七話 石島一樹 過去の栄光
今、目の前で起きている現状がどうしても把握できていない。
中学生の石島一樹の目の前で明かされた真実があまりにも現実的では無かったからだ。
両親からそんな話を切り出されたのにも理由がある。先ずは、その事から話さなければならないだろう。
小学生の頃から様々な格闘技を習ってきた石島一樹は、周りから頼もしいと思われる存在になっていた。
特にジークンドーと言う格闘技にハマっていた。
友達の遊びの誘いさえもそっちのけでハマっていた彼も時が経てば大人になっていく。
中学校の入学式の日に同じクラスの男の子と上級生の男の子が話しているところを見てから何かがおかしくなっていく。
夏休み最終日。彼は、友達と久しぶりに待ち合わせをして遊ぶことにしていた。
地元の人には、多少有名な方だった石島一樹は、駄菓子屋へと行くと毎回おまけにおかしをひとつもらっていた。
その日も二人で駄菓子屋へと向かうと上級生の人が集まって何かしているのが分かったが気にせずに駄菓子屋へと入った。
「いっらしゃい。」
いつものように出迎えてくれるおばちゃんと少し話をしていつも買うお菓子を買っておまけのお菓子を選んでいると上級生の人が目の前に立っていた。
「お前、少し有名だからって調子乗ってんなよ。」
そう言われた気がしたが気にせずに買ったお菓子を持って公園へと向かった。
「あの先輩、喧嘩っ早いらしいよ。」
友達が言うには、問題児らしく。不良の友達がいるとか言いふらしているらしい。
実際にいるかは、わかっていないからしいが。
「一樹が手を出せないのもきっと知ってて手を出してくるかもしれない。気をつけたほうがいいよ。」
友達の心配は、そこだったらしい。
だが別に何も気にしてなどいなかった。
殴られているのは、慣れてるし。
素人の攻撃で大きなダメージを受けるとは、思ってもいなかったからだ。
だが、思いもよらぬ事件が起こってしまった。
「おい、また会ったな。」
上級生たちは、数人で囲むと友達を人質にして脅してきたのだ。
「殴らせろ。動いたらこいつもボコボコにするからな。」
石島一樹は、その言葉通り動くことなく耐え続けた。
いつの間にか周りに人だかりができていたが誰も止めようとしなかった。
「つまんないからこいつもやっちまおうぜ。」
その一言に石島一樹は、動いた。
殴られようとしている友人を守るために手が出てしまったのだ。
絶対に手は出さないと決めていたが友達を守りたいと言う意思の方が強く働いてしまった。
友達に怪我はなかったが周りからは、冷たい目で見られるようになってしまった。
「格闘技習ってるのに手を出したらしい。」
何も知らない人は、そう言って石島一樹から離れていったがそうでもない人もいた。
だが彼は、何かを失ってしまい。それから格闘技をする事が無くなってしまった。
それから時が経ち、目の前に数人から暴力を受けている少年が彼の目の前にいた。