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傍観者  作者: Amaretto
第五章
32/56

5-4(槇原6)

[槇原]


 小田さゆりと、田中先生が手を組んでいる。

 そんなリスクを犯すほど、田中先生は、この計画に命をかけてるんだ。失敗すれば、拷問もありえる。最悪、殺されることもあるかもしれないのに。


 今のところ、学校側から殺されるなんて実感はない。でも、28名の死亡を、ただの病死や事故死だとして処理できるほどの力を持っている。だから、私や田中先生2人くらい、どうって事ない。


 それなのに、小田さゆりという、不安定な人物を仲間にして大丈夫だろうか。裏切られたら最後。


 田中先生は私に、まだ動くなと言っている。小田に裏切られた時は、1人で計画していたと言うつもりで、小田を仲間にしたのだろう。でも、田中先生だけ、リスクが大きすぎる。彼は1人で色々抱え込みすぎている。そんなんじゃ、身を滅ぼしてしまう。

 私は、パートナーなのに。田中先生は、私に協力してほしいって言っていたのに。どうして、1人で抱え込もうとするの? 私だって、力になりたいのに。


「まきちゃんには、最後の砦でいてほしいのよ。」

 田中先生から言われたセリフ。


 私は、今動くべきではない。田中先生と協力して動いているのが、小田と武田なら、学校にバレた時、担任である私も仲間でないか疑われるはずだ。それを見越して、私が何もしていない証拠を残すようにしているのだろう。だとしたら、悔しいけど、見てることしかできない。




 今日、藤井が飛び降りようとした。

 私は、助けなかった。


 そして、これからも同じことが起ころうと、手を差し伸べてはいけない。


 田中生徒の言う通り、生徒自身を信じるしかない。




 小田は、田中先生と手を組んでる。ということは、SS制度の存在も知っている。そして、担任の役割も。

 私が、SS制度崩壊計画のために、藤井有紗を助けなかったことも。


 頭の中で想像した小田さゆりは、私に対し、笑いながら言う。


「有紗ちゃんが飛び降りようとしたのに、何もしなかったんだ? それでも教師? まあ、制度崩壊のためだもんね! それなら仕方ないね。ふふっ。先生は、制度崩壊させるために、何人の自分の生徒を見殺しにできるかなあ?」


 頭の中で想像した小田さゆりは、残酷な言葉を言ってくる。


 でも、私は、田中先生と約束したのだ。

 なんとしても、生徒の為に、制度崩壊させてみせると。

 改めて、私は決意した。


 小田さゆりに、私の本気を見せつけてやる。

 これから何が起きようと、今まで通り、冷徹で、感情のない、SS教師を演じて見せる。


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