09
マリア先生が若返った。
バチカン方面とか教会関連とか、多数、多方面に問題が有るのだが、外見だけは一応誤魔化せたはずだ。
修道女長に一度見られたが、見間違いとか夢で押し通す。
鏡に写っている姿が違ったり、写真に写ったりすると駄目だが、プリモントがマリア先生の頭の上に浮いている衛星?を調整しているので、何とかなりそうな気がしないでもない。
奇跡として調べられるならまだしも、異端審問官が来て悪魔の呪いがかかった子豚、呪いのビスクドールを始末しに来られると非常に困る。
あ?クマに魅入られたオバハンたちが、命に変えても子豚を守るし、死んだ子が生きていたと思っている親も死力を尽くして子豚を守ろうとするだろう。
それでライカが本気出して追い返すと死人が出るし、もう一人の化物イヴァンカが参戦すると、インドなら神様扱いで仏に帰依してるとか言われるが、キリスト教だと悪魔超人なので戦争になる。
それと女性との恋愛感情が無さそうなパパでさえ「僕がマリア先生と同じ年頃なら、きっと求婚しただろうなあ」などと、女性として扱ってはいけない人物にまでお世辞を言って、周囲の女が殺気立ってしまったことが有る。
ここの卒業生は大抵ファザコンで、パパから男親の愛を十分受けて、神の愛、アガペーも十ニ分に貰ったからこそ、心がひん曲がらないで、比較的まともな人物として更生している。
あのライカでさえパパに救われて、秘めた恋心?的な物を発生させている。
もう一人のバケモン、イヴァンカもパパにベタ惚れ、死ねと言われれば死ぬぐらいの痛すぎる恋心。
男みたいなテロリスト妹、アジールもパパに求婚されたら泣いて承諾するだろう。
イスラム教的には4人まで結婚オッケーらしいので、改宗してもらってライカとイヴァンカがパパと無理くり結婚しても、後2人滑り込める。
え? まあ私も、あのパパに求婚されたら結婚もやぶさかではないと言うか何と言うか、普通の暴力的な男との結婚なんか寒気がするが、パパとの結婚なら考慮する。
脱がせて検診して、一緒のベッドでも今以上に観察して健康管理もする。
30過ぎのパパと、現在10歳程度のマリア先生なら犯罪なので、周囲も許しはしないだろうし私も許さないが、今もジワジワ成長しているので、出産適齢期とか良い年頃で止まりそうだ。
今までは反っ歯で出っ歯で乳無しで、言っては悪いが外見はブサイクなお婆さんだったのが、さっき見たときは病原菌や自然の影響を全く受けていない、まるで天使か妖精のような美しさで、心の美しさから外見まで影響を受けて「マリア先生マジ天使」ぐらいになっていたので、あのパパでも天使が相手なら求婚しそうだ。
二人とも恋愛なんかしないし出来ない人だが、パパの方は元娘とかに猛烈に求婚されると、ダイキチさんみたいに娘だった子が幸せになるように結婚してくれる。
恋人にするには全く向いていないぐらい遊びを知らない人なのだが、父親としては最高の人物で、家庭を守る経済力も全く無いが、ソッチ方面はどうにでも出来る化け物たちが虎視眈々と狙っているので怖い。
ライカとイヴァンカが、そんな女達を闇から闇に葬ったので今の所存在しないが、教会やイスラム寺院からも、お節介なババアとかジジイが来て、「あんたもそろそろ身を固めて、家庭を持ちなさい」とけしかけて来る。
いつも笑ってはぐらかしているパパだが、資産家が娘を紹介して結婚させ、子豚のオジータン、オバータンの座に座ろうと画策する者も沢山いる。この後の「ごさいちゃんとのお食事会」にも大勢来ている。
勿論その娘も、子豚のオカータンに成りたくてなりたくて仕方ない女だ。
今まで微妙なパワーバランスの中で安定して、もしパパに求愛するとライカとイヴァンカにぶっ殺されるのを知り尽くしている女ばかりだったが、一番空気読まない人が若返ってしまった。
それもお世辞とは言え、一度求婚や結婚を仄めかしたことが有る相手で、あのライカがぶっ殺せない数少ない善人で聖人。
もし先生がシスターを引退して還俗しちゃったら? パパをイエス様みたいな人だとか言ってたし、パパとけ、結婚してしまったら、あfがsghkgはdrてゃsdgあsfっgはおくぁsdっgsrろふぎゃあああっ!
