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魔法世界の剣術士 上  作者: 相會応
Magician of the garden ~ここは、魔法の通り道~
134/211

9

 結局、桃華とうか桜庭さくらばは午後の開演ギリギリのところで間に合い、ライブは平常通り開催されていた。午前と変わらない大量の観客たちの中で一際目立っていたのは、現生徒会長である波沢香織なみさわかおりを筆頭としたコスプレをした女性生徒の集団だったとか。


「な、なによしょうちゃん……。その、いきなり……あたしと一緒に文化祭見て回りたいだなんて……」

「い、いいだろ。嫌だったら、その、いいけど……」

「べ、べつにいーし。……でもこっちだってせっかくなのに準備も出来かったし……ムードなさすぎ」

「わ、悪かったよ……」


 あとは、互いに顔を真っ赤に染めながら、盛り上がっているファンたちとは一つほど離れた席に座っている、初々しいカップルぐらいか。

 

「ちょ、ちょうどラブソングだな……」

「は!? だ、だからな、なによ……」

「い、いや特にこれと言って理由はなく……。うん、静かに聞こう、相村」


 ぴんと背筋を伸ばし始める、長谷川翔はせがわしょう


「静かに聞こうって……はいはい……」


 相村佐代子あいむらさよこは苦笑して、長谷川の横顔をじっと見つめていた。

 桃華が奏でるラブソングの中、離れかけていた二人の距離は、これでも少しだけ、縮まっていた。

 

 アンコールも含め、午後の公演を無事に終えた桃華が、控室に戻って来る。


「お疲れ様、桃華ちゃん!」


 やはり午前と比べて疲れた様子の桃華を迎えたのは、メイクアップアーティスト陣内彩夏じんないさやかであった。タオルを首から肩にかけてやり、椅子に座った桃華を慣れた手つきで優しくマッサージする。


「午前はどうしたの? メイクを落としてさっさと行っちゃうなんて。顔はすっごいわくわくしてたけど」

「あ、い、いえ。ちょっと用事があって……」

 

 桃華は顔をほんのり赤く染め、鏡に映る自分と、その後ろに立って桃色の髪をくしで解いていく彩夏を見つめる。  


(……事務所の人じゃない、怜宮司れいぐうじが呼んだ人、か……)


 特殊魔法治安維持組織シィスティム本部で誠次せいじの何気ない一言から始まった会話をふと思い出す。

 一応、誠次同様に自分の事を助けてくれようとした女性だ。この人の機転がなければ、自分の状態がおかしいことに誠次が気づくことはなかったと聞く。


(まさか怜宮司も、自分が用意した飼い犬に手を噛まれるとわね……)


 ――しかし、怜宮司を哀れに感じると同時に、ふとした疑問も思い出してくる。

 かなり神経質だった彼の性格を考えて、自分が用意した人材に怪しまれる。果たしてそんな簡単なミスを犯すのだろうか?


「はい。顔のメイク落とすよ? 桃華ちゃん?」

「あ、は、はい」

  

 桃華の疑念の心は、彩夏が顔を拭いたことにより見える白い世界の先へと消えて行く。


「お疲れ様、桃華ちゃん」


 こんこんとドアをノックし、彩夏の「どうぞ」と言う返事を待って部屋に入って来たのは、誠次の同級生の帳悠平とばりゆうへいだった。

 この人については、誠次が詳しく話してくれた。生粋の自分のファンで、笑い声が特徴的で、この人がいなかったら、リリック会館の時に自分を助けることが出来なかったと言う。

