歴史の一部
まず最初にこの物語に主人公はいない。これは物語というには不完全なためである。よって、一つの歴史として読み出して欲しい。
―――といっても、このまま読み進めるにはある程度の知識が欲しい。その知識とは『タロット』である。
タロットとは全部で78枚からなるカードのことである。78枚のうちの22枚を構成するものを大アルカナといい、残りの56枚で構成されたものを小アルカナという。今回は二つのうちの大アルカナに注目したいと思う。
22枚のカードにはもちろんそれぞれに違う意味がある。しかし、その解釈は未だに定まっていないところも多い。また、占いでは正位置と逆位置により意味も違ってくる。
タロットは奥が深い。書き綴ろうとしてしまうと、どんどん長くなるのでここでは最低限必要な知識だけ書いておく。私的にもっと詳しく知りたい人は自分で調べてみてくれ。―――
16世紀前半。魔女狩りが盛んに行われている最中。ある一人の魔術師が呟いた。
「血の雨が見える・・・」
魔術師は自分の家の窓から外を見ている。外は豪雨が降り続いていた。本来ならば無色透明の雨が、優れた魔術師には鉄の匂いにまみれた血に見えた。
理由は分かっている。魔女狩りである。無実でありながら処刑されていった人々が、訴えかけているように感じてならなかった。
「なんとかしなければ」
そうは言うものの魔術師に残された時間は少なかった。魔術師には聡いがために自分の命が僅かだということに気がついていた。
「・・・どうしたものか」
さんざん悩んだ魔術師が出した答えは、自分のあとを継ぐ者を探すことだった。しかし、魔女狩りが行われている最中そのような奇特な者を探すのは無理な話だった。それに万が一に見つかったとしても、自分が知っている魔術を全て教えている時間がない。
そこで出した答えは自分の魔術を形にして残すことだった。しかも、悪用されないようにしなければならない。
魔術師は自分の知識を分割することにした。その際に用いたものがタロットの大アルカナである。
―――――
結果として、タロットは魔術師の志を受け継ぐ者の手に渡り魔女狩りは終わった。そして、それと同時にタロットの行方もわからくなった。
そして、時は現代まで過ぎ、タロットが再び目を覚ますことになる・・・・・・・・・
はい、駄文でした。ごめんなさい。でも、いつかもっと素敵な文を書けるようになれば続編を絶対に書きます。
↑書くとしても『智の地』が完結してからだと思います。・・・いつの話になるんだろう?