「マリア先生ガ、若返ッてしまッタと言うのは本当っ?」
子豚共に付きっきりだったイヴァンカまで、医務室に来てしまった。
カタカナ混じりと言うか旧仮名遣いと言うか、私と同じように非常に混乱している。
「子豚の持ってた薬と、呪術と死なない呪いと死んでも復活する呪いとか、回復魔法と精霊魔法と神聖魔法と勇者の復活呪文が重なったみたいで、原因不明で若返っちゃって……」
「そ、それはマズい、またパパが求婚してシまったラ」
変な奴で化物なのはライカと同じで、初対面の子豚に見られると上の方を指さされて「コダー」と言われる異次元生物憑きなのだが、3重人格で他にも派生人格を持っていて、小物の敵を相手する時にはライカより手数が多くて恐ろしい奴だ。
足がムカデみたいに無数にあるらしい。
人間ごときが相手できる種類の化物じゃなくて、拳銃も自動小銃もRPGも効かないし、子豚共も余り逆らえない。
三面六臂の化物だとか、阿修羅王とか呼ばれている。こっちは現実に見た。
ライカと同学年なので、私やテロリスト妹の一個上らしいが、北の方から来た以外に経歴不明だ。
イヴァンカの顔と言うか人格の一個は、子豚が好きで好きで仕方ないオバハンやメスブタ共と同じで、オカータンになりたいのにも関わらず怖がられて全く好かれておらず、ちょっとナデナデしようとしてもロケットダッシュで逃げられる気の毒な人。
ご多分に漏れず、「私が、私がオカータンだったらっ」と泣かれて、私も睨まれて狙われている。
怒りの人格に切り替わると、マフィアであろうがイスラム武装組織であろうが、根絶されるまで破壊される。アシュラマンか、アシュラウーマンに変身するらしい。
ライカみたいにシスターじゃないから、暴力にも制約がないし、私とかに見られても平気だ。
泣いている人格は見たことがないが、ライカにもイヴァンカだけは泣かせないよう厳命されているので、私に常時張り付いている子豚モフモフなどでご機嫌を取るようにしている。
「今までも一個づつなら症状出なかったのに、マリア先生だったから子豚も心配して、呪いとか魔法が重なりすぎたんだわ」
全員が先生に飲ませた薬が分からないし、子豚共の願いとか祈りとか「呪い」が再現できないから、多分別人で実験しても再現性がない。
イモリの黒焼きとか役に立ちそうに無いのは捨てたが、船長と修理屋が持ってた薬は没収した。
明らかに先進医学すぎて、これも盗まれて解析されて生産されると、人が誰も死ななくなる世界が出来上がる。
食料も居住地も不足して、頭悪そうな奴とか、障害抱えてるのが刈り取られて殺されるような、優生人類だけの世界が完成する。
「せ、先生、具合どうですか?」
「あら、イヴァンカさん、すっかり良くなってしまって、膝もこの通り」
イヴァンカも先生を見舞ったが、まだ声が子供だ。
ベッドに座って精密検査の結果を待ちながら、子豚と一緒に歌ったり、足をブラブラさせて遊んでいる。
たしかさっきまで膝が痛そうにして、歩くのもキツそうに歩いていたはずだが、痛み止めも薬も塗らずに、天命として痛みまで神の恵みとして享受していた人だ。
現在私の眼鏡越しには、12歳ぐらいのクソガキ共と同じぐらいに成長しているのが見れる。
「イヴァンカから見たら、今の先生って何歳ぐらいに見えるの?」
「魔法か何かをどけてしまえば、小学校卒業したぐらいの子に見える」
「そう…」
幻術無効化できる奴には、やっぱり現実が見えてしまう。
ガリガリで細いんだが、パパはオッパイやケツがデッカイ色気づいたババアとか嫌いだから、多分女性の好みの直球ど真ん中がマリア先生だ。
「マリアちゃんのアバター用意できたから、スイッチ入れるよ~」
修理屋が、今までの写真とか映像で、360度有効な偽装画像を映像ソフトと音声ソフトで加工してくれた。
先生の頭の上にもある衛星、多分私のと同じ奴が再起動した。
「「ああっ?」」
私の眼鏡の中でも、先生は以前の姿になった。激しい動きの時にはデジタルノイズが出るが、上から映しているホログラフにしては優秀だ。
これで修道女長がひっくり返ったり、ほかのシスターから奇跡として報告されない、はずだ。
「あら? 直ったのかしら?」
声も元通りだ。これなら誤魔化せると思う。
「やっぱりひと騒ぎ起きたねえ」
