春 いきなりの出会い
2人は焼きそばを食べながら、テレビを見ていた。クイズ番組には最近人気上昇中の女の子が映っている。
「最近よく出るよね、この子。熊瀬(友人)が好きとか言ってたな・・・。」
「へぇ・・・。いいかねぇ、そんなに。俺はよく解んないなぁ。」
元はお茶を飲みながら、パソコンをいじった。食べながら設定をしている。
おじさんにお礼の電話いれとかなきゃな・・・。と携帯に手をのばした瞬間に「プルプル」と携帯が鳴り始めた。
「うわ!」元は驚いた。
「え!?」俊一は元の声に驚いた。
携帯を開けると、おじさんと名前が出ている。
すごいタイミングだな・・・。元はそう思いながら電話を取った。
「もしも・・・」
「おう!元か、元気か?あぁ、おじさんも元気にやってるぞ!今日本に来てるんだ。お前ん家の近くなんだ、もうすぐ着くから。あぁ、茶菓子なんて用意しなくても、すぐ帰るからな。じゃあな♪」
「・・・・・・・・。」
おじさんは、一方的に話すだけ話し電話を切った。
「はっちゃん全然しゃべってなかったね。」
俊一が、唖然としてつぶやくと、「ピンポーン」とチャイムが鳴った。
「もう来たのか!?」
元は玄関まで走って行く。その間にも、ドアがけたたましくノックされる。
「うるせぇな!今開けるって。」
勢いよく元はドアを開けた。そこには、おじさんが大きなスーツケースを持って立っていた。
「いやぁ~急用でこっちに来たんだ、悪いな。」
ガハハハと大きな口を開け、おじさんは笑った。
「ホントにそう思ってる奴は、そんなにデカイ態度はとらねぇよ。」
元は、おじさんを少し睨みながら言う。俊一はこのおじさんに会うのは初めてだった。あのブルーラパンの本社で働いていると聞いた時は、きっと頭のいい人だから、ドラマで見るようなかっこよくスーツを着こなし、頭をムースか何かでセットした男性を思い浮かべていた。が、実際のおじさんはスーツを着崩し、頭はどちらかと言えば、角刈りだろうか?スッキリしている。全体的にゴツゴツしていて、とてもサラリーマンには見えなかった。畑仕事をやってます。と言ってくれたほうが似合っているし、しっくりくる。
俊一はそんなことを思いながら、おじさんを見ていたので、当然目が合ってしまう。
「君が俊一君かい?」
俊一は驚きながらも、「はい。」と返事をした。
「元から、聞いてたよ。今いとこと暮らしてるって。君何か頭良さそうだね、ガハハハ!」
「・・・・。」
それは、僕が眼鏡をかけているからそう見えるんじゃ・・・?
俊一はそう思ったが、言わなかった。
カタン・・・。
物音がした。何だろう?俊一はあたりを見回したが、何も異変はない。
「・・・そういえば、パソコン届いたか?」
おじさんの発言に、少し機嫌の悪かった元は
「ああ、今日来てた・・・。」と答えた。