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魔法世界の剣術士 上  作者: 相會応
Can I come back to your side?
211/211

7

 左手の爪を一撃で失ったガルムは、二刀の剣を振りかざす誠次(せいじ)へ、車の上を獣のように飛び回り、立体的な動きで襲いかかる。


「けほっ、けほっ。上です!」


 煙を吸って咳き込むクリシュティナの指示の元、誠次は片方のレヴァテインを地面に突き刺したまま、もう片方のレヴァテインを両手で握る。


『それでは、手数を増やした意味がないな』

「手数を増やしても、ダメージにならないなら意味が無い。お前の装甲はレヴァテインの力をもってしても頑丈だ。確実に切り裂かなくては」


 ぽたぽたと鼻先と顎から血を滴らせ、誠次は返答する。ルーナの付加魔法に切り替えた途端に流血は再開していた。


『俺を捉えきれるか?』

「やってやる」


 後方から飛び掛かって来たガルムの一撃を、誠次は地面を転がりながら回避する。立ち上がり様にレヴァテインを投げつけ、ガルムの背を追うようにルーナのエンチャントを使う。


「まだだ……!」


 地面に突き刺していたレヴァテインを引き抜き、今度は自らもガルムの元へ。

 車を蹴ったガルムが、背後から迫るレヴァテインを回避したところへ、誠次が接近。両手で持ったレヴァテインを振り抜き、ガルムの足場であった車を切り裂いた。


『そのダメージでその動きとは……だが、それが隙だ!』

「甘い!」


 こちらの攻撃を回避したと思い込んだガルムであったが、ルーナのエンチャントを受けて飛んできたレヴァテインを、誠次は片目だけの視界でも掴み寄せる。そのまま持ち上げ、頭上から迫るガルムの一撃を、交差させた二つのレヴァテインで防ぎきる。


「今の俺に隙などない」


 まるでハサミを使うように、交差させた二つのレヴァテインを手元で振り払う。左右からの魔法の剣を、ガルムの右手の爪が受けきれることはなかった。


『ぐっ!?』


 あっという間に吹き飛んだ右手の爪を確認し、ガルムは再び誠次から距離を取る。

 誠次もまた、再び片方のレヴァテインを地面に突き刺し、もう片方のレヴァテインを両手で握る構えを見せる。


「やはり俺は、二刀流よりこっちらしいな」


 エンチャント中の合体状態よりはさらに軽くなり、振るい易いものだ。

 誠次は感触を確かめるように、レヴァテインを軽く手元で回転させる。


『なぜ酸素も無いのに……そうも動けるんだ……!? くそっ!』

「クリシュティナの付加魔法能力のお陰だ。クリシュティナの能力に切り替えている間は、俺の身体は魔素マナと同化する」

『……馬鹿げているな』


 両爪を失ったガルムだが、まだ諦めてはいないようだ。腕の端末を操作し、光学迷彩を使用する。バチバチと言う音と共に、再びガルムの姿が見えなくなっていく。


「これ以上水を流しても、王の通り道は崩れる……」


 誠次は周囲を見渡し、呟く。灼熱の中にいるクリシュティナの容態も気がかりであった。


「ここで対処するしかない」


 歩み寄り、地面に突き刺していたレヴァテインに左手を添え、ならばと誠次は残された左目をそっと瞑る。

 暗闇の世界の中、地面に突き刺した左手のレヴァテインが伝えてくる振動を頼りに、ガルムの動きをどうにか読もうとする。それが本当に上手くいくのかどうか、それはやってみなければ分からなかった。


「クリシュティナ……俺に力を……」

 

 クリシュティナの付加魔法能力へと切り替え、琥珀色の魔素マナの輝きへと、色は変化する。

 血流が激しさを増し、全身の至るところから尋常では無い量の血が流れていく。誠次の足元には水ではなく、赤い血の溜まりが出来始めていた。そして、誠次の血を吸うように地面に突き刺さったレヴァテインは、琥珀色の光を今一度、強くする。


「セイジ……。貴方はここで倒れるべき人ではありません……」

  

 不気味なほどに静かになった、真夜中の王の通り道(キングス・ミッドナイト・トンネル)の中で、クリシュティナが誠次の背中にそっと手を添える。耳障りなものはなくなり、聞こえるのは自分とクリシュティナの呼吸の音だけ。蘇った心臓が、どくんどくんと、鼓動を刻んでいる。

