異世界転生ガチャ
なんとなく書いた
自分でも何故かは解らないが書いてしまった
それは突然の出来事だった。僕は欠伸を噛み殺しながら何時もの時間にホームで電車を待っていた。ぼんやりとアナウンスを聞きながらそろそろ目の前を通過するなと考えていた時だ突然後ろからドンッと押されてホームに転落する。身構える暇すらなくそのまま轢かれそうになってあわやという時に視界がいきなり白黒のモノクロームになったかと思うと僕以外の全てが止まって見えた。これが今わの際なのかと思っていたら
「異世界転生しっまっせっんかー?」
とハイテンションの女の子?が突然現れて抱きついてきた。
「あなたにはチャンスがありまーす!やったね!何と異世界転生できちゃうんでーす!!すごいすごーい!」
ついていけないアッパーなノリに戸惑っていると顔の距離を詰めてきた。額と額が触れ合うそんな距離だ。
「元気ないぞー?盛り上がってこー!いえーい!」
そう言いながら僕から離れて行くその女の子?は物凄く可愛くていい匂いもしてクラクラしてくる。熱に浮かされたようなふわふわとした妙な気分になってきて思わず聞いてしまう。
「転生ですか?ラノベとかアニメみたいな?」
すると女の子?は右手は胸元に左手はそのまま真横に伸ばして自慢げな顔で告げて来る
「そうだよー!ボクはその為に遣わされた天使なのでーす!どうするのかなー?」
ちらりと電車を見ると依然として止まったままだ。運転手も驚いた顔でこちらを見ている状態で止まっていた。そして恐る恐るホームを見あげてしまう、故意なのか確認したかったからだ。そしてそれを見てしまい見なければよかったと心底後悔した。だからだろうかなんとなく、本当になんとなく天使に聞いてみることにした。
「もし転生しないとしたら僕はどうなりますか?」
「折角のチャンスなのにしないの?勿体無いなー!そのまま死んじゃうよー?」
チャンスと言われても正直もうこのまま死んでしまっていいんじゃないか……そう考え込んでいると
「今なら転生特典あるよー?このままだとすんなり礫死体にはならなくて瀕死で病院まで連れて行かれてから苦しんで苦しみ抜いてから死ぬんだよー?それに魂砕いての再利用になるからそれもすっごく痛くて苦しいよー?ほんとにいいのー?」
痛くて苦しいのは嫌だなぁと考えてしまう。それならどんな物か解らないけど特典のある転生をした方がまだマシだろう。でも聞かないといけない事がまだある。
「なぜ僕何ですか?もっと優秀な人を転生させた方がいいと思うんですけど」
「理由の一つは君がやり直したいと思っていて後悔ばかりしている事かなー?もう一つの理由は君が無能だからー!優秀な魂は現世でそれ以上を望めないのだー!」
なるほど?神様直々に認める無能が僕と?今すぐに消えられるのなら消えたいなぁ。でも苦しむのはもっと嫌だそう思いながら次の質問をする
「何かやるべきことや神様からの使命があったりするんでしょうか?」
「あるよー!ないのもー!」
え?それはどういうことなんだろう?