 つまりは、もう一人の命の恩人である。それでも不思議なのは、彼自身が三次元の女性に興味がないと言い張っているところだ。


「あら帳くん。どうしたの?」


 彩夏がにこりと微笑んで、帳の方を向く。


「ああ。俺の事は気にしないでください。ちょっと荷物の片付けに来ただけです」


 帳はそう言って、部屋の隅から重たそうな段ボール箱を両手で持ち上げ、運んでいく。 


「魔法で持ち上げればいいのに」

「でも、魔法ってまだまだ不便で、物体浮遊で動かすだけでも難しいんですよ? 誠次さんが友達から聞いたって言ってました」

「あ、そう言えばそうだったわね」


 桃華の指摘に、彩夏はくすくすと微笑んでいた。

 桃華のメイクを落としていると、間もなく帳は去って行く。

 ふっ、と微笑んだ彩夏の背後で、まさに帳の入れ替わりでまたしても人が入って来た。


「し、失礼しまーす!」

「ま、また!? ど、どうぞ」


 驚く彩夏の目の前にて、桃華も鏡越しで、中性的な声音を発した人物を確認する。

 金髪に橙色の目をした女性のようだが、間違いなく男子生徒の制服を着た少年だ。背丈も自分より少し高いぐらいだろう。


「あら、貴方は確か可愛らしい……小野寺おのでらさんですよね」  

「自分は男です。いくら大人の女性のお方でも怒りますよ」

「ご、ごめんなさい。それで、何の用かな?」

「あ、自分の事は気にしないでください。ちょっとお菓子とお茶の補充に来ただけです。太刀野さん、気に入ってくださると嬉しいです」


 小野寺は微笑みながら言うと、両手に抱えていたかごから楽屋の机の上へ、お菓子を補充する。


「実は自分も、リリック会館に行った一人なんですよ? こうして有名な人に近くでお会いできて、なんだか夢みたいです!」


 小野寺は少し顔を赤くして、桃華に声を掛けて来た。

 桃華は鏡越しではなく、身体を椅子の上で捻って小野寺の方をちゃんと見る。


「あ、ありがとうございます……。私もこうしてここで歌えて、光栄です」

「正直に言うと自分、アイドルのこと何も知らなかったんです。ですけどこの歌声とバックサウンドの融合は、凄いですよ! 自分はお気に入りの曲を何個かインストールしました!」