 ピクリと、血や(すす)で汚れた眉間が動く。


「……安らかに眠れ、ガルム。お前だって疲れたから、もう眠りたいだろ……?」


 身体に張り付くようになっていた赤いマフラーが、微かに風に(なび)いた――。

 浮かんだのは、身体の前方へ。風の発生源、ガルムは、後方にいる。

 確信した誠次は、地面に突き刺したレヴァテインから左手をそっと離し、そのまま右手で握ったレヴァテインへ左手を添える。振り向き様に放った一閃は、琥珀色の閃光を放ち、確かな感触を誠次の両腕に伝えた。

 目を開けば、倒れ込んでくる黒い獣の姿があった。誠次が振り抜いたレヴァテインの斬撃(ざんげき)は、ガルムの腹部を横一閃に切り裂いていた。


『そう、か。最後の最後で、俺の動きが、分かった、のか……?』


 切り裂かれた黒い装甲のまま、ガルムは誠次の元へ倒れ込む。


「ああ。……教えてくれた」


 誠次はぐったりと重たいガルムを抱き支え、日本語の言葉を返す。


『呆気、ないな……。俺の、負け、か……。この炎で、仲間は撤退したようだ……』

「装甲を外せ。お前を助ける」

『っ。無理だ。俺はもう、どちらにせよ……』

「それはお前が決める事じゃない」


 誠次はレヴァテインを合わせ、合体させる。琥珀色の光が消え失せ、誠次の身体からも魔素(マナ)の光が消える。


「この音は……!?」


 クリシュティナが頭上を見る。

 紅蓮の炎が輝くトンネル中心部の方より、今までに無い、地震に似た大きな震動がやって来る。


「崩落を開始したようだ……。真夜中の王の通り道キングス・ミッドナイト・トンネルが、崩れる……」

「誠次くんっ! クリシュティナちゃん!」

「無事か!?」


 百合とルーナが、走って駆け寄って来る。

 誠次は相変わらず右目を開けられず、百合とルーナの方を見つめる。


「百合さん……お願いです……。彼に、一之瀬隼人(いちのせはやと)さんに治癒魔法を!」

「分かったわ……。でも急がないと!」


 言いながら百合は、治癒魔法を発動し、腹部から血を流す一之瀬隼人(いちのせはやと)へと向ける。

 すでに血色を失っている誠次は、両手でレヴァテインを持ち上げ、ガルムの装甲を無理矢理にでもこじ開け始める。


『無駄だ……俺はもういい……』

「ふざけるな! 勝手に暴動を起こして、勝手に死んでいくなんてそうはさせない!」


 レヴァテインを差し込み、力任せに押し広げ、青年の身体に纏わりついている装甲を剥がしていく。その度に、誠次の足元には血の溜まりが出来上がっていく。


「クリシィ、立てるか?」

「平気です……。どうして同じ日本人が、このようなことを……?」


 クリシュティナが青冷めた表情で、顔を出した一之瀬を見つめる。

 口端に血を滲ませ、苦しそうな呼吸のまま一之瀬は、静かに語り出した。


「初めてこの国に来たとき……現実を知った。迫害されている魔法が使えない人たちを見て、それを笑う人たち……。この国ではそれが普通だ。お前の国だってそうだろう? ……そう言われた時の恐ろしさは、今も覚えている。もしかしたら、日本も、俺が育った国だってそうなっていたかもしれない……。そうなる前に、誰かが手を打たなきゃ、ならなかった……」

「あなたがそれをする必要なんて、どこにも……!」

「ない、か……? 剣術士。それじゃあ魔法が使えないと言われているお前が、無理に戦う必要なんて無かったんじゃないのか……?」

「あります! 命を懸けても守りたいものが、俺には!」

「そうか……。ただ者じゃなくて、よかったよ」


 誠次の叫びを聞き、一之瀬は微笑んでいた。


「一ノ瀬隼人さん……。日本で、南野さんが待っています。貴方の帰りを待っている人がちゃんといるんです!」


 一ノ瀬は憂いを帯びた表情で、クリシュティナを見つめる。


「やはり、君は千枝ちえと一緒にいた女の子だったのか。……君が来なければ、俺は剣術士に勝っていたのに……」

「南野さんは……ただ貴方に会いたがっているのに……。私は命を懸けても、誠次を守りに来ました」

「だったら……俺にもあったんだ……。お前と同じ、命を懸けても守りたかったものが……」


 自分を倒した者たちが、やはりただ者ではない事を知れた一之瀬は、首を軽く動かす。こじ開けられた胸元にあったのは、銀色のペンダントだった。

 それをじっと見つめた誠次は、虚しく首を横に振る。


「互いの信念は同じだったはずなのに……」


 一ノ瀬の紫色の目と、誠次の黒い目が交錯する。


「どうして、貴方のような男の子がそんなスーツを?」


 治癒魔法を施していた百合が、レヴァテインによって分解され、地面に置かれた獣の抜け殻を見つめて尋ねる。

 一ノ瀬はクリシュティナをじっと見つめた後、観念したように話しだす。


「数日前、キルケー魔法大学の寮の俺の部屋に、手紙が届いた。それには暴動を起こす詳細と、当日の動きが詳しく書かれていた。こう言うのは何だが、時間もすべてが完璧な綿密に練られた計画だったよ……。そして、今回の暴徒の量……。とてもマンハッタンやブルックリンだけの量じゃない……。それでも暴徒は集結した」