「詳しく聞かせてもらってもいいですか?」
「どちらかを選べるってことだよー!ある場合はすっごく強くてサイコーな力を貰えるのー!確実に英雄になれるよー!無い場合はランダムなんだよー!英雄だったりぽんこつになったりするのー!」
それなら決まっている。英雄とかやっていられない
「それなら無しのランダムでお願いします」
「おっけー!ならガチャだー!今ならボーナスで初回の10連は無料だー!やったね!」
目の前に【新規転生者限定人生ガチャ】【期間限定UR排出中!】【SR王族ピックアップ中!】【初回10連無料】【SR以上1枠確定!】の文字が踊る。え……ガチャ!?待ってよランダムとは聞いたけど流石にそれはどうなの?僕の新たな人生はガチャで決まってしまうの?そうだ夢に違いないと頬をつねると普通に痛かった。どうしたらいいんだと天使を見ると
「ガッチャ!ガッチャ!ガチャー!」
と歌いながら僕の周りをぐるぐると回っていた。そのうざ可愛らしい姿にため息をつく。どうせ死んでしまうんだしそれよりはマシだろうと気を楽にして回すことにした。目の前に浮かぶ【初回10連無料】のボタン?らしきものに触れる。するといきなり目の前が光ってボタンが消えた代わりに金属製の円を組み合わせた天球儀みたいな物が現れてぐるぐると回り始める。円は全部で10個あるみたいでその内訳は金色が2個で銀色は3個で銅色が5個だった。たぶん色はレア度を表しているんだと思う。SRはたぶん金色だろう、そうするとあまりよくはないような気がする。若干がっかりしながら黙って見ていると回転はどんどん加速していって稲光みたいな物が見え始めた。
「おー!UR確定演出ー!!やったね!」
天使がそう声をかけて抱きついてくる。神様何やってるんだよという若干残念な気持ちが湧き上がって来たけれどそれを飲み込む。わざわざ不興を買う必要はないからね。黙って見守っていると徐々に回転が落ちてきて先ほどまでと内訳が異なっていることに気がついた。
虹色だ、虹色がある。そして金色は3個に増えている。逆に銀色は2個に減っていて銅色も4個に減っていた。それを見ていると円が別れてズラッと僕の周りに浮かんだ。
「さあ結果確認だよー!その円に触れて触れて!」
とりあえず銅色に手を伸ばして触れる。すると円がスルスルと解けて別の何かになり始める。そしてドキドキする僕の目の前に現れたのは
【C薬草】
待てや。人生やろが。人生が薬草ってなんやねん。文字通り癒し系の草食系か、アホか。そうつっこみたいのを抑えて次の銅色に手を伸ばす。
「レアを後に残すタイプなんだねー!!慎重というより臆病ー!!」
天使が失礼なことを言いはじめる。少なくとも最後に薬草が出るよりはいいだろ、とそのまま触れると
【C薬草】
どうやら僕の次の人生は癒し系の草食系で確定ですー、他にもあるやろがと思いながら次の銅色に手を伸ばして触れる。
【C薬草】
もうええっちゅうねん。なんなん?薬草しか出ないん?いやまだだと最後の銅に手を伸ばして触れる。
【UC健脚】
うん?え?何これ人生というより体質?薬草よりはいいのか?腑に落ちないけれどまあ銅枠だしね。次は2個ある銀枠だ、ここからが勝負と手を伸ばして触れる。
【R中級薬草】
なめてんの?ふざけてんの?なんなの?薬草ピックアップ中なの?
「癒されるねー!目指せ癒し王ー!!」
いやほんとふざけるなよ、お前これ可愛いからで誤魔化せるライン超えてるからな?イライラとしながら次の銀色に触れる。
【Rもち肌】
……銀色ってハズレ枠なの?拳を握りしめ歯をくいしばる。息をゆっくりと吸って吐いて気分を落ち着ける。そして気持ちを切り替えて金色に目を向ける、ここからはSR以上だ!手を伸ばして触れる。
【SR上級薬草】
知ってた。絶対に来ると思っていた。なんせ僕は癒し系ですからー。ふざけるなよ。ほんとふざけるなよ神様。目の前にいたらぶん殴ってるからな?
