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春 いきなりの出会い
それからおじさんは、パソコンの話を長々としだした。元も俊一もウンザリしている頃、
カタン、カタン。と、また音がした。
「何だ?さっきから。」
「どこからだろ?」
元と俊一は、音が鳴る方を見た。そこには大きなスーツケースがある。
おじさんは、2人の視線の方を見るなり、
「ああああ!!!」と叫んで、慌ててスーツケースを開けた。
元と俊一は、おじさんの奇妙な叫び声と行動にびっくりした。
「あ~ゴメン、パソコンの話しについ夢中になっちまって・・・。お前のこと忘れてた。」
そう言いながら、おじさんはスーツケースの中から、女の子を抱き上げた。
「モウ!苦シカッタデス!カズチャン、ヒドイ・・・。」
人形のような女の子は片言で、言った。
中年を過ぎたおじさんと、可愛らしい女の子という異様な光景に元と俊一は凍りついていた。