「裏で糸を引いている存在があった……」


 誠次の言葉に、一ノ瀬は頷く。


「こんな大規模な扇動せんどうが出来る人など、限られているはずだ……。大勢の人の心を掌握し、それも、旧米軍が開発した秘密兵器までをも持ち出せた……」


 トンネル内の揺れが、激しさを増していく。

 これ以上この場に留まっているのは危険だと百合は、鍵が刺さりっぱなしであった棄てられた自家用車へ、一ノ瀬の肩を掴んで運んでやる。


「このまま死ぬ気のはずだった……。俺でも、世界を変えられると思った……」

「そうして変わる世界を自分の目でちゃんと見ないと、命を懸ける意味もないんじゃないか?」


 激闘の代償として、開かなくなった右目を瞑ったまま、誠次は後部座席に運ばれる一ノ瀬に語りかける。

 一ノ瀬は誠次の左目を見つめ、やがて観念したように項垂れる。


「お前は、不思議だ。魔法が使えず、魔法も効かない孤独の存在、剣術士。それでも、この魔法世界で必死に生き抜こうとしている」

「父と母に貰った命を、そう易々と投げ出したり粗末には出来ないから。俺もこの魔法世界でやれることをやっているんです。剣術士として」


 誠次はクリシュティナとルーナを車に乗せてやり、自らは追従する為に車外に出る。


「乗らないの誠次くん?」

 

 運転席に座り、窓から顔を出した百合が訊く。


「まだ、やらないといけないことがあります」

「もう十分戦ったわ。これ以上何を?」

「王が待っています――」


          ※


「マンハッタン各地で起きた暴動は、収束へと向かっています。やはり連中も、゛捕食者(イーター)゛の前では我々魔術師に頼らざるを得ませんから。……全く、恩知らずの痴れ者どもめが」


 マンハッタンのビルを橙色に染め上げる紅蓮の太陽が、ブルックリンの彼方へと沈もうとしている。

 国際魔法教会本部入り口前の道路に立つヴァレエフ・アレクサンドルは、幹部の言葉に耳を傾けても、顔色一つ変えることはなかった。真夜中の王の通り道(キングス・ミッドナイト・トンネル)の出入口を静かに睨み、番人の守戦の結果を待つ。

 周囲には大勢の幹部たちが整列しており、ただただ、王の通り道を通過して来る者の姿を待っていた。


「米国政府も重い腰を上げたようだな」


 上空を飛び回る無数の軍事ヘリコプターから降り注ぐライト。機体からは暴徒たちへ向け、米政府から勧告がされていた。

 暴徒たちはとうとう、キルケー魔法大学と国際魔法教会本部まで到達することはなかった。

 規模こそ強大であったが、所詮は烏合の衆。圧倒的な魔法の力を前では、多数の死傷者を出すだけに終わった。

 残りは東。ブルックリン方面だけ。


「来るのは、どちらか……」


 激闘の後の虚しい空風を全身で感じ、身体の前へ出した杖を、しわの寄った両手で握りしめる。


「――空間魔法の反応は……四人です!」


 索敵用の魔法を展開していた幹部が叫び、全員が破壊魔法の魔法式を展開し、身構えていく。無数の破壊魔法の魔法式の輝きは、たった二人に対して、圧倒的すぎる光景であったが、見せしめでもあった。

 これで国際魔法教会に対する批難の声や動きが出たとしても、今後も国際魔法教会は、ヴァレエフの意思と共に王道を往く。


「――黙視できた……が、一人!? いや、空間魔法で察知できなかったのか!?」


 ヴァレエフが瞬きをした先。戦闘が行われていたとは思えないほどの静けさを漂わせていた、王の通り道の出入口から出てきたのは、連結させたレヴァテイン・ウルを抱いた誠次だった。


「……勝ったか」


 呆気にとられる周囲の幹部たちの視線を背に、ヴァレエフが誠次に近づく。

 危険です、と誰かが声を上げたが、ヴァレエフは気にはしなかった。

 レヴァテイン・(ウル)を片手に、天瀬誠次はヴァレエフの前に生還を果たした。


「魔法武装を解いてください。戦いは、終わりました」

「よくやってくれた、剣術士」


 誠次はようやく、安堵するような吐息をする。しかし開いている左目は、力強くヴァレエフを見つめてくる。


「みんなで、日本へ帰ります……。俺たちの居場所は、そこですから……」

「ああ。道は違えど、目指すべき場所は同じ。その終着点で、再び会おう」

「はい。後ろから来る゛四人゛もそれぞれ、帰るべき場所があります」

「四人? 王の通り道へと向かったのは、君を除いて三人だったはずだが」

「もう一人います……。ただの、一般市民が――」

 