「癒しまくれー!目指せ癒しの神様ー!」
殴りたいこの笑顔。だがまだダメだ落ち着くんだ僕。この天使はテンションがウザいものの悪い子じゃないんだから。殴るなら神様だ。この天使はお仕事で来ているんだから。次の金色に手を伸ばす。
【SR辺境伯家次男】
これは?お家騒動とかなければいい感じでは?確か辺境伯って地位としてはかなりよかったはず。国と国の境とかだからかなり危険だろうけど。まだ解らないけれど当たりと言ってもいいはず。そして最後の金色に手を伸ばす。
【SR調薬】
え?これってスキル?それとも知識?それとも技術?なんだろう解らないけれど当たりでいいのか?深く考えても仕方がないから次へ目を向ける。いよいよだ虹色、天使の反応からこれがUR。薬草はやめろよ?と手を伸ばす。
【UR超ブラコンの最強ヤンデレ妹】
……は?何これ?え?戸惑いながら天使に目を向けると天使もバンザイしたまま目を見開いて黙っていた。明確なハズレ。圧倒的地雷。見えている死亡フラグ。
「これって」
「引いちゃうとキャンセルできませーん!全部お受け取りくださーい!おめでとー!」
なんかヤケクソ気味だった。ため息をつきながら結果を確認する。先ずは気になる【SR調薬】これは内容次第で僕の運命がかなり変わるはずだ。
【SR調薬】(Aスキル)
調薬に関する知識と技術
調薬に大きな+補正
体力と器用と知性と魔力に大きな+補正
習得者は国家に1人いるかどうか
下記スキルを自動習得
【R植物知識】
【R動物知識】
【R昆虫知識】
【R鉱物知識】
【R魔物知識】
妙にゲーム的なのは置いておいてこれ大当たりじゃないか?たぶんこれがあれば食うに困らない。知識系はそのまんまでそれぞれの知識と知性に少しの+補正があるようだ。じゃあ次はあれだよく解らないやつ。
【Rもち肌】(Pスキル)
肌荒れなんてなんのそのもちもちお肌が保たれる。
耐久に少しの+補正
うん?外れだと思っていたけれど調薬するならこれ役立つのでは?
【UC健脚】(Pスキル)
常人よりも速く遠くまで歩き走ることができ疲れにくくなる。
体力と耐久と敏捷に僅かな+補正
これも使えそうだ。フィールドワークに向いている組み合わせかもしれない。続けて確認するのは【SR辺境伯次男】だ。
【SR辺境伯家次男】(出生)
あなたは王国の辺境伯家の次男として産まれた。
下記スキルを自動習得
【R礼儀作法】
【R読み書き】
【R魔法の素質】
【UC初級剣術】
【UC初級槍術】
【UC初級槌術】
【UC初級指揮】
【C乗馬】
【C初級鑑定】
あなたの父は王弟である。
但しあなたは側室の子である。
産まれながらに【SR調薬】という非常に有能なスキルを持っていたため辺境において救世主にすらなれる可能性がある。
その為、幼い頃より跡取りとしての教育よりも調薬を伸ばすことを優先して育てられてきた。
結果的に跡目争いをする必要が無い正室の子の兄との関係は非常に良好である。
あなたを1人の女として愛する正室の子の妹がいる。
……天使を見ると目を背けられた。もう一度指でなぞりながら確認する。得られるスキルが豊富で大当たりだというのが解る。そして側室の子とはいえ跡目争いとは無縁で正室の子の長男との関係が良好というのは素晴らしい。でも最後の一文が全てを台無しにしている。これは確認しないわけにはいかないだろう。遠い目をしながら確認する。
【UR超ブラコンの最強ヤンデレ妹】(出生)
あなたには可愛い妹がいる。
あなたが大好き。
おい、もっと情報をよこせ。ダメだろうこれじゃ。天使に目を向けると真顔で文字列を見ていた。
「流石にいきなり意味もわからずに死にたくは無いんだ。せめてもう少し情報をさ」
「ちょっと待ってくださーい。神様に尋ねまーす!」
不安になりながら目を瞑ってムムムと唸っている天使を見守る。暫く待っていると訥々に目を開いて
「情報開示おーけーとのことでーす!どうぞー」
【UR超ブラコンの最強ヤンデレ妹】(出生)
絶世の美少女の妹
耐久に非常に大きな+補正
以下のスキルを自動習得
【UR魅了無効】
【UR龍魔王の加護】
【UR龍魔王の寵愛】
【SR龍魔王の監視】
【SR危険感知】
