二話 菅原恭介 妹と幼馴染と親友と
電車に乗ってから気配や視線など全く感じなくなっていた。
やはり気のせいだったのだろう。
恭介は、そう思うことで心を落ち着かせていた。
目的地に着くまでの間は、景色を眺めているだけで特にすることもなかった。
電車に乗ることがあまりないためか座ることもためらってしまう。
目的地に着いてから親友が指定していた待ち合わせ場所へと向かう。
駅から出てすぐの場所にあるので迷うことは、ない。
「おいっす。恭弥。」
俺は、携帯を見ている恭弥に話しかけた。
しかし辺りを見渡しても恭弥一人しかいないが先に帰ったのか。
「お連れさんは、どちらですか。」
俺は、もう一度辺りを見渡しながら訊いた。
「お手洗いにいったよ。そろそろ戻ってくんじゃないか。」
地下街へと続く階段を見ながら恭弥がいった。
するとタイミングよく見覚えのある人物が歩いてくる。
久々の再会ってわけでもないのに満面の笑みでこちらに向かってきている。
「美穂。どうしてお前がここに。」
驚きだけだった。
親友の初恋の人と言うのできたのだがまさか相手が幼馴染の西野美穂だとは・・・。
「おいっす。そんなに久し振りじゃないけど。」
と、軽く挨拶をかわし近くの喫茶店へと移動した。
「恭弥。そ言うことな。」
俺は、恭弥と美穂を隣同士に座らせてすこし笑みがこぼれた。
「何笑ってんだよ。」
少し顔を赤くしながら恭弥は、メニューを見始める。
「そうそう、真希ちゃん。お盆にだした宿題ちゃんとやってるのかな。」
ふと思い出したかのように妹の話をふられた。
ここ最近、美穂に宿題を出されたって言うので勉強時間を増やしたっていってたか。
「そうか。家庭教師のせいで妹があんなことに。」
俺は、少しばかり大袈裟に言うと恭弥も美穂も心配そうな顔をしていた。
「おいおい。その家庭教師とやらに説教しないかんな。どこのもんだ。」
兄貴肌を見せるが我が家の家庭教師は、隣にいる。
そう言えば恭弥には、言ってないか。俺も夏休み入ってから知ったしな。
俺は、美穂を指差して言った。
「俺も最近知ったんだが妹の奴、美穂に家庭教師してくれるように頼み込んだらしい。」
恭弥は、驚いた顔をしていた。
「お前が人に教える立場かよ。」
そう言いながらも内心は、教わりたいとか思ってるんだろうなと思いながら二人の会話を聞いていた。
「なんだ。別に俺がいなくてもよかった系じゃね。」
そう思いながら俺は、食べにくいで有名なサンドイッチにかぶりついていた。
その後、喫茶店を出た俺たちは、久し振りだし少しぶらぶらしてこうぜって話になった。
「ゲーセンとか久し振りだな。」
俺らもそこまでゲーセンになどきていないのに勉強熱心な美穂がよく来てるとも思えない。
「最近流行ってるスマホアプリのゲームがあるんだってね。」
美穂は、ゲーセン内をうろうろしながらそのゲームを探していた。
「知ってるか。恭弥。」
「さあ、まずスマホですらないしな。恭介は、スマホだろ。」
俺は、スマホの画面を照らし再びポケットに入れた。
「連絡取る以外に使ってないな。」
二人して世間に疎いなと思いながら歩いているとどうやら美穂がそのゲームをみつけたらしい。
「パズルゲームか。」
俺と恭弥は、一緒にそう言って席に座ろうとした。
すると、目の前から俺らの知っている人物がそのゲームの席から立ったのだ。
「え・・・。恭介くん。」
言ったのは、俺の名前だけだった。
「あっ、みづきちゃん。どうしたの。」
後ろにいた美穂がそう言って目の前の女の子に駆け寄っていった。