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リアル・デイル  作者: 芥4653
第1章:反転せよ
3/6

3話

 その声を合図に顔を上げれば、さまざまな表情を浮かべた7人の男女がいた。

 これからのことに不安を覗かせている者、何が起こるのか興奮を抑えきれないといった顔をしている者、あるいは怒りの表情を浮かべ、今にも射殺さんとばかりに黒い外套の男を睨みつけている者など一人ひとりの反応は違い、多種多様だ。


 あの時は周りを見渡す余裕なんて無かったから、なんか新鮮だ。


「これから君たちをそれぞれのポイントへ送る。そこで準備を整えてもらうことになる。詳しい話はそこにいるサポーターに聞いてくれ。私はこれでも忙しい身の上でな。これで失礼させてもらうよ。では、また会える日を楽しみにしている」

 そう一方的に告げられた後、白一色だった景色は———どこまでも続く、見渡す限り広大な荒れ果てた大地へと変わった。

 転移したのだろう。

 本当ならば、ここでサポーターってなんだよ!とか。なっ!ここはどこだ——!!みたいな反応をするんだろうけど、生憎なことに二回目ともなれば、「あ、飛ばされた」としか思えない。

 まあ、この説明不足にも程がある状態も、今にして思えばちゃんと意味はあった。

 そして、気づいたときにはすべてが遅かった(・・・・)


 一人ポツンと寂しく佇む俺は、きょろきょろと辺りを見渡す。そして、そこになにも無い事を確認したあと、あえて逸らしていた正面に同じくポツンと建っている一つの真黒な石碑(モノリス)へと視線を戻す。

 この場所にそぐわず違和感しか与えないそれは、黒い外套の男が言っていたサポーターと出会い、そして契約する場所だ。

 そこで、ここがどういう場所でこれから何をするのか等の説明をされ、彼女と契約することでここでの生活をサポートしてもらえる。

 ここでの基礎知識から始まり、スキルやクラスの使い方から戦い方、そして殺す術(・・・)に至るまでありとらゆるものすべてだ。


「ステータス」


 草野(くさの) (じん)

 年齢:19歳

 レベル:1

 種族:人族(ヒューム)

 力 :4(19)

 耐久:5(20)

 技術:6(21)

 敏捷:5(20)

 精神:10(25)

 運 :15(30)

 スキル:原点回帰(セーブポイント)×9・魂魄強化【同化】


 自分のステータスを見る為にはステータスと口に出せば目の前に半透明の画面が表示される。

 これも本来は彼女に教えてもらって知るのだが、別に知ってればできるようだ。

 これは、彼女と契約しなくても使えるのかという実験の側面も持ち合わせていた。

 相も変わらずその現実離れした現象に違和感を抱くが、こういうことは深く考えずにそういう物だと思うのが一番だ。


「おお…!なんだこれ、高すぎだろ!」

 この世界において、ステータスの平均は一般的な成人男性で平均レベル10にステータスはそれぞれ15前後だ。

 精神と運の値だけ飛びぬけている。

 そして、その横にある数値は俺が取得した魂魄強化のスキル効果だろうか。

 まあ、恐らくそうなのだろう。

 よしんば違ったとしても俺の心当たりはそれしかないからわからなくなるだけだし、気にするだけ無駄だ。


「っと、それよりも、スキルの詳細だ」

 俺は、確認するべくスキル表記をタップした。

 まず、件の魂魄強化。


 スキル【魂魄強化(同化)】:魂を強化する。すべての根源は魂にあり。これ即ち限界を超える道への鍵とならん。すべてのステータス成長に+補正。※熟練度の上昇率変更・肉体的強度上昇・精神的強度上昇・才能開花。残り0回(同化)。※解除不可。


 ここまでは良い。説明の横にある同化についてだ。同化について知りたいと念じる。


 スキル【魂魄強化(同化)】:同化とは、解除不可能を差す恒久的スキルを差す。所持者と同化することで所持者のステータスを向上させる。なお、魂と一体化している為、他人に譲渡は不可能である。


 ようするに俺の魂と同化しちゃってると。

 だから、解除は不可であると。

 なるほど。


「まじか…」

 じゃあ、これを解除したければ俺の魂にアレやコレな事をしなければならないと。

 そんなことを考えてちょっと身震いしつつ、よく考えたら俺にデメリットないなと思い直す。

 なら、別にいいや。それに、むしろこの上昇っぷりはかなりありがたい。

 やっぱり、このスキルは当たりなんだ。


「これなら、かなりの無茶ができるかもしれない」


 先の事を想定しつつ、俺はもう一つのスキルを開いた。


 スキル【原点回帰(セーブポイント)】×9:あらかじめ決めたポイント(ただし一度指定した場所は変更できない)からやり直すことが出来る。発動は自分がいる場所を起点とする。※一度選んだ場所に再度登録することは出来ない。発動条件:保持者が死んだ時。残り9回。


 このスキルだが、これから俺がすることにこのスキルは必須だ。

 俺がこれからこの世界ですることにおいて、これがないと厳しくなる。

 まずこのスキルについて改めて振り返ることにする。


 ・このスキルは10回———いや、あと9回死ねる。

 ・その場で生き返るというのではなく、文字通りセーブした場所からやり直せる。

 ・復活場所は自分が設定した場所である。

 ・範囲は、その時に自分がいる場所となる。

 ・復活時間は指定時の最大2時間前まで遡ることが可能であり、細かく指定できる。

 ・一度指定した場所は変更ができないうえに、再度発動するためには一度死ぬ必要がある。


 特筆すべきはこれくらいだろうか。

 そして、俺は今ここでこのスキルを使う。



 それも彼女と”契約しないため”に——————。



 これは俺がするために必要な第一歩であり、最初の、それも最高何度の試練だ。

 俺は、これからこの戦いの前提を覆す。

 別に血迷っている訳ではない。


 これは2週目だからこそ言えることなのだが。



 この彼女との最初の契約は——————




 ——————罠だ。











一般的な成人男性ステータスを修正。平均7~15へと変更しました。その他一部改稿しました。

この世界において、ステータスの平均は一般的な成人男性で平均レベル10にステータスはそれぞれ15前後だ。






誤字脱字の指摘、ご意見ご感想お待ちしています。

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