私の背中の上で、呪術で使ったエネルギー分を充電?していた呪術師も、いつも通り禄でもないことになったので疲れた声を出した。
それでも、先生が癌で死ぬよりは大分マシな事件だった。
ごさいちゃんとのお食事会会場。
こちらも本日の公式行事なので、恙無く?開催された。
教会か孤児院に大金を払うと、お膝の上に子豚が座って、後ろから「アーン」し放題というプレイ。
先ほど男の娘ごさいに、耳掻きしてもらえなかった紳士も着席。お膝の上にお目当ての男の娘を載せてヘヴン状態だ。
「それでは皆様、ご準備は宜しいですか?」
主催者は教会だが、イスラム寺院からも人が来て、ムスリムの資産家も別テーブルで着席している。
食事前のお祈りは勿論別々で、普段この国の異教徒同士なら、魔法の杖でしか対話しない奴らが、珍しく仲良くお食事会をしている。
それも毎食フルコースディナーを食べられるレベルの金持ちが、ここで出る食事と同じ、粗末な料理に同額以上の料金を支払って着席。
それも自分は食べないで子豚にだけ食べさせる、もしくは間接キス、口移しなどを狙う、比較的高度なプレイだ。
一部、自分の子供の魂とか霊体を子豚に食われた親が、我が子にお食事をさせるが、この親達は収入の全てを子豚に貢いでいるので、悪魔ライカでも自分の子?と一緒に食事させるぐらいのサービスはしてやっている。
「乾杯~」
普段なら決して同席しない、貧民の労働者と資産家が同席する食事会。
「まあ、ごさいちゃんったら、手掴みはだめよ~」
腹を減らした子豚が、待ちきれずにデカイ物を掴んでガツガツ食っているので、ライカの見えないパンチで殴られた。バッカルコーン開きっぱなしかも知れない。触れると死ぬ。
多分一食抜かされたか、おやつ抜きで来ているので子豚も空腹なのだろう。
後ろから白い服着たムスリムの人が、手でパンを持ってやって、口に当てて食事の補助してやって鼻の下を伸ばしている。
高齢の紳士が、スープかシチューを後ろからフーフーしてやり、とろけるような笑顔で給仕している。
高そうな服とか、ムスリムの白い服に零されても平気、と言うか、ごさいちゃん、ゴッサイきゅんが描いたアート作品になるので、記念品に取っておくらしい。
「美味しいかい? 美味しんだね?」
「ゴ~」
子豚が美味そうに食って頷いただけで、もう泣き始めている紳士。
若くして亡くなった息子を思って、その魂を食ったのか、体内に呼び寄せたバケモノに飯を食わせることが出来て、ガチ泣きしている。
隣にいる奥さんも、なんか過呼吸起こしながら号泣。
この日に合わせて、また教会で謎の儀式が行われて、客の経歴を調べて死んだ子を召喚したり降霊して呼び出したんだろう。
こうやって客を騙して?数年掛けてボッタクリバー以上に金を抜き取って、中学卒業でここを出るときに養子にさせる。勿論大金が動けば話は別だが。
通訳兼、ご学友、お友達として、子豚と気が合った数人が雇われたり、一緒に養子として抱き合わせで孤児を出荷する。
ここ数年、ライカが開発した集金体制で、この孤児院は非常に潤って、政治的にも安定し始めた。
最初は役所の窓口でも門前払いで、パパとクソジジイがいた頃は資金援助などなかったのに、今では公立の孤児院に指定されて、ムスリムからでも入金有りまくり。
今では西側の資産家が子供をなくしたり、金持ち過ぎて麻薬で死んだりした記事とか見つけると、降霊術をやってから写真を送り「大切なお子さんの生まれ変わり」が、こんな辺鄙な場所にいるんだと手紙を送り、こんな貧しい暮らしをしているとか、他の友達と仲良くやっているとか、運動会のビデオまで送りつける。
有り体に言えば子供の魂を人質に取って、金をボッタクるシステムが完成している。
「ああっ、また会えるなんて思ってなかった、私たちが死んでからじゃないと逢えないと思ってたのにっ」
非常に感動的な場面なのだが、猛烈な悪意を感じるのは私だけだろうか?
召喚術とか呪い系統は、まだ私の背中に乗ってるサマネがいるし、他の子豚共も呪いの系統だけはバッチリ。
ごく稀に白魔術を使う子豚もいるが、こいつらの影は地獄に直通回路があるので、クソビッチとか巻き添えにして飲酒運転や麻薬でキマりながら自動車事故で死んだクズでも、楽勝で召喚して来れるそうだ。