魔王と魔法少女
今日は久しぶりに弁当ではなく、自炊して手作りの夕飯を作っていると、
「賢介、賢介!こっちに来るのじゃ!」
何やら興奮したもようのチミっ子魔王。
「なんだ?・・・って、アニメがどうかしたか?」
手を洗って、リビングに行くと、魔王はテレビに釘付けだった。
そして、テレビでは可愛らしいステッキ握った魔法少女が敵であるモンスターと戦っていた。
まさか、アニメではしゃいで騒いでたのか?
年相応に可愛らしいところあんじゃん。
「賢介、こっちの世界では只の平民の幼子が大魔法を使えるようになる魔道具があるのじゃな!なんと恐ろしいことを考える!」
おっとー、予想の斜め上だわー。
「賢介、このステッキを買ってくれ!これさえあればワシの体も元にスグに戻るのじゃ!」
「それはムリだよ、魔王」
「なぬ!?なんでじゃ!もしや、ビンボーな賢介では買えない額なのか!」
少女向けおもちゃは高いのがお決まりである。
何度子供にダダこねられて、親の財布が寂しくなったことか。
「確かにこういった関連商品は高いけども、違う。あと、貧乏言うな」
「いひゃい、いひゃいっ!のびゃすでない!」
魔王の柔らかいほっぺをビヨーンと伸ばす。
魔王の反応も相まって、少し楽しい気持ちにはったのは秘密だ。
「あのな、これは御伽噺の世界なの。つまりは、オモチャさ」
「なんと・・・せっかく元に戻れる妙案じゃと思ったのに」
説明してやると、ことさらに落ち込む魔王。
やっぱり元の姿に戻りたいのかね。
「ところで、賢介」
「ん?なんだ魔王」
「なにゆえ、幼い女子が戦わされるのだ?やるなら、大人の、それも男の方がよいではないか」
おっと。
答えにくいこと聞いてきたな魔王。
「えーと、そうだなぁ・・・魔法少女の格好はな、パワーアップする為の物だ。それは分かるな」
「うぬ。ようは魔導甲冑のような物じゃろ」
「魔導甲冑については知らんが、まあそうなんだろう。まずはだ。その魔法少女の格好を思い浮かべてみろ」
「全体的にフリフリで可愛い服じゃな」
「ちゃんとイメージ出来たか?で、そのイメージを保ったまま、次に・・・」
「何じゃ?どうするのじゃ?」
「ムキムキのオッさんにその服を着せ替えてみな」
「・・・・・・うえぇ。なんておぞましいもの想像させるのじゃ!」
顔をしかめてベロを出し、嫌そうな顔をした。
よほど鮮明にイメージを浮かべてしまったらしい。
「これが少女が戦っている理由だ。これを俗に『誰得?』な状態と言う」
「な、なるほど。納得したのじゃ」
まあ、中にはボディビルダー(男)が魔法少女になってサイドチェストで敵倒すなんて漫画あるけどな。
最近、完結したけど。
「…………そういや、魔王はなんでそんなに元に戻りたいんだ」
「うぬ。賢介は優しいが、やはりワシをお子様扱いしておる」
「ま、それはな」
プリンとか甘いものに目が無くて、時々すっ転んで涙目になる魔王を思い出す。
…………うん、子供だ。
というか、最近の子供より子供子供している気がする。
「………何か失礼なこと考えておらぬか?」
「気のせい気のせい」
「つまりは、ワシ本来のワガママボディを取り戻せば、舐めた真似もできなくなるというわけじゃ!」
そう言って無い胸をデーンと張るロリ魔王。
ショボいよ、理由。
「そうけ。でも、俺的には今の魔王のままが良いんだがな」
俺がそう言うと、魔王の顔がボッと赤くなり、後ずさる。
「なっ、ななな!!何を急に言うのじゃ賢介!ま、まさか、お主ロリコンなのか?」
どこで覚えたロリコンなんて。
「いや、ただ単に食費的に。子供ボディの方が食べる量少なくて済むから」
「………あー、そうか。いや、お主はそういう男だったな」
どうやら落ち着いたようだが、どこかしら残念がってるのは気のせいだろうか。
さて、話もひと段落ついたようだし。
そろそろ料理を再開しますかね。
「なあなあ、賢介」
「なんだ。また聞きたいことがあるのか?」
「なんで、この魔法少女達は魔法使わんで殴り合うのじゃ」
「そういう伝統だ」
2人は◯リキュア!
別名、女の子版ドラゴンボール