「そ、そうですか。あ、ありがとう、ございます」


 小野寺が興奮すればするほど、桃華の中ではなぜか、幼気な心を変な風に汚してしまったのではないかと言う罪悪感に似た妙な何かを感じていた。


「あっ、自分としたことがつい熱くなってしまって! お、お菓子置いたらすぐ出て行きますね!」


 やがて小野寺も用事を終え、楽屋を出て行く。

 彩夏はふうとため息をついてから、桃華の髪に再び手を伸ばす。


「失礼します」


 小野寺が出て行ったドアが閉まるその直前、連続で三度目の来客があった。


「ま、また……っ」


 指先をぴくぴくと動かしながら、彩夏は来客者を見る。

 桃華もさすがに奇妙に感じていたが、なくはないことなのですまし顔で入り口を見る。

 一週間で1-Aのクラスメイトの顔は把握しているつもりだが、どこか強烈に見覚えのある顔立ちをした、眼鏡の少年が立っていた。


「貴方は、賢そうな男の子、夕島ゆうじま君ね?」

夕島聡也ゆうじまそうやです」

「夕島……さん。ああ、もしかして、お兄さんいますか? お会いしましたよ」


 桃華が振り返り、彩夏がいちいち立ち位置をずらしてメイク落としを行う。彩夏の表情はどこか焦っているが、二人とも気づくことはない。


「に、兄さんに会ったんですか……?」

「はい。……あなたは、あのお兄さんとは違ってそうで、安心です。あっ、失礼だと思われたら、ごめんなさい……」

「い、いえ……。安心と言われるのは、素直に喜んでいいのだろうか……」


 眼鏡をすっと掛け直しつつ、夕島はしばし思い悩む。

 こほん、と咳ばらいをしたのは彩夏の方であった。


「そ、それで夕島君は何の用かな……?」

「いえ、ただ眼鏡の調子が悪いので、レンズを拭きに」

「別にここじゃなくてもいいよねそれ!?」


 夕島の発言に、彩夏がメイク道具を落としそうになっていた。 


「あ、素顔隠す用のサングラスのレンズ拭き、持ってますよ」

「ありがとう太刀野さん」


 桃華が自然と布巾を手渡し、夕島がそれを受け取り、眼鏡のレンズを拭く。


「桃華ちゃんも自然と渡しちゃ駄目……。危険な考えの人だったらどうするのよ。桃華ちゃんはただでさえ、すごい魔力を持ってるんだし」

「ヴィザリウスの人は、そんなんじゃありませんよ。それに私の魔力、分かるんですか?」

「えっ、ええ……。だって桃華ちゃん、魔法得意じゃない」


 彩夏は一瞬だけハッとなったものの、すぐに笑みを見せていた。自分のアイドルと言う立場としての物言いならまだしも、人の体内の魔素マナの量の多さ、そしてその強さの事を言われるのは、少し違和感を感じた。


「それでは、お邪魔しました」


 本当に眼鏡のレンズを拭く為だけに、夕島はここに来たようだ。夕島はお辞儀をしてから、部屋を後にする。


「眼鏡を拭く為だけにアイドルの楽屋に来るって……」

 

 彩夏が唖然としている。

 本当に自分に用が無いと言うのは、仕草や態度でわかってはいたが、桃華も桃華で呆気に取られそうになっていた。


「もうすぐ、メイク落とし終わりますよね?」


 桃華の問いかけに、彩夏はうんと答える。


「そう言えば、今日は桃華ちゃん、誰と一緒の寮室で寝るのかな?」

香月詩音こうづきしおんさんって言って、銀髪の可愛いらしい人と」

「香月詩音……」


 知っている名なのだろうか、こちらの髪に触れる彩夏の手がピタリと止まっていた。


「なにか?」

「う、ううん。聞き覚えがあるなって思って……綺麗な名前ね。とても」


 彩夏がそう呟きながら、メイク落としの最後の工程に入る。

 その直後、今度はステージの方から志藤しどうがやって来る。


「失礼します。あっ、すいません忘れ物っス」

「「もういいわ!」」

「はいっ!? クラスメイトの忘れ物取りに来ただけなんスけど!?」

  

 ただ忘れ物を取りに来ただけだと言うのに、予想だにしていなかった二人の女性からのツッコみに、志藤がびっくり仰天していた。


「はあ……。あ、太刀野さん、明日は注意してくださいッスよ」


 志藤が魔法を巧みに使い、奥にあった紙を浮かせ、手元まで運んでくる。


「注意、ですか?」


 桃華が志藤に訊く。


「ほら、表向きは誘拐って事になっててニュースで話題になってたのが、すぐに文化祭でのコンサートで復活。話題性はヤバいくらい大きいから、絶対面倒なことになる気がするんすよ」

「覚悟は出来ています。その上で、皆さんには迷惑をかけない選択をするつもりです」

「選択?」

「事務所の人とも真剣に話し合って、OKを貰いました」

「何を言ってるの桃華ちゃん?」


 彩夏も要領を得れずに、桃華の桃色の髪を触りながら訊いて来る。


「明日、分かります」

「なんだかよく分からねーけどまあ、明日も頼んだっス」

 

 志藤は鏡に映った桃華の自信あり気な表情を確認すると、やんわりと笑いながら、部屋を後にしていた。   

 何事もなかったかと言えば大嘘となる、文化祭の一日目が終了した。

 会場の設備は二日目も同じように使う為、いたるところでそのまま残されている。クラスの中では今日一日の反省を生かし、明日の一般公開日に向けた調整が行われているのだろう。


        ※

 

