幼馴染みとボク
ボクの名前は雨野真姫。
女の子みたいな名前だけど男だ。
ちなみにチャームポイントは眼鏡とポニーテールにしてあるロングヘア。
「って、前なら言えたのになあ……」
「まあ、どうしようもないんだし、諦めるしか無いんじゃない?」
「そんな簡単に済むようなものじゃないよ!」
ボクが話しているこの女の子は高峰渚。
ボクの幼馴染みで、彼女は正真正銘の女の子だ。
「なんでよりにもよってボクが女の子にならなきゃいけないんだよー」
「別に言いと思うけどなー、真姫くん可愛いし」
「ボクが欲しかったのは可愛さじゃなくてかっこよさなの!」
「かっこよさかー。元々女顔なのに?」
「いや、それは言わないでよ……」
「だって女の子になったって言われても最初は何が変わったのかわからなかったもん私」
割と昔に発見された不思議な病気、TS病。
体が変わる前にかなりの高熱が出て、意識を失ってしまうけど、性別が変わってしまう以外に、特に体に害があるわけでも無い病気だ。
別に特別珍しいものでもなく、一つの学校に二、三人はいるぐらいの割合らしい。
学校基準で数えるのは、症状が出るのが思春期の学生に多いからだとか。
「にしても真姫くんは、女の子になってもちっちゃいままだねー?」
「渚ちゃん、流石にボクも泣いちゃうよ?」
「でも、本当に変わってないんだもん!」
「うん、それは自分でも思ったけど……」
女顔で149センチの低身長、男だった時には同じ学校の男子からは流石に少なかったけど、何度も男の人からナンパとか告白をされた。
女子からは完全にマスコットキャラ的な扱いだし、男子からも似たような感じの扱いで、間違いなく男子としては扱われてなかった。
で、ボクの見た目は女の子になってもほとんど変わって無い。
ボク自身もにTS病だって言われても最初は信じてなかったくらいで、心の底から信じたのはTS病での熱がまだ続いていて安静にするため風呂に入れなかったから体を拭こうと思い服を脱いだときだった。
「皆ボクが女の子になった途端に急に告白してくるんだもんなぁ。正直怖かったよ……」
「制服も女子のだから何もおかしくないもんねー」
「そう言えば、女の子になってから女子から告白されたのにはビックリしたなぁ」
「あ、それは私も驚いたよ!でも、そんなに告白とかされてなんで真姫くん誰とも付き合わないの?結構いい人もいると思うけど?」
「だって、ボク、別で好きな人いるし……」
「え?うそ!……誰なの?」
「絶対教えないよ!」
「えー?じゃあこれだけ教えて!男の子?女の子?」
「……女の子、かな」
そう、ボクが好きなのは、男だった頃から変わらず女の子だ。
それも、ボクの幼馴染みの女の子。
つまり、渚ちゃんのこと。
そんな空気でも場所でもないから絶対に言えないけどね。
「で、名前は?」
「名前はボクが教えたくなったら教える」
「むぅ、つまんないなー」
そうだなぁ、ボクが渚ちゃんに告白するときになったら教えてあげようかな。