とりあえず、整理しよう
遅くなってしまったが、ここで俺の自己紹介とこの街の事。後はまぁ茜という女子についてでも書いていこうと思う。
俺の名前は【最上 泰樹】家の家族構成は、親と妹と俺の4人家族。親とは小さなトラブルこそあれど概ね関係は良好。3歳違いの妹とは反りが合わずにここ半年程会話もしていない。
半年前に、親の仕事の都合でここ うるみ沢町 に越してきたんだがここはとにかく人口が多い。
まだ、出来て間もない都市、しかもどこも企業が参入していないビル群ばかりなので多くの企業がなだれ込み同時に人も住み始めた。
全く、予算を掛けずとも家、ビル、スーパー、アパート果ては道路まで整備されているこの街は正に夢の街と呼ぶに相応しいものだった。
うるみ沢町には、なんと学校が一つしかなかった。数十年前に建てられたという 公立うるみ沢高校 この街が出来る前までは他の名前だったそうだが誰も思い出すことは出来なかったようで仕方なくうるみ沢の地名が使われたそうだ。
残念な事に、うるみ沢が出来るまえにあったあらゆる文書、情報、写真、建物などそこに関する情報は全て消失してしまっていたという。
残されていたのは、名前も知らない無人の高校だけ。古びた高校は景観にそぐわないとの事で取り壊しの予定があったがまた作るというのも面倒だというので結局そのままで使われているらしい。
クラスの奴等の事は、ぶっちゃけ俺は一部の仲の良い奴とつるんでるくらいでクラスメイトの半分は名前も覚えていない。
そんな俺は、クラスカースト最下層の冴えない男。対して、クラスで一二を争う美少女である【結城 茜】はカースト最上位層の人間だと言っても疑う奴はいない。
時たま発する天然発言と引き締まった抜群のプロポーション、そして、誰にでも分け隔てなく接するその姿は一体何人の男共を虜にしてきたのであろうか。
しかし、実は彼女はこの街が出来る前から住んでいた住民のたった一人の生き残りらしく彼女自身には黒い霧に飲まれた住民達の声を聞くことが出来るらしい。
と、まぁここまでが俺の知ってる事の大体全てだ。
しかし、学校だけが消滅しなかった件といいうるみ沢が出来る前の町の事も忘れられている件といいまだ分からない事だらけだ。
今度、茜にあった時にでも聞いて見ることにしよう。