            ※


 激戦が終わりを迎え、一夜明けたマンハッタンに漂うのは、火薬と硝煙の臭い。瓦礫まみれの道路を歩くのは、魔法で武装するアメリカ政府軍だった。


「……おかしい」


 ウォール街にしゃがみ、付近の損害状況を調査していた兵士が、顎に手を添えている。


「どうした?」

「死体の数だ。国際魔法教会ニブルヘイムの報告では、ここでも相当数の暴徒を始末した、とあるが……」

「夜のうちに゛捕食者イーター゛に喰われたんだろう」

「……そう言う事かな。しかしやつら、まるで掃除人だ。血の痕も残さず、器用に人間だけを喰っていきやがって」


 国際魔法教会の幹部たちが用いた魔法が、即死系のものばかりだったのだろうか。呟いた男性兵士の頭上を、未だ昇りつめる白煙を切り裂く羽を持ったヘリコプターが駆け抜けていく。

 【突如としてマンハッタン全土で発生した暴動。国際魔法教会ニブルヘイムの魔術師たちが全力で市民を守り、暴動は一日のうちに鎮圧された】

 報道の大方の筋書きは、国際魔法教会の魔術師たちが市民を守り抜くために勇敢に戦った、との事。暴動の原因こそ長年の差別意識によるものだという声はあるが、それらは少数で、世論は国際魔法教会の味方についた。


「そう言えば聞いたか?」

「なんだ?」

「あくまで軍内部で出回っている噂だが、真夜中の王の通り道キングス・ミッドナイト・トンネルで、たった一人の子供が大多数の暴徒を食い止めたらしい。その時の戦闘が原因で、トンネルが崩落したんだと」

「あれはブルックリンから来る暴徒を止めるために、政府がわざと魔法で潰したんだろ。たった一人でなんてありえない」

「まあそうだよな。俺ならちびって逃げちまうぜ」

 

 蒸かし終えた煙草を捨て、兵士たちは歩いていく。魔法で持ち上げられた瓦礫がトラックへ運ばれ、片付けられていく。銃火器で荒らされた激戦の街は、魔法の力で以って、数日のうちに完全復旧する見通しだ。

 水中に崩落した、真夜中の王の通り道キングス・ミッドナイト・トンネルを除いて。


 キルケー魔法大学は、暴徒たちの激しい攻撃に曝されながらも、奇跡的に生徒側の死者を出さなかった地域だ。


「ありがとう、日本人……」


 最後まで人を守る為、治癒魔法を施し続けていた桐野千里きりのせんりたちの周りには、大勢の人だかりが出来ていた。

 セントラルパークの中には、一夜明けた今でも大勢の負傷者が運ばれていた。彼らの治療を手伝っていた、桐野を含めた一部の学生たちは、もっぱら英雄のような扱いを受けていた。


「ご両親とは連絡を取れましたか、沢田さわださん?」


 シャワーを浴びる事も出来ず、汗ばんだ顔と髪のままであったが、綺麗な顔立ちのままの桐野は、同じく地獄のような一日を乗り越えた友だちに声を掛ける。軍の治癒魔術師たちがようやく来てくれたので、自分たち学生の戦いは終わりだ。


「うん……。日本は朝から特番ニュースになってて、両親からものすごく心配されちゃった……」

「私も父親と母親に連絡をしておかないと……」


 桐野が充電池が切れかかっている電子タブレットを取り出していると、二人の元へ近づいて来る人がいた。


「すいません私、マンハッタンタイムズの記者です。戦場の中で治癒魔法をし続けた心優しい魔術師について、取材を受けて下さらないでしょうか?」

 

 返答を待つ間もなく、フラッシュがかれ、キルケー魔法大学の日本人魔術師の活躍は多くの人に知れ渡る事になる。


「私たちの事を記事にするのは良いですけど、私たち以外にも、人を守ろうと懸命に戦った日本人がいたことを、覚えていてください――」


「編集長、取材してきた日本人の女の子の学生なんですけれど、なんだか興味深い事を言っていました」


 角が崩れてはいるが、その機能を維持しているマンハッタンタイムズの本部は、この地元の地で起きた暴動の生地をアメリカ全土に送ろうと、ここぞとばかりに躍起になっていた。

