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傍観者  作者: Amaretto
第六章
42/56

6-8(槇原11)

[槇原]


 モニタリングルームとコンピューター室の間、そこには隠し部屋がある。

 モニタリングルームには3つの機械が置かれている。一番左は、私達教師が生徒の様子を観察するモニター。真ん中は、監視カメラのデータを保存してある機械。一番右の機械については、教師には説明されていなかった。0~9までの数字のボタンがある機械。その数字をある順番で押すと、モニタリングルームの右側の壁が動き、隠し部屋へと繋がるのだという。

 私は田中先生から教えられた番号を押してゆく。

 右側の蒼い壁がスライドし、壁が開く。


 ここが、隠し部屋への入り口。


 私と武田は、顔を見合わせ、その暗い部屋へと足を踏み入れる。

 中はそれほど広くはなく、部屋の真ん中に小さな機械があるだけだった。


 武田は、機械のスイッチを入れ、機械を起動する。


 スクリーンが光り、「起動中」の文字が表示されている。

 しばらくすると、青い画面に切り替わった。

 スクリーン上には、いくつかのアイコンがある。それぞれ、別の色のアイコンだ。


「これが、おそらくSSでの最重要機密事項。」


 武田が呟く。

 私はアイコンの数を数える。9個のアイコン。このうちのどれかが、日向千鶴の情報。


「アイコンが9個もある……。どれが『日向千鶴』のものなんだろう。迂闊にタップするわけにもいかないし……。」

 私は、焦り始める。


「先生。大丈夫。青と黄色だよ。それが『日向千鶴』に関する情報。田中先生が言ってた。」


 そう言い、武田は、最初に青のアイコンをタップする。

 画面上に、第1期生~第22期生の文字が表示された。


「これ、今までの全生徒の個人情報かもしれない。先生、『日向千鶴』って、何期生?」


「確か、7期生だったはず。」

 私は答える。


 画面上の第7期生の文字をタップする。その中で、1~3組に分かれていた。

「先生、何組だったか、分かる?」


「ごめん、分からない。」


 私がそう答えると、武田は、まず1組からタップしていった。

 ずらーっと生徒の名前が並ぶ。

 全員の名前を確認し、「1組じゃないね。」と武田は言う。

 2組の生徒も確認してみる。


「先生、あったよ。日向千鶴。」


 武田はそれを開く。


 [個人ファイル:日向千鶴]

 名前 日向 千鶴

 住所 東京都〇〇区〇〇町○丁目○番

 生年月日 西暦2029年5月3日


「住所、名前、生年月日……かあ。」


 もっと多くの情報があると思っていた私は、落胆する。


「それ以外は、ないみたいだね。まあ一応、この情報もとっておこう。」


 青い方は、全校生徒の個人情報であった。残るは、黄色い方。こっちにかけるしかない。


「じゃあ先生、黄色いほう、見てみるよ。」


 個人情報画面を閉じ、最初の画面に戻る。そして、黄色いアイコンをタップする。

 すると忠告が表示された。


 [これは機密事項です。暗証番号を5回間違えると、保存されてあるデータは消去されます。開きますか?]


 武田は、迷わず「はい」の文字をタップする。


 私は武田の行動に驚き、慌てる。

「大丈夫だよ、先生。ちゃんと、わかってる。」


 武田は間違わないように慎重に番号を入力した。


「開いた。」


 そこには、私達が求めている情報があった。


 [日向千鶴:音声データ1]


 [日向千鶴:音声データ2]


「これだ。これが、SS制度崩壊の証拠になるはず。」


 武田は「音声データ1」をタップした。



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