「なあ、レヴァテイン」


 誰にでもない。誠次は背中に感じる刃の感触に、話しかける。


「もしお前が本当に、はるか昔の巨人スルトが神を殺すために振るったツルギだったとしたら、お前は何のためにこうしてこの世に戻って来たんだ?」


 当たり前であるが、返答などはない。確かな重さを伝えて来るレヴァテインは、今日も主であるこちらの手によって引き抜かれるのを、静かに待っているようであった。


「世界を統べる神なんて、もうこの世にはいないはずだろう……」


 口から出たそんな、傍から聞いていればただの末期患者のような言葉は、眼下に広がる桃華の為に作られた華やかなライブ会場へと投げられる。午後の部の公演も無事に終わり、照明も機材の調整や作業用に使うだけまでに落とされた第二体育館の二階にて、誠次せいじは柵にもたれ掛かるようにして、息をついていた。


「でさー、俺らのクラス明日どうしようかって」

「なにそれおもしろーい」


 淡い光が幻想的な照明の雰囲気でも見に来たのだろうか、他のクラスの同級生カップルが近くにいる中、こつこつとこちらに向かって歩いて来る足音が一つ。


「天瀬」


 クラスメイトでありルームメイトの男子、帳悠平とばりゆうへいだった。


「帳。お疲れ」

「何してたか、桜庭さくらばから聞いたぜ? 先輩たちに追いかけまわされたんだってな」


 結局、図書棟の修復作業は文化祭一日目の終了時刻を過ぎて終わっていた。一日目からボロボロのくたくたの身になった誠次は、一週間前と同じように体育館の二階に戻って来ていた。おそらく今日は寮室に戻ったら、即行で布団に入って寝るだろう。

 

「ほら」


 帳は手に持っていたお茶のチューブを、誠次に向けて来る。

 帳の厚意に、誠次は「ありがとう」と微笑んで、お茶を受け取った。


「先輩、強かっただろ?」

「ああ。正直言って、手も足も出なかった……。でも、これでしばらくは穏やかになってくれるはずだ」


 結局、自分のことを誤解や憎んでいる生徒たちに上手くは伝わってはいないかもしれない。人一人の焼死体か、重傷患者が出るかもしれないと言う後味の悪さだけが、彼らには残るだろう。表向きは兵頭による制裁が、きちんと自分に下されたことになっている。少々強引なやり方だが、それはそれで兵頭らしいとも言える。

 誠次は視線を落としていた。

 帳はこちらの隣に立つと、柵に両手を乗せてこちらと同じ方を見る。


「俺も頑張らないとな。それに正直、あの人たちの言い分って言うの、俺は分かるんだ……」

「俺もだ」


 誠次の言葉に、帳が頷いて首肯する。

 誠次が驚くが、帳はこちらの横顔をまじまじと見て、笑い声を上げた。


「ハッハッハ。そんな顔をするな。俺もどこかで二次元だ二次元だって言っておきながら、お前の事を羨ましいって思う時があるんだ」


 顔から笑みをすっと消した帳は、真正面方向を見つめていた。


「魔法が使えないけど、剣を持って戦う。それだけで周りと違くて、格好いいじゃないか。失礼かも知んねーけどさ。実際、周りのやつらもお前の事を見る目が変わってるぜ」

「それでも、帳たちは俺の友達でいてくれている。俺が帳の立場だったら、俺みたいなのがいたら確かにちょっと嫌だろうなとは思うけど……」

「ところがどっこい。それはそれで魔法が使えないのは不便そうだなって」

「大変不便だぞ」

「だよなぁ。やっぱ俺は、魔術師のままでいいや」


 誠次が真顔で即答すると、帳は苦笑しながら深く息を吸う。


「それに、誤解しないで聞いてくれるといいんだけど、お前の事は全然嫌じゃないぜ? これはもう、性格と人徳ってやつだな」

 