 桐野と沢田への取材を終えた女性記者が、編集長席に座り、ドーナツとコーヒーを頬張るトップに資料を差し出す。

 

真夜中の王の通り道キングス・ミッドナイト・トンネルで剣術士と呼ばれる男の子が、暴徒を食い止めたって話です。本当なら、凄い事ですよ! まさに英雄ヒーローです!」

「ああ、それは駄目だ」


 口をもぐもぐと動かしながら髭をかき、編集長は資料をそっとどける。


「え、どうしてでしょうか?」

真夜中の王の通り道キングス・ミッドナイト・トンネルで起きたことは、政府がトンネルを崩落させ、暴徒を食い止めたとだけ記事にするようにとの上から通達があった。目撃者もいないし、確証も裏撮りもないからな。憶測でものは語れんだろう。ましてや、英雄譚などな……」


 少しだけもの悲しさを漂わせ、編集長は言う。


「人間同士の争いにどちらかを勝利に導くような英雄(ヒーロー)が生まれてはならない。忌むべき歴史に、花を添えてはならないというやつだよ。キルケー魔法大学の日本人治癒魔術師の記事だけ、抜粋するぞ」

「……はい」 


 納得は出来ない面持ちであったが、記者も桐野の証言だけでは確証は得られず、何より上司の命令には従わなければならなかった。

 重苦しい空気から逃れるために、ふと見上げた窓の外の青空には、一機の飛行機が飛んでいた。


           ※


 ――これから先、この魔法世界がどうなるかは分からない。゛捕食者イーター゛は大人しく夜の世界に佇み、人間は与えられた朝昼の時を過ごす。その均衡は、いつ崩れるか分からない。

 年老いた人は死に、いつかは魔術師のみの世界となる。その時、未来の世界は今より良くなっているのだろうか。未来の世界がこうなっていると言った確証など、持てはしない。

 何一つとして約束されてはいない不確定なこの魔法世界の今を、それでも人は懸命に生きている。誰にだって、進んだ先にたどり着く場所、進んだ先に帰る場所があるのだから。

 そんな今を守るために、おれはこれからも、剣を振るう――。

 読んでいたとある本をぱたりと閉じ、誠次は国際線航空機内の機内から、窓の外へ広がる雲海を見つめる。午前中にホノルルの空港を出発し、今は日本へ帰るフライトの途中だ。

 真夜中の王の通り道キングス・ミッドナイト・トンネルの戦いから二日。頬杖を付いて窓の外を眺め、誠次は゛右目の上゛をそっと触る。


「あ、触ってしまっては駄目です」


 目の前の席に座り、クリシュティナが綿棒を片手にこちらの行為をとがめる。


「でもこれ、違和感が凄いんだ……」

 

 右目に付けられた白い眼帯から手を放し、誠次は眉を困ったように寄せる。


「ばい菌に感染しないようにしないといけませんから、我慢してください」

「……分かった」


 まさか新学期をこの眼帯姿で迎える事になるとは。日本へと続く果てない青い空を眺め、しかし誠次は戻れる喜びを実感していた。

 ――ちゃんとみんなで、仲間のいるところへ。


「ありがとうございます誠次。私とルーナの為に、アメリカへ共に来てくださって……」

「俺こそ、魔法の力を貸してくれて、ありがとうクリシュティナ」

「お力になれて、光栄です……。もう私は、迷わずに貴方の元にいますから」


 クリシュティナがにこりと微笑み、首を傾ける。昇った朝日に負けず劣らずの眩しい笑顔を守れたことに、確かな達成感を感じた。

  

「王の通り道にクリシュティナが来てくれた時、本当に嬉しかったんだ。クリシュティナの事も、ちゃんと守るよ」

「私も、必ず……」

「――先生も頑張ったんだし、もうちょっと褒めて欲しいかなー?」

「わ、私だって、クリシィの為にも頑張ったんだぞ!?」


 席を外していた百合とルーナが、それぞれ隣の席に着席しながら、言ってくる。


「はい。百合先生も」

「ルーナも」

「違ったわね? 皆で力を合わせて、成し遂げたのよね?」

「……まあ、そうですね」


 ルーナとクリシュティナの自由を掴み取り、こうして無事に帰る事が出来て、四人は晴れやかな表情で笑い合う。


「あ、そうだったわ誠次くん。出発の時、国際魔法教会の人が貴方の電子タブレットにメッセージを残したそうよ。なんでも、一人で見て欲しいって、メッセージを入れた人が言ったらしくって」