【R頑強】
彼女はかつて世界を制し千年にも及ぶ人類の暗黒時代を築いた世界最強の龍魔王(♂)の転生体でその力と記憶を保持している。
今世では辺境伯家の正室の子として産まれたあなたの腹違いの妹である。
強烈な魅了魔法により家族及び使用人そして領民全員から愛される存在である。この魅了は神にすら解除不可能
まだ記憶が戻っていなかった幼い頃の交流によりあなたを1人の女として愛してしまっている。
今月はあなたに色目を使った町娘を3人喰い殺した。今世の累計犠牲者数173人
わーいURスキルが増えたぞー
……天使を見ると天使の目が死んでいた。たぶん僕も同じ目をしていると思う。やばいなんてもんじゃぞこれ。どうすればいいのか皆目検討もつかない。転生を諦めた方がいい気がしてきた。確かに苦しいのかもしれない。でも生きている方が辛いことってあると思うんだ。覚悟を決める。
「あのさ」
「いってらっしゃーい!」
いきなり視界がブラックアウトする。おのれ!絶対に諦めないからな!必ず戻ってくるからな!そのまま意識が途絶える
△
▽
はっと目を覚ます。何だったんだろうさっきのは……変な夢だった。身じろぎしようとすると何かが乗っているのか僅かな重さを感じて動けなかった。寝転んだまま視線を身体に向けると布団が盛り上がっていた、あれ?こんな布団持っていたっけ?と思いながら捲るとそこには濁った赤い瞳を持つ紫色の髪の綺麗な女の子がいた
「あら、おはようございますおにいさま」
そう挨拶をしてくる女の子、誰と思うよりも先にスッと僕の妹だという認識が滑り込んできた。妹?僕に妹なんて……さっきのは夢じゃなかった?
「おにいさま?」
そう言いながら身を起こして僕の首元に抱きついてきた、なんとも言えない甘ったるいいい匂いがする。流されてはダメだと頭を振って
「こういうのはダメだよ?前にも言ったろう」
そう言うと
「兄妹が仲良くしていて何の問題が?それともおにいさまもわたくしにそういう想いを?嬉しい」
とその底の見えない濁った瞳を向けて顔を近づけてくる。ゾゾゾと背筋に寒気が登ってきた、目の前のこれは絶対的な捕食者だと本能で理解する。身をひねろうとしたがその細い腕でガッチリと抑えられて身動きすらできない。そしてそのまま唇を奪われ貪られる。甘い甘いその吐息に僕の何もかもが包まれてしまう。そして脳にズンと何かを直接叩き込まれたかのような凄まじい衝撃を感じたような気がした。一瞬、意識に何か靄がかかったような気がしたけれど直ぐにはっきりとする
「ふふふ……やっぱりおにいさまだけはおにいさまのままダァ……嬉しイィ」
その濁った瞳をうっとりと細めて僕の下腹部を撫で始める、これはダメだと抵抗しようとするが無駄だった。何一つ抵抗できないままにそのまま貪り尽くされる
全てが終わってしまった後に妹は僕をぎゅっと抱きしめて頭を撫でてきた。頭ではダメだと思っているのにその甘い甘い吐息に全身を包まれて多幸感でいっぱいになってしまう。暫くそうしているとそろそろ時間だと名残惜しそうに唇を合わせた後に僕の部屋から出て行ってしまった
これは本当にどうしたらいいんだろうと途方に暮れてベッドに寝転がっているとメイド達が入ってきて丁寧に僕の全身を拭き始めてしまう。もはや抵抗する気も起きずそのままぐったりとされるがままでいた
ご拝読ありがとうございました
最強で最恐で最凶だけど主人公にだけはダダ甘なTS転生妹さんです
紫色の髪を腰まで伸ばしている130cmぐらいの小柄な少女のイメージです
その瞳は赤黒く濁っていて世の中全てを呪っているかのような悍ましさと狂気に溢れています
そして常に甘ったるい妙な匂いを漂わせていて少しでも嗅いでしまうと魂と脳自体を作り変えられてしまいどれほど高潔な聖者でも絶対服従してしまいます
何かを命じられれば自分の全てを犠牲にしようとも必ずそれを叶えようとします
例えそれがかけがえの無いものであっても命じられれば無償で喜んで差し出します
死ねと命じられれば即座に喜びながら死にます
どのような手を使おうが二度と元には戻りません
例え転生したとしても魅了されたままです
主人公の少年だけが不幸なことにその影響を受けません