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傍観者  作者: Amaretto
第二章
10/56

2-1(藤井1)

[藤井]



「あ、そういえば、有紗ちゃんのこと、槇原先生が探してたよ!」とさゆりちゃんが言っていたので、体育館近くの廊下へ行ったが、そこに槇原先生はいなかった。辺りを少し探してみるが、見つからない。


「えーっ! なんでいないのー!?」


 愚痴をいいつつも、仕方ないのでそのまま寮に帰ることにした。


 夜ご飯には、ボリューム満点のかつ定食を選んだ。今月は、自分のカードの金額がいつもより残っているので、定価の高いかつ定食を奮発した。外側はサクサクとした衣で、中はお肉がとてもジューシー。一度たべると病みつきになるほど美味しい。でもこれを普段から食べていたら、胃もお金ももたない。貴重なカツ定食を存分に味わう。お腹いっぱいになったところで、食堂から自分の部屋に戻る。部屋のキーとタブレットを机に置く。


「あ! そういえばさゆりちゃんからメール来ることになってたんだ!」


 タブレットを手に取り、メールを確認するが、着信メールはない。黙って待っていても仕方ないので、お風呂に入る事にする。お風呂上がりに髪を乾かしていると、メールの着信音が鳴る。

 髪が半乾きのままだったが、すぐさま内容を確認した。さゆりちゃんからのメールだ。



[題名:テストカンニング方法☆]


[本文:テストの在り処は、槇原先生のタブレットの中! 先生のタブレットには、中間テストっていうアイコンがあるみたい。だから、先生の隙をついて、先生のタブレットから私達のタブレットにデータを送る。直接メールで送ると、後で先生がメール見れば分かっちゃうから、掲示板とかに一回貼って、それを私達のタブレットに取り込んでから、その掲示板の投稿を削除するの。だけど、先生がタブレットを手放す瞬間を狙わなきゃいけない。先生はいつも、朝教室に来る前に、トイレ行ってから来るんだよね。その時にトイレ向かいの棚に荷物を置くんだ。だからその時を狙おうと思う。もし今回先生がトイレ行かなかったとしても、中間テストまで2週間あるから、その間に一回でも成功すれば良い。で、早速明日やってみようと思うけど、有紗ちゃんはどうする?]



 なるほど、ちょっと面白そうかも。さゆりちゃんから提案された時はびっくりしたけど、ちょっとした悪戯くらいの感じに思えてくる。


 慣れた手つきでメールを返信する。



[題名:面白そう!]


[本文:やろう! ちょっと怖いけど、でもドキドキしてきちゃった☆]



 カンニングなんてしたこと事は無いから不安はだけど、それと同じくらい、楽しみに思う。クラス替え発表の時みたいに、期待と不安で、ソワソワする感じ。今の気持ちを表すように鼻歌を歌いながら、洗面所に戻り、また髪を乾かし始める。

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