 窓際の席に腰掛ける誠次へ、百合が思い出したように言う。激戦を終えて疲れ果てたまま一夜明けた昨日は、マンハッタン行きホノルル着の航空機にも乗り遅れそうになってしまい、お互いに余裕がなかった。日本へ帰る日をずらせば良いのかもしれないが、誠次もルーナもクリシュティナも百合も、一刻も早く日本へ帰りたいほど、ホームシックを起こしてしまっていた。


「メッセージ? 分かりました。席を外します」


 白い眼帯を右目に、誠次はおよそ半日ぶりに立ち上がり、隣の個室へ。

 起動した電子タブレットの動画ファイルには、ヴィザリウス魔法学園で作ったくだらなくも楽しい思い出の動画の中に、タイトル未設定のものが一つ、紛れ込んでいた。

 誠次がそれを起動すると、浮かび上がったホログラム映像には、優しそうな顔立ちをした青年が、ベッドの上に座り、こちらを見つめていた。


               ※


「ありがとう、天瀬誠次(あませせいじ)。まずはそれを伝えたい……」


 番犬ガルムとなり、この世界に残された魔法が使えない人の為に戦っていた日本人、一之瀬隼人いちのせはやとは、用意されたカメラの前に語り掛ける。

 ここは国際魔法教会本部の病室。

 そう。かつて自分が武力で占拠しようとした、魔術師たちの城である。


「俺はあの後、国際魔法教会に保護された。対人秘密兵器だったガルムの存在は合衆国政府も秘匿にしておきたかったらしく、俺はキルケー魔法大学から除籍処分されただけに終わった。表向きの理由も、成績不振と言うことにさせられた」


 一之瀬は時より、自分の肌色の手のひらを見つめながら、話を続けた。


「……俺がやったことは、今でも全てが間違っていたとは、まだ思えない。今も魔法が使えない人は世界中にいて、差別は起きている。その火種が日本に来るのも時間の問題で、警告したかった。……俺の命に代えても」


 でも、と一之瀬は、憂いを帯びた表情で、軽く肩を竦める。窓から差し込む朝日は、何処にいても変わらずに人を照らしてくれる。


「人には夜を失った今でも、まだ居場所がある。それを壊すのは、俺がやっちゃいけない事だった。君が言った通り、俺にも帰るべき居場所があったんだろうし、他人のそれを壊すなんて、傲慢だったとは思う」


 しばしの間を置き、下唇を口の中で湿らせた一之瀬は、ひとりでに頷いていた。


「例えこの魔法世界に待つ未来が、地獄だったとしてもそれはそれで、人が進んだ結果だ。……ただ、魔術師おれたちには人を守るだけの力があって、そうしていかなくちゃいけないと思うんだ。……剣術士きみもきっと、そうなんだろう?」


 カメラレンズの奥を見つめ、一ノ瀬はこのメッセージの届け先である少年が最後に見せてくれた、優しい表情を思い出す。


「壊すんじゃなく、守る。それに気づかせてくれたのは他でもない、君だったんだ。ありがとう」


 一之瀬は少し照れ臭そうに、ぎこちなく微笑んでいた。


「日本に帰るんだろう? 俺もなんだ。君のお陰だ。もし会うようなことがあったら、飯でも奢らせてくれ。一応こんな俺でも、ヴィザリウス魔法学園の生徒だったんだ」


 一ノ瀬のメッセージはここで終わりを迎える。カメラの電源を国際魔法教会幹部の青年が切り、「もういいのか?」と確認をしてくる。

 一ノ瀬は頷いた。


「……ありがとう。俺の正体を知っても尚、このメッセージの作成に協力してくれて。正直、国際魔法教会ニブルヘイムの魔術師は何と言うか、みんな排他的な考えの人ばかりだと思っていたけれど、貴方は違うようだ」

 

 銀髪で赤い瞳の青年は、一ノ瀬とは逆に朝日を恨みがましそうに睨んではいた。


「変わらない。……ただ、借りを返したかっただけだ。自分でも気持ちの悪い真似だとは思うが、やらなければ気が済まないんだ」

「お人好しって事にしておくよ」

「……」


 何かを言い返しかけた青年――ミハイル・ラン・ヴェーチェルは、ヴァレエフに言われた通り、あくまで一般人として一ノ瀬と接していた。


「――ミハイル様、お時間です」

「分かった」


 部屋の外から、数名の国際魔法教会本部職人たちが入ってくる。


「やはり、俺は処刑されるのか?」


 その覚悟は出来ている、と一之瀬は、ミハイルをじっと見つめるが。


「王と剣術士の意思により、処刑はされない。本国へ強制送還する」

「……そうか。……ありがとう」


 背を向けたミハイルに一之瀬は頭を下げ続ける。

 死ぬ覚悟とは言え、実際には自分の手先は震えを感じてしまっている。その程度でしかなかったのかと愕然とする一方で、生きたいと人が願う当然の本能なのだろうとも、実感する。それはきっと、真夜中の王の通り道(キングス・ミッドナイト・トンネル)で自分の前に立ち塞がった少年も、同じ思いだったのかもしれない。


