一話 三宅康太 初恋
授業終わりのチャイムがなる。
二年生になり俺もそれなりに中学校生活にもなれてきていた。
「北野と三宅。ちょっと手伝ってくれ。」
担当の先生が日直である俺と北野を呼んでノートを職員室へと運ぶ手伝いを指示された。
「なあ、こんな時に悪いんだけどさ。」
隣のクラスから同じ部活の男の子が俺を呼びにきたのだ。
「あ、先生。そう言えば今日部活の呼び出しがありました。大会もうすぐなんで。」
俺は、先生にそう言うと仕方ないと一言いい近くにいた男子生徒へと声をかけていた。
「俺、行きます。すいません。」
その一言だけ言って教室から廊下へとでた。
授業が終わり皆それぞれ別の作業をしている。
勉強するものもいれば残って遊ぶものも。
下駄箱まで行くと女の子達が集まって何かをしていた
その中にクラスメートの女の子がいたのだがこの時の何をしているかすら気にもならなかった。
部室に着くと他の部員、顧問の先生がいた。
どうやら俺らのクラスが一番遅くに終わったらしい。
次の大会への打ち合わせが終わり練習を開始するぐらいの頃だった。
下駄箱から出てくる北野と菅原の姿が見えた。
だが、その様子が少し変だったのを覚えている。
なんせそのことが引っ掛て練習に集中できなかったぐらいだからだ。
翌朝、またも女の子達が集まって何かをしていた。
俺は、何をしているのかと見ていたら女の子達は、何事もなかったかのようにその場を去って行った。
「一体なんだったんだろうか。」
俺は、そう思いながら教室へと向かった。
教室へ入ると窓側一番後ろの席へと向かう。
隣の席にでは、すでに学校についていた北野が読書をしていた。
「おはよ。昨日は、ごめん。」
いつも通り挨拶した後に前日のことについて謝っておいた。
「大丈夫だよ。菅原君が手伝ってくれたから。でも・・・。」
そのあと何かを言いかけていたのだがクラスの女の子に呼ばれていってしまった。
しかし可愛い。
俺は、無意識に彼女を見つめていた。
「・・・。」
「またぼーっとしてんぜ。」
クラスメートの一ノ瀬恭弥がそこに立っていた。
「 よっ。恭介は、一緒じゃないのか。」
俺は、いつも二人いるので気になって問いかけた。
菅原恭介には、昨日の貸しもあったしその礼もしたかったのだが・・・。
そして恭弥は、口を開いた。
だが、その答えは、思いもよらぬものだったのだ。
「それが昨日、大変なことがあってな。」