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Wrath
僕が、自分の弱さと世の中のつまらなさに気づいたのは高1の春の事。
受験に合格し志望校に入学できたこともあり少し浮かれていたと後になって少々自重している。
中学の頃の友人は1名で、その友人とは別の学校になってしまった。だが、そんな事は大きく気にせず僕は高校生活を満喫する気しかなかった。
高校生になってから一週間がたった頃、三学年の有名な不良グループに絡まれた。噂によると兄にヤクザが絡んでるとかどうとか。
一学年だった事もあり、煙草と酒の誘いを丁重にお断りした後帰ろうとした。その時、悲劇は起きた。
振り返ると突然の目眩と、意識が朦朧としていくのを心臓で感じた。
世界が黒く染まっていき、今すぐに死んでしまいそうな格好をしながら地面に倒れ込む。
黒い世界に光る一冊の小説。
後少しで届きそうな位置にあるその本は、僕の目の前でパラパラと開き、あるページで止まる。
文字が光り、空中に浮く。
僕は、確かにその文字が「Wrath」だった事を鮮明に覚えている。
「この世界は一冊の小説により完結しており、永遠に終止符を打つのは貴方方エルピスの民である」