          ※ 


 都内の街路樹である桜の花びらが咲き誇り、風に揺られて花びらを散らす。味気のなかった灰色の道路に、ピンク色の絨毯が敷かれていくようだ。

 その上を歩く、銀髪の少女と黒髪の少女がいた。この春から高校二年生となる、ヴィザリウス魔法学園の魔法生だった。


「暖かくなってきたし、やっぱ綺麗ーっ。苗字も桜だし、テンション上がっちゃうな」

「だとすれば、私は夜になればいつも空で輝いているわよ」

「そっか。こうちゃんは年中だね」


 桜庭莉緒さくらばりお香月詩音こうづきしおん。桜の花びらの中、二人の少女は微笑み合い、春休み最後の日である今日を過ごすアルバイト先へ向かう。


「あの大きな桜の木の下で、捨てられてしまっていた犬を拾ったの」


 ふと立ち止まった香月が、少しだけ寂しそうに呟く。

 街路樹の中でもひときわ大きく、また満開の花びらを咲かせた桜の木の下を、優しい紫色の瞳で見つめていた。


「そうなんだね……。わんちゃん、元気に暮らしてくれていると良いけど」


 桜庭も緑色の目を瞬きさせ、優しく微笑んでいた。


「あの二人の所だったら、おそらく大丈夫そうよ……」

「――参ったな……」


 舞い散る桜の花びらに誘われるように、後ろで聞こえた困り声に、香月と桜庭は同時に振り向く。

 車椅子に座る青年が、車輪に絡まった桜の落ち枝に難儀しているところであった。

 香月と桜庭は頷き合い、青年の元へ。


「あの、良かったらお手伝いします!」


 桜庭が声を掛けると、青年は少しだけ驚いたようだったが、すぐに「ありがとう」と言って上半身を起こす。

 車輪に挟まった枝は、すぐに抜き取ることが出来た。


「助かったよ。まだこれに乗ったばかりで、上手く扱えなくてさ……」

「足の具合が悪いんですか?」

「ああ。ちょっとドジをしてね。……これはその代償」


 青年の口調は重たく、早々治るものではないのだろう。


「駅に向かうんでしたら、お手伝いします。私たちもそちら方面に行くので」


 香月が青年の後ろへ立ち、車椅子のグリップにそっと手を掛ける。これではもう、断るに断れないだろう。


「ははは。これじゃあ男なのに、格好つけて大丈夫です、なんて言えそうにないな」

「意地を張って大丈夫です、なんて言いそうな男の子が私の近くにいるので。こう言うのはなんですけど、扱いには慣れているんです」


 両手でグリップを掴む香月は微笑む。


「その子と君たちに感謝しないとな。ありがとう。行きたいのは駅前の喫茶店なんだ。確か、゛クー・オリメン゛、って名前の店だったかな……」


 偶然にもそこは、香月と桜庭が働いているアルバイト先の店だった。

 これには香月も桜庭も、あっと驚いて顔を見合わせる。


「偶然ですね! あたしたち、そこでバイトしてるんです!」


 桜の花びらに隠れている車椅子の障害になりそうな物をかわすために、前を歩いて香月と青年を先導する桜庭が言う。


「驚いたな。こんな偶然があるなんて」


 青年も紫色の目を大きく開けていたが、その表情はどこか淡白で、どこか喜怒哀楽を失っているようにも見えた。まるで、長く険しい旅を終えて疲れ果て、すぐにでも安らかな場所で眠りに着きたがっているようだ。

 青年のそんな表情にどこか既視感を抱きながら、香月は黙々と車椅子を押していく。

 横断歩道を渡ればお店は目の前だ。赤信号を待っていると、青年は桜庭と香月とを、交互に見つめてから口を開く。


「ここまででいいよ。ありがとう」

「えっ、お店目の前ですよ?」


 桜庭が戸惑っているが、青年は落ち着き払い、頷いている。


「良いんだ。……変な奴だって思ったかい?」

「い、いえそんな事はっ」


 桜庭が慌てて両手を振っている。

 