 帳は元気づけるように、誠次の背中をぽんと叩いていた。

 年の近い兄のような帳の行動に、誠次は気合を入れられたようだった。


「その、桃華のエンチャントを今日の戦いで使ったんだ。もちろん合意の上でだけど」


 少しだけ言い辛く、誠次もまた帳と同じ方を見据えて言った。


「マジか」

「マジだ」

「お前ってやつは……まあ、リリック会館の時もそうだったって言ってたし、今更驚かねえか。桃華ちゃんの事、守ったんだもんな……」


 一瞬だけ愕然とした表情を浮かべていた帳だったが、何かを受け入れたように、茶色い髪をかく。

 

「……それに引き換え今の俺は」

「?」

「ところで、なに持ってるんだ?」


 誠次は一冊の本を握っていた。

 帳も少し古ぼけた茶色い本の表紙を見つめていた。


「゛図書館に行ったから゛本」

「なんの本だ?」

「ほら」


 誠次は読んでいた本を帳に見せる。文庫本と言うよりは、辞書のように分厚い本だった。図書館で本のゴーレムと戦った時に、偶然目についた一冊だった。図書棟の修復作業の時、ちょうど桐野きりのと同じクラスであった図書委員の女子先輩に断りを入れて、拝借して来たものだ。


「北欧神話……?」


 何の飾り気もない文字のタイトルを見つめ、帳が首を傾げる。


「そうだ。ある人に、俺は北欧神話の登場人物に例えられた。人物と言うべきかは分からないけど」

「北欧神話って言えば、ラグナロクってやつか」


 帳がぺらりとページをめくると、つい先ほどまで誠次が呼んでいたためクセがついていたのか、そのページをすぐに引き当てる。


「スルト? 名の意味は黒。レ―ヴァテインの所有者……」

「ああ。魔法の国の国境を守って、レ―ヴァテインを持って戦う。神話の世界に生きた巨人と自分を重ねるなんて馬鹿らしいと思われるかもしれないけど、偶然にしては出来すぎていて」

「確かに。最終的には巨人が神に勝ったんだっけか……」

 

 帳は先ほどと同じように相づちをうちながら、本をじっくり読んでいるようだ。


「もし本当にスルトって奴がいたら、そいつはきっとどうしようもない女たらしに違いないな」

「からかうなよ。これでも、一生懸命にやっているつもりなんだ」

「ああそうだな。お前は魔法の国を守る巨人でも、神話の世界の神様でもない。同じクラスの男子だ」


 帳から本を押し付けるように返され、それを苦笑交じりに受け取る。


なずな総理が革命を宣言して、朝霞あさかもまた俺の前に戻って来た……」

 

 特に、と誠次は黒い目を細めて、


朝霞刃生あさかばしょう。アイツが何度でも戻ってくると言うのなら、俺は何度だって分からせてやる。俺は俺なりの戦い方を貫き通す。スルトと違うのは、女子と一緒に戦っているってところか」


 誠次は少し恥ずかしく、髪をかきながら言う。


「ハッハッハ。そりゃそうだな。女子と一緒に戦うなんて記載があったら、神話なんて形無しだ」


 帳は爆笑していた。


「俺は俺だ。魔術師たちの魔法世界で、剣で戦う剣術士。スルトでも、他の誰でもない」


 空気を掴んだ右手を、誠次は勇んで握り締めていた。


「気合い入れ過ぎだ。少し肩の力抜いて、明日の本番ぐらいゆっくりしてくれよ。桃華ちゃんの護衛は、俺たちが引き受けるからさ」

「頼んだ」


 待てよ。桜庭にも言われてたが、桃華の護衛以外、おれの働く場は……?

 

「そう言えば天瀬、明日の休憩時間誰と一緒に過ごすか決めてるのか?」

「いや……。でも今日は結局散々な目にあったし、出来ればゆっくり過ごしたいところだ。……出来れば、その、女子と」


 ほわりとあくびをした誠次は手を柵まで引っ込め、少し恥ずかしがりながらも言っていた。

 生徒の中では文化祭の夜を校内で楽しむやからもいるそうだが、とにかく今日は早く休んで身体の疲労を取る為、魔法学園で迎えた文化祭初の一日を誠次は終えていた。

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