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傍観者  作者: Amaretto
第三章
19/56

3-4(武田1)

[武田]


 一体、どういう事だ?


 藤井は、中間テストの小田の平均が70くらいだと言っていた。あれは嘘だったのか?


 いや、嘘じゃないはずだ。藤井は嘘をつく時、口を触るクセがある。それに、落ち着きもなくなるから分かりやすい。けれど、あの時は、嘘をつく様子ではなかった。だから、本当だったんだろう。だとしたら、小田が、藤井に嘘の点数を教えたのか? でも、藤井は、点数開示申請をしたと言っていた。だから、その方法で知った以上、それが実際の点数。それ以外ありえない。そう思って、俺は小田の条件を飲んだんだ。


 俺は、小田に嵌められた。おそらく小田は最初から、点数開示申請による証明をしてくると予想していたんだ。そして、どうやってかは分からないが、藤井に、ダミーの点数を見せつけて、罠を張った。そして、まんまと俺は引っかかった。


 これで俺は、小田の意見に逆らえない。


 もちろん、ただの口約束だけど、俺が約束を破るような奴じゃないって思って、言ってきたんだろう。


 小田は、俺が思っていた以上に、策士だ。恐らく、カンニングを藤井に持ちかける前から、ありとあらゆる対策をして、逃げ道を作っておいたんだ。


 藤井と俺は犠牲になった。クラスで発言するのが藤井と俺と小田が多かったから、小田は狙ったのかもしれない。

 藤井も俺も、小田に意見しないとなれば、クラスを動かすのは小田になってしまう。

 クラスメイトも、不安になってるかもしれない。


 俺は藤井を守るとか言っておいて、結局は守れなかった。クラスの雰囲気も最悪だ。


 今後、小田は藤井をさらに追い詰めるかもしれない。でも俺は守れない。間接的に、クラスの雰囲気を穏やかにする事はできるかも知れないけれど、藤井本人を助けるのは厳しいだろう。ごめんな、藤井。藤井から、嫌われるだろうな。それどころか、クラスから、嫌われるかもしれない。俺は、小田を怪しみ、クラスメイトの前で吊るし上げるような無茶苦茶な方法をとったのだから。


 俺はクラスを穏やかにするどころか、悪化させてしまった。それは想定内だけど、その後のクラスの再建を厳しくされたのは、想定外だった。実質、不可能に近い。



「まあ、私を疑ったのは許してあげる。でも、今後私のやる事に口を出さないでね。」



 小田は、白く綺麗な歯をちらりとのぞかせながら、俺を見下すように笑っていた。


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