枚貰うことにした。
ケイも、もう1枚もらうようだ。
手札には♥3が来た。これは結構良い手札、合計数が20になっている。
とりあえず、王子と俺はそこでストップした。たまに勇気のある奴や馬鹿な野郎はもう1枚!とか言って、負けるのだが、そこで勝つ奴は本当に強運としか言いようがないと思う。
ケイの方は………勝ち誇った笑みを浮かべている。こりゃあいい手札が来たんだな。
俺達は手札をオープンした。
俺達の手札はさっき言ったとおりで♠1♦6♥3だ。合計数20、なかなかの手札。
そしてケイは…………♦11♠6♥2ケイお前何を誇らしげにしてるかは知らんが、普通の手札だ。
「え!?あ、18?21じゃなかったの!?うそー!」
素で驚いている、あんな単純な計算ミスしてるのか、本当に●●●年生きて来たのか?コイツ。
あ、もしかしたら逆さまに見て間違えてたのか?
たぶん分かっていると思うが、トランプで言うところの10〜13は10として扱われる。
ディーラーの手札を1枚ずつ出していく。
結果は見事なブタ、俺達は普通に勝利。
ディーラーが負けた場合ブタでない者は全員勝ち。胴元が賭けた分の金の数倍の金を出す。
此処は1回ごとの掛け金がデカイ、だからハイリスク、ハイリターンなわけだ。
「ディーラーがブタだったから良かったものの、お前18以上出されたらどうするつもりだったんだ?」
ちなみにケイは遊び(ケイの場合食い物だろうが)用に渡している金を全て賭けていた。
これが無くなったらそのへんで遊ぶことも出来ない。
「いやぁ、6と9を見間違えるなんてなぁ」
やっぱりそうだったのか、つーか良く確認しろよ。結構大金賭けてたんだから(俺達にとっては)。
ケイ、お前褒めるべき点がほとんどないな。唯一あるとすれば大食い?でもそれの場合長所でもあり短所でもあるなぁ。