「大丈夫。君も、ありがとう」


 振り向いて香月を見上げ、青年は軽く頭を下げる。

 香月は無表情のまま、車椅子のグリップから手を離していた。

 青年は歩いていく二人の背を見送り、紫色の視線を店の中へ。ガラス張りの窓の向こうでは、今日もバイトに勤しんでいる一人の女子大生の姿があった。


「――あの人は、ずっと待っています。いつか帰ってきてくれるはずの、大切な人の事を……」


 不意に、振り向いていた香月がぼそりと声を掛けていた。

 くたびれた表情をしていた青年は、はっとなって顔を上げる。


「どうして……」

「ペンダントが、同じでしたので。……どうか、あの人に会ってくださいませんか? ずっと待っているのは、辛いですから」


 肩掛けの鞄の紐をぎゅっと握りしめ、香月は言う。

 青年は硬直し、香月をじっと見つめていた。


「君は……」

「私も、大切な人を待っているんです。あの黒髪の女の子も、彼女だけじゃなく、沢山の人が、その人が帰ってくるのを待っているんです……」

「……そっか」


 青年は観念したように軽く息を吐き、自分の両手で車輪を回す。


「いらっしゃいま――せ」

「……ただいま」


 久しぶりに自分が帰るべき場所へ帰って来た青年――一之瀬隼人は、ぎこちなく微笑む。本当に自分がここへ帰って来ても良かったのだろうか……。そんな些細な疑問を抱く必要など無かったことは、南野千枝(みなみのちえ)の眩しいほどの笑顔が、教えてくれた。


 再会を果たした二人を階段の上から見つめ、香月と桜庭は視線を合わせて微笑み会う。何だか、くすぐったいような気分なのだ。


「こうちゃん、気付いてたの?」


 背中の後ろで腕を組み、桜庭が訊いてくる。


「いいえ。出会ったのは本当に偶然よ。でも、二人とも嬉しそうで良かったわ」


 香月は横髪を触り、温かく彼女と彼を見守る。


「じゃああとは、あたしたちだね?」

「ええ。みんなが彼を待っているわ」


 数日前の雨を忘れさせるほどの快晴の青空が、天高くにはあった。そこに昇る眩しいほどの太陽は、この世界で生きる人々を守るように、優しく見守っている。この天気はこれから四月に入ると、まだまだ続いていくそうだ。


        ※


 国際魔法教会本部の総会議場では、数日前の騒動が終わり、籠りきった熱は失せ、ただただ虚しいような静けさだけが残る。

 七〇代後半と言う高齢でも尚、この魔法世界の人の頂点に君臨する老王は、冷たくなった王座に腰を掛け、遥か昔の世界を思う。


「……ヴィルか?」


 こつ、こつ、と足音が聞こえたが、どこか曖昧な音響だ。

 重たく感じるようになった瞼を薄く開け、ヴァレエフは暗闇の中へ問う。


「やあ、゛父さん゛。どうしてあの日本人を、自由にさせたんだい?」

「あの子はもう、私の元にいる気は無いよ。頑固で……しかし強靭な意思を感じた」


 闇の中でも鋭い光を放つ青い瞳を正面に向け、ヴァレエフは杖を両手で握る。


「……お前も、帰るべき場所へ帰るべきだ。ヴィル」


 やや間があって、真夜中のような闇からの返答はあった。


「僕が帰るべき場所は、すでにもう滅ぼされた。だから、新しく作ろうとしてるんだよ。僕たちの居場所を、この世界に」

「……残念ながら、この世界にお前たちの居場所はない……。人が過ちと成功を繰り返して作り上げた偉大な青き星の文明に、お前のような存在は必要ないんだ」

「果たして、本当にそうかな?」

「そうだとも。この世界はすでに人げ――ぐうっ!?」


 冷たかったヴァレエフの老いた身体に、衝撃的な熱が広がる。白髭に交じり、赤い血がその色を赤く染め上げていく。


「ヴィル……お前、は……っ」


 遠く、掠れかける意識の中、男性にも女性にも聞こえるその声の言葉は、ヴァレエフの耳元で聞こえた。


「父さん……。僕の思い通りにならないんだったら、もう役目を終えていいよ」


 ふふふ、と笑い声が続く。


「愚かな人の王を演じた気分はどうだったかい? 楽しかったかい?」

「全てが、お前の思い通りに、なるとは思うな……っ!」


 ぐったりとしていく意識の果て、走馬灯のように駆け巡った記憶の中で、今も鮮明に輝いていたのは、つい先日にあった少年の姿だった。両親の愛を強く受け、また思いを譲り受けて強く育った、黒い瞳の少年。


「天瀬、誠次……。この世界を……どうか……すま、ない――」


 争いの爪痕が残るマンハッタンの国際魔法教会本部や、周辺になびく旗は、亡くなられた人々への祷りを込めて、どこも半旗となっていた。

 修復作業もままならず、暴徒の行進によって折られ、踏みつけられ、汚れた国際魔法教会の旗は、今もマンハッタンの市街地に遺棄されたままだ。

 この魔法世界はまだ、混迷と混